障害の多様性
僕は子どもの頃からテレビや映画が大好きです。視覚・聴覚に訴える映像による物語が好きなのです。最近気になるドラマがあります。「障害者によるドラマ」です。障害者というと言葉としてどうかと思います。障害者、健常者というのは、どうも個人的にしっくりときません。昔は特殊とか異常とか遅れとか、否、もっともっと差別的な呼称で呼ばれていました。
さらに、なかには家族の恥とか閉鎖的で身勝手な感情によって、そういう人たちは半隔離されていたのか、あまり外で見かけることはなかった記憶があります。
今は少し違います。パラリンピックが良い例ですね。しかし、個人的には通常のオリンピックと分けていることこそ差別的であると思っています。ではどうすればいいのか? 僕などにはわかりません。ごめんなさい。
世界は、まだまだ、差別がなくなり、解放されたとは言えないもしれません。人間は、いろいろな差別的感覚に囚われる生き物ですからね。
さて、半開放的な時代であるからこそ、ドラマや映画にも、視覚的、聴覚的、精神的な障害を持つ主人公が登場するようになりました。
僕が好きなドラマに「アストリッドとラファエル 文書係の事件簿」(NHK)、「ムーブトゥヘブン 私は遺品整理士です」(Netflix)、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(Netflix)があります。
「アストリッドとラファエル」は、自閉症の主人公が、パリ犯罪資料局の文書係の仕事に就き、難事件を解決するフランスのミステリードラマ(探偵譚)です。昔、放送されていた「名探偵モンク」に似ています。ちなみにモンクは強迫性障害を患っていました。自閉症も強迫性障害もスペクトラム障害の範疇です。障害を持つからこそ特別な感覚を活かして、事件を解決に導くのです。
Netflixで放送されている「ムーブ・トゥ・ヘブン」と「ウ・ヨンウ」は、アスペルガー症候群(スペクトラム障害に含まれます)の主人公が活躍するドラマです。
ムーブ・トゥ・ヘブンの主人公ハン・グルを演じるのは現役高校生のタン・ジュンサン。彼は同じNetflixで放送されている「ラケット少年団」でも主人公のひとりユン・ヘガンを演じています。二枚目ではありませんが、演技は素晴らしいのです。
ムーブ・トゥ・ヘブンのハン・グルは、父親と一緒に遺品整理士を生業としており、アスペルガー症候群という障害を持っていても真面目に精緻な仕事をこなしています。
ウ・ヨンウの方もアスペルガー症候群ですが、司法試験に合格して弁護士事務所で働く新人弁護士です。アスペルガー症候群は、「記憶力に優れている」という特徴があるようですが、ドラマとしてそこを強調しているだけのようにも思えます。
しかし、それでも、同症候群の方は「興味があることには熱中、追求する」ようで、弁護士やプログラマーなどの専門職に就くという話もあり得ないことではないようです。
「グッド・ドクター」というドラマがあります。米国版、日本版、韓国版があります。主人公はショーン・マーフィというサヴァン症候群の医師です。
サヴァン症候群というのは、アスペルガー症候群のなかから突出して才能を発揮する方を言うようです。
つまり、グッド・ドクターのショーン・マーフィだけでなく、パリ犯罪資料局の文書係のアストリッドも、弁護士のウ・ヨンウも、サヴァン症候群なのでしょうね。僕には専門知識がないのでわかりません。
「アストリッドとラファエル」「ムーブ・トゥ・ヘブン」「ウン・ヨンウ弁護士は天才肌」は、素晴らしいドラマなので、お時間があれば是非ご覧下さい。