2021.7.9.FRI みてみてーの手段がもどかしい
上記写真はアイフォンの動画撮影ボタンを押したところである。
なんの動画を撮ったのかというと、「チヂミ作って食べる」動画だ。
始まりは花捲(ホアジュアン)。ふかふかの中華蒸しパンの作り方を、ボノベイクのルリさんに教えてもらう教室を2、3年前に雲間でやった。
「あれまたやらないんですか?」
「どうやって形作るのか忘れちゃって」
「どういう順番で混ぜるんでしたっけ?」
などとお客さんから言われ、しかしコロナゆえ密な教室もはばかられ、
んじゃ動画でも撮るか、ということになった。
それがこちら。
なんと47分もある。粉混ぜて一次発酵、形成して二次発酵、蒸して食べてといろいろあるから無理もない。が長い。
それでも「見ました!」「作ってみました!」とお声をいただいて調子に乗った。
粉を適当にまぜて簡単なのに美味しい物作ってたべたい、ということで
「パンケーキ」編
それをさらに薄くしたら「クレープ編」
この動画を自宅でしこしこと編集していたら息子がバーンと部屋から飛び出してきて「BGMが大きすぎる!!!このくらい(とちゃちゃっと音量調整)ええっ!?45分もあんの!?なにそれ映画!?YouTubeはせいぜい1本15分だよ!?」と叱責された。チッ、デジタルネイティブめ。ということで編集がんばって20分そこそこにした。
そして今回はゲスト登場。ホームラン食堂のかなさんをお迎え。
勢い余ってなんと三部作になった。
ボノベイクのルリさんと出会ったのはかれこれ7、8年前になるのかしら。
モントリオールスタイルのベーグル焼いてるんです、という彼女が話すごはんやお菓子やそういうものの話がとにかくうまそうだった。そしていとも簡単そうに「作れる作れる〜誰でも作れるかんたんよ〜」という。そして実際ほんとにかんたんで、ほんとにうまかった。
きちんとしたレシピ通りにきちんと作る料理やお菓子もいいと思うし、計量や手順の意味もあると思う。でも、日々の、毎日のごはんくらいもっとそういう決まりから自由でもいいような、というか、許してくれよと思う。
だから、「まじで、こんなんでいいの?んでうめえな!!!」という、ルリさんのつくったものを食べたあの面白さを万人にお伝えしたい。
あるとき、山のおうちを尋ねた時、そこのマダムから
「ジューンベリーたくさん摘んでいいわよ」といわれた。
ルリさんはそれをジャムにしてくれた。それは酸っぱいベリーに爽やかなミントが効いてて驚いた。
「その木の足元に、たくさんミントが茂ってて美味しそうだったから」
彼女は風景を瓶詰めにした。
そういう、美味しいだろう味の組み合わせのセンスとか、軽やかに作っちゃうその感じがとても自由で好きだ。それが動画に撮れてて欲しいと思う。
次はチヂミ作るか、と話していた時にホームラン食堂のかなさんもいて、いいですねチヂミ、わたし米粉で作るんですよ、あーじゃあ違う粉で作って味比べする?ということで参加していただいた。
ホームラン食堂のかなさんも、これまた自由にさりげなくうまいものを作る天才(というと嫌がるだろうな、でもほんとそう)で、気分や気候や旬や、そういうものから紡ぎ出される料理のファンはめちゃくちゃ多い。
二人が用意して準備して切ったり盛ったり混ぜたり焼いたりするのを見ているのはとても楽しい。塩いれまーす、ぱらぱら、粉、このくらい、混ぜてみて、あー水もうちょい、はい焼きまーす
それはまるで息をするようにうまいものを作り出す手。
ひらりひらりとディフェンスをかわしてドリブルしていくように、二人は料理する。自然で流れるようで「こんなの簡単よー」と。
見てたら自分でもできそうに思う。
(やってみたら、あれ?このくらいでいいのか?と疑問が噴出する)
体得ってこういうことなんだなーと思う。
米粉2種類と、蕎麦粉と小麦粉、4種類のチヂミがみるみるできていくのだが、わたしが思っていたチヂミじゃなかった。
「これってジョンだよ」 ジョン・・・誰だよ・・・
で、どうやって食べたらうまいかの工夫のデパートでもある二人。
「べつになんにもつけなくてもいいし、塩でもいいし」
「ニョクチャム、最高ですよ」
へぇ〜!ほほ〜!とか言いながらたべる。
おいしさって、ひとつじゃない!多彩!決まりなんかない!難しくない!
「こう食べたいな、って、食べたいように味付けして食べたらいいんです」
どれほど楽になるか。日々のごはんが。そして楽しい。
みてみて〜!この二人のそういうとこ、見て!って思う。
だからYouTubeで動画をアップしたけど、これでいいのかなとは思う。
動画を見るのって目も耳も縛られる。
実際に目の前で見て、出来上がったの食べられたらいいのにね。
またそういう会もやりたい。
研究に邁進する科学者の頭の中も、みてみて!すごい、面白い!と思う。
お茶の葉が湯の中で開きどうしてこんなに香るのか、みてみて!すごいよね!と思う。
みてみて!
そしたら、土砂降りみたいな日々に、ぱあっと光が射すから。
心が躍って、生きてるっていいよねって
なんかそういうのを、どうにかしたいと思うのだが、動画の編集も機材のことも、とってももどかしい。言葉にする精度ももどかしい。マイク買ったけどアイフォン本体マイクとあんまり差がなくてがっくりとか。さらにいいマイクが必要なのかとか、いいマイクとは?とか、そもそも収録環境がとか、わからなさにぼんやりしてまごまごしている。
そういう些末なテクニックでつまづくのはしかたないけど
自分が何を「わあ、すごい、面白い、みてみて〜」と思っているのかは鮮明に意識しておきたいと、忘れちゃいがちだからここに書いておく。
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