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AIが書いたショートショートを改稿

家族の一大事が重なったので、前回のカルチャースクール(文章講座、AI講座)を休講にしました。次回も、かみさんの退院と重なれば休講とします。

その前の回のカルチャースクールの資料として「僕があらすじを書いた→あらすじを元にAIに短編を書いてもらう→AI原稿を人間が書いたらしく改稿」した以下のショートショートを発表しました。

カルチャースクールでは文章の“てにをは”を教えるのではなく「文章を書きたいという興味を引き出すための言葉遊び」をいろいろと考えて実践していますが、シルバー人材の仕事よりも給料が少ないので「やめようかな?」なんて考えたりします。でも、少ない人数の生徒さんたちが「文章を書く話を皆で語り合いたい」という積極的な要望があるのでやめられないのです。AIの方は専門家ではないので12月でやめますがね(笑)。

それでは、前々回の資料を、そのままアップしておきます。よろしくお願いします。

◆「地獄の沙汰も・・・」

 

早良太郎は53歳、中堅企業の社長だ。

彼の人生は、仕事の成功や社会的地位で彩られていたが、その心の奥にはいつも妻、恵美子への深い愛が存在していた。彼女が病に倒れ、静かに息を引き取ってから49日が経ち、太郎はまだその強い喪失感から立ち直れずにいた。

恵美子は末期の乳がんで、病院で検査したときには手遅れだった。がん細胞は既に肺に転移していたのだった。

太郎は「毎年病院で検査してもらっていたら・・・」と後悔して泣いた。

「記憶なんてなきゃいいのに・・・」人間の記憶というのは健常な精神を破壊してしまうものだ。

 

ある日、死に場所を求めて夜の街を彷徨った。どこか遠い世界へ行きたくて、危険な飲み屋街の裏通りを歩いていた。心の中では、すべてを手放してしまいたいという衝動が渦巻いていた。

「誰か僕を殺してくれ」と言いたい気持ちを抑えながら、彼は彷徨い歩いた。

目の前に「地獄」薄暗いバーの看板が見えた。店の前には妖艶な美女が立っていて、太郎を見つけるや声をかけてきた。

「おにいさん、遊んでいこうよ」その言葉には、彼に対する何か特別な誘いがあった。(ボッタクリバーだな?反社会的な人間がやっているに違いない。ちょうどいい、僕を殺してもらおう)太郎は覚悟を決め、彼女について店内に行った。

小さなバーに入ると、恐ろしい面構えの大男が三人いて太郎を睨みつけている。

「じゃあね」太郎を誘い込んだ美女は怪しく微笑むと煙のように消えてしまった。

三人の男たちは、普通の客とは思えなかった。太郎は背筋が寒くなるのを感じながらも、心の底から湧き上がる感情に突き動かされていた。

太郎が「ちょうど良かった、あんたらは悪人だろう?」と言うと、彼らは少し驚いたように目を見合わせて笑った。地獄の底から響き渡るような声だった。

「俺は閻魔大王だ」真ん中に座った男が言った。

「俺は赤鬼だ」

「俺は青鬼だ」

左右の男ふたりが言った。三人とも恐ろしい形相をしている。

「頼む・・・僕を殺してくれ」

「何故だ?」閻魔大王が言った

「妻が死んで寂しいんだ。生きていく気力がなくなったんだよ」

「そうか・・・自殺する勇気もない。だから誰かに殺してもらいたいと言うことだな」

「そうだ。殺してくれるなら、あんたらに僕の貯金を全部あげるよ」

「いくらあるんだ?」

「正確な額はわからないが、5つの銀行に分けて10億円くらいはあると思う。しかし、僕が死んだら金を渡せないな・・・どうするか?」

「はは、この閻魔大王に不可能はない。お前の姿に変身して銀行から金をおろしてやるさ。お前を殺す前にお前の記憶や指紋や身体の特徴などすべてコピーするから安心しろ」

「さすがだな・・・」

「お前の望み通り殺してやるが、報酬は半分でいい」と、閻魔大王が言った。

「半分でいいのか?半分残しても意味がないのに・・・」

「まあ、任せておけ」

太郎は何も考えられず、ただうなずくしかなかった。

「地獄に落ちろ!」閻魔大王と赤鬼青鬼が同時に叫んだ。次の瞬間、彼は地獄へ叩き落された。

地獄の世界は、灼熱、寒冷、針の山に血の池で溺れるなど、太郎が想像していた以上に過酷だった。彼はさまざまな苦しみに耐え抜いた。心の奥底から沸き上がる絶望感にも襲われたが、心のどこかで妻のことを思い出し、彼女のために生きた日々が心を支えていた。

 ある時、太郎は大きな川の岸にたどり着いた。流れゆく水の音が響き、苦しみに耐え抜いた彼の心を落ちつかせた。そのとき、後ろから声が聞こえた。

「よく耐え抜いたな、さあ、この川を渡るんだ」振り返ると、あの赤鬼と青鬼が立っていた。

「この川を渡ったらどうなるんだ?」

「あらゆる苦しみから解放されるんだ」

「わかった。ありがとう。感謝するよ」

「鬼に感謝してどうする?」と言って赤鬼青鬼が笑った。

「さあ、行け!」

川に入ると激しい流れに巻き込まれた。溺れたが、これまでの地獄の苦しみにくらべるとたいしたことはなかった。それでも三途の川の水を飲み込んで気を失ってしまった。

「起きなさい。試練は終わったわよ」

女性の声だった。目を開けると、バーに誘い込んだ妖艶な美女だった。彼女は実はゲダツババアであり、彼の運命を見守っていたようだった。

「これからどうするの?」

彼女は微笑んだ。太郎は思わず涙を流し、「本当は死にたいわけじゃない。ただ、妻との幸せな時間を取り戻したかったんだ」と泣いた。ゲダツババアは優しく微笑んだ。

「では、あなたの一番幸福だった時間に戻してあげる」と、彼女は言った。

太郎は再び気を失った。

目覚めると、太郎は自分が幸せな日々を過ごしていた頃に戻っていた。そこには妻と笑い合い、穏やかな時間が流れていた。

「僕は死んだんじゃないのか?」妻に言うと「何を言ってるのよ、変な人」妻は優しく微笑んだ。夢ではなかった。閻魔大王が時間を戻してくれたのだった。

「明日、病院に行って検査してもらおう」太郎は言った。

「何で?」

「これから毎年、乳がん検査をしてもらおうよ」

「ちょうどいい、私もそう思っていたのよ」

「そうか・・・」

「僕も毎年検査してもらおうと思っているんだ」

「もうすぐ60歳、高齢者だからね」妻が優しく微笑んだ。

「じゃあ、保険証とか準備しなくちゃね。お金は大丈夫かな?」

「あ、銀行通帳を確認してみよう」

「通帳は、その引き出しにあるわよ」

「わかった」

引き出しから通帳を取り出して、5つの銀行の残高を確認した。すると、すべての銀行の残高が、ちょうど半分だけ減っていた。

「地獄の沙汰も金次第か・・・」太郎は笑った。


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