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月に萌える

15階建ての11階に住んでいたときに会社を辞めてフリーになった、フリーになったと言っても勝手に自称しているだけで無職のようなものだった。退職金も少ないし、のんびりしてはいられないのだが、生まれついての怠け者なので真面目に仕事を探す気もなかった。少ない人脈から仕事のネタを探すのだが、どうにもうまくいかない。

何か仕事をしてみようと近所の釣具店で土日だけバイトをしてみたが、数字が嫌いなので、計算も苦手だったからレジを任せられると大変なことになった。それで嫌気が差して3ヶ月で辞めてしまったのだった。

それでも僅かながら仕事はあったし、職安(ハローワークなんて呼称はダサい)の職業訓練校に通ってWebデザインを勉強したが、肝心のソフトが買えないので仕事になる事はなかった。そもそも、当時の僕は60歳近かったのでデザイン会社で使ってくれるわけがない。雇用されるのは当然、若者ばかりだ。実は、この職業訓練校に通ったのは真面目にWebデザインを勉強するためではない。10万円の給付金が貰えるからだった。それほどまでに金がなかった。

精神的に鬱状態の時には写真を撮った。それが精神的なストレスを発散できるハケぐちとなった。雨天以外のほとんど、眺めの良いベランダや玄関口の非常階段に三脚を立てて当時の重いデジタル一眼レフカメラに200ミリレンズを取り付けて月や富士山を撮影するのが日課になっていた。

会社員時代にはたくさんカメラを持っていた。今考えると恐ろしいほどに金を使っていた。ライカを初めに会社で使っていたニコンF4を2台にワインダーを取り付けたものなどフィルム一眼レフ10台以上に、魚眼レンズに反射望遠500ミリまで持っていた。それがすべて換金されて生活費になった。

今ではニコンデジタル一眼レフ1台に広角系&望遠系ズームレンズしか持っていない。それも重いから滅多に使わなくなった。本当ならば、フィルムカメラで撮りたいのだが、今は無理だ。何せフィルムが高価なのだ。プリントだって目玉が飛び出るほどに高い。街中のアチコチにあったDPEショップだって皆無だ。嫌な時代になった。

スマートフォンのカメラ機能が高機能化してからは、カメラ機能重視のスマホをカメラ代わりにしている。最近は広角系からズーム系までキチンと撮れ、さらにアプリケーションでボケ、ブレ修正してくれるスマホが多い。

この月と飛行機の写真もスマホ(Google pixel7a)で撮影している。高齢になってからはピンボケや手ブレは当たり前だし、もともと写真撮影だって上手ではないからスマホで充分だ。

とはいっても、やはりデジタル一眼の方がカッチリ撮れる。
最後にデジタル一眼で撮影していた頃の写真を載っけちゃおう。

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