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徒然雲 光と影と仏のまなざし【小川晴暘と飛鳥園100年の旅】
爽やかな晴天。
ならまちでのハタハタの前に訪れたのが、奈良県立美術館。
近鉄奈良駅から東向商店街の北側商店街を通っていくのが好きな行き方。
東向きとは違って静かな商店街を通り途中を東に曲がり、緩やかな坂を進む。
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1月の不染鉄以来。
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小川晴暘
奈良を中心に仏像を撮った写真家
仏像撮影専門の写真館・奈良「飛鳥園」を創設。
仏像好きな方はもちろん、奈良や歴史関係のどこかできっと観たことがある
写真があるであろう写真家。
明治生まれで、大正〜昭和前半の時代に奈良の仏像、中国や東南アジアの遺跡や
寺院を撮影した。
奈良と写真というと、どうしても入江泰吉がワタシの中では大きな存在でした。
また土門拳も仏像含めジャーナリズム的な観点での作品が好きな写真家です。
それが今回、入江泰吉とも土門拳とも全く違った強烈な印象が
ワタシの心と頭にガツンと響き渡った!
展示は第1章 小川晴暘と飛鳥園
第2章 小川晴暘とアジアの仏教美術
第3章 小川晴暘から小川光三へ
第4章 飛鳥園100年の旅 志を継いで
まずは有名な名作がずらりと並ぶ第1章。
あの大きさに引き伸ばしても、全くの歪みもブレも荒さもない
それはそれは美しい画像。
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法隆寺の百済観音、中宮寺の弥勒菩薩,、広隆寺の弥勒菩薩像、
東大寺戒壇堂の四天王像たち等々。
光に映し出された部分と、影となって浮き彫りになる表情が
なんとも静かに艶かしく引き込まれるものがあった。
それは実物を自分の目で観た時よりも感動的という皮肉な現象。
どういうことだ?!笑
ただ今回の展示で仏像写真よりもワタシの心を震わせたのが
第2章の雲岡石窟のスケッチ。
スケッチといってもスケッチブックのレベルではありません。
横1m以上、縦も50㎝以上ある大きさのもの。
横に広がる石窟の全景を10枚に分けて、端から立、断、平面図として描かれたの。
筆(墨)で描かれたそれは緻密かつ美しく、シビレた。
当たり前だが写真では絶対に見れない、筆の流れと冷静な観察眼による写実が素晴らしい。
腕を胸の前で組みながら観ていたが、心臓がバクバクしていた・・・。
ネットで小さいが画像を見つけたので・・・
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どうもこの手の表現が好きなことがわかった。
鉄斎でもなんでも、心惹きつけられるのは・・・・こういう画。
画というか図?!
おそらく、このスケッチにここまで感動しているのはワタシぐらい・・・
ちなみに、小川晴暘は画家でもあった。
しかも文展(現、日展)の洋画部に入選したこともあるセンスの持ち主。
これは納得。
デッサン力がなければ描けないものだと思った。
そしてこの雲岡石窟も魅力的だった。
敦煌などシルクロードに強烈な魅力と興味があります。
そこには西から東へ運ばれた絹とともに、文化、宗教、美術の移動があり
ここ奈良が終着点という、歴史と浪漫たっぷりの道。
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雲崗石窟 第5洞
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雲崗石窟 第15洞
彼の地での菩薩様は、より穏やかで朗らかな表情ではありませんか・・・
写真(他人の眼)を通してみる仏の表情は新鮮かつ斬新であった。
写真は撮る人の切り取り方で様々な見え方がするが
まさにそれを実感。
そして写真では表現できない、画、書の良さを改めて感じた。
第3、4章はサラッと観て、また雲岡石窟のスケッチに戻り
じっくりゆっくり堪能して美術館を出た。
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出ると・・・そこにはいつ見ても・・・シュールなせんと君。
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イソピー
大通りの人の波が遠目に見えたので、もと来た裏道を戻る。
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いい香り〜
駅から賑やかな商店街を通り、抜けると少し静かに。
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嬉しい発見と感動と確認があった写真展をみた 五月晴れの奈良。
良い週末を!
記録
モジリ入れ(綜絖通し)
まだまだ続く気の遠くなる作業。
それは修行。
2枚(2本)のモジリ(綜絖)の穴に一つに一本の糸を通していく。
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しんどい作業だが、バディが優秀なのでとてもやり易い!
今回も相方には恵まれていて助かります。
笑い飛ばしながら乗り切れそう〜
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