戦争は「歪んだ正義」という身勝手な論理で行なう人殺しです。戦争を知らない僕は戦場で何が行なわれるかを表面上だけ描いた映画でしか知りません。その発端、要因を知らず、突然としてスクリーン上で始まっている戦争を手に汗握るアクション映画として捉えて観てしまいます。たとえ反戦を訴える映画だとしても、そこに現実的な戦争の悲惨さは、ほんの僅かしかありません。
ただし、被爆者である原民喜さん「夏の花」や大田洋子さん「屍の街」のような経験者が書かれた小説や、中沢啓治さんの「はだしのゲン」や、谷川一彦さんの「星はみている」(未読)のような漫画は、戦争(原爆投下)の悲惨さを現実的に伝えてくれます。また、関川秀雄さんの映画「ひろしま」は、僕は部分的にしか観ていませんが、反戦、反核をリアルに描いた作品であると思います。
随分前に買った岩波ジュニア新書(537)『私は「蟻の兵隊」だった』奥村和一、酒井誠著には、以下のような戦争の悲惨さ(日本軍が中国で行なった蛮行)が描かれています。少し抜粋してみますので、戦争とは人間の本能を曝け出す場所であることがよくわかると思います。昭和19年に徴兵され、中国・山西省に出兵した奥村和一さんへのインタビュー記録です。今後、機会があれば、是非、読んでみて下さい。