地獄横丁「如月AIの冒険」1
迷路のように入り組んだ地獄横丁は、迷い込んだ人間の魂を奪って成長するという話を聞いたことがあります。
今回、地獄横丁に迷い込んだのは日本人女子高生の如月AIちゃんです。
AIちゃんは高校からの帰り道に何者かに拉致されて気を失ってしまいました。目覚めるとそこは見知らぬ街でした。そう、地獄横丁でした。
血管のように複雑に絡み合った路地を彷徨っていると・・・。古書店ばかりが並んだ路地に辿り着きました。
その中の1軒が気になって足をとめると、店頭に並んだ古書の1冊を手に取りました。
「これは私が探していた本じゃない・・・」と呟くのでした。
(私は何を言っているのだ?私は本なんか探していない・・・)
「あんたの探している本は、ここにはないよ」
古書店の店内からしゃがれた声が聞こえたので、声が聞こえた店の中に入ってみました。
見れば80歳くらいの老婆で、店内の椅子にチョコンと座ってAIちゃんを見ています。どうやら古書店の店主らしいです。
「お婆さん、私が探している本のことを知っているの?」
「ああ、“grimoire(グリモワール)”だろう?」
「何、それ?」
「自分の探している本の名前も知らないのかい?」
「grimoireとは魔道書のことだよ」
「魔道書?」
「悪魔をこの世に招くための本だよ」
つづく・・・かもしれない。