聊齋志異「紅毛人(和蘭陀人)の毛氈」
大昔、中国は他国との貿易をしていなかった。
あるとき、船に乗った大勢のオランダ人が沿岸にやって来て、しばらく様子を伺っていたが、ある日、ひとりのオランダ人男性がやって来て、「毛氈1枚だけの土地をもらえれませんか? 私たちはそれで十分です」と言った。断ったが、しつこくせがむので根負けして「それだけの土地ならいいだろう」と許した。
すると男は、毛氈1枚を岸に置いた。それは小さいもので、大人2人がやっと入れるほどのものだったが、男が毛氈を引っ張ると倍の大きさになり、続けて引っ張ると徐々にその大きさが広がっていく。それに併せて屈強な男たちが上陸してくる。毛氈はみるみる大きくなって、それに伴ってオランダ人たちも増えていく。それが数百人に達したとき、一斉に短刀を抜いて毛氈から飛び出して数里の土地にわたって略奪を行った。
略奪を終えると彼らは船に乗って帰っていった。
*写真は船橋港