湯島の夜 韓国の漫画「地獄」
普段から韓国ドラマや映画をたくさん観ていますが、韓国の漫画は読んだことがなかったのです。今日、目黒の書店で見かけたので購入してしまいました。2巻もありましたが、1500円なので1巻のみ購入しました。月末(あ、年末も併せて)貧乏なのです。
以前紹介した韓国ドラマ「謗法」(脚本)のほか、アニメゾンビ映画「ソウルステーション・パンデミック」(監督・脚本・プロデュース)、実写ゾンビ映画「新感染ファイナル・エクスプレス」(監督・脚本)、その続編となる「新感染半島ファイナル・ステージ」(監督・脚本)などを手がけたヨン・サンホが原作を書き、チェ・ギュソクという方が漫画を描いています。
ヨン・サンホは、46歳で夭折した日本のアニメ作家・今敏さん(ギタリスト今剛の実弟)の影響を受けているようです。今敏さんは大友克洋さんの漫画作品をアニメ化したほか、アニメ映画「パーフェクト・ブルー」「東京ゴッドファザーズ」「パプリカ」「千年女優」を手がけた天才アニメーターでした。
韓国の漫画は、この作品しか知らないので、チェ・ギュソクの“絵柄”は日本的でアメコミ風でもあります。ヨ・サンホのアニメ作品「ソウルステーション・パンデミック」も同じような絵柄です。隣国なので登場する人物たちは日本人の見た目と違いません。では何故、洋風なのか? それはデジタルな同幅の描線とデジタル・トーンの陰影のつけかたにあると思われます。僕はアナログ時代の漫画描法しか知りません。それに漫画家ではないので、どうやって描いているのかはよくわかりません。
さて、ヨン・サンホ作品ですが、その傾向から見ると、「パンズ・ラビリンス」「パシフィック・リム」のギレルモ・デルトロを目指していることがわかります。多分、韓国のデルトロと言われたいのかもしれません。ゴシック・ホラーな風合いですね。ドラマ「謗法」にはそのような雰囲気がありましたが、残念ながらその他のゾンビ作品などにはそういった雰囲気はありません。それに僕の大好きな哀愁がありません。
さて、「地獄」の内容は、ヨン・サンホらしい設定で面白そうです。
ある日、街中で六角精児さんのような男性が突然現れた巨大な化け物(ハルクのような雰囲気)3匹?に虐殺されてしまいます。街中の人たちもその化け物たちが見えています。その後、悪人たちがこの化け物たちにかかって虐殺される事件が頻発するのです。それを捜査する“だらしのない風体”の刑事チン・ギョンフン、その息子、新興宗教“新真理の会”のチョン・ジンス議長、新真理の会と矢じり団の被害者救済のために尽力するミン・ヘジン弁護士、テロリスト集団“矢じり団”らが相まって、物語が展開していきます。
1巻だけの感想ですが、韓国ドラマや映画の雰囲気です。韓国の人たちが理想とする正義が根底にあります。それは個人的には“欺瞞的”に見えるのですね。韓国ドラマや映画は、常に財閥(富裕層)・政治家たちに一般市民が立ち向かう、復讐する話がほとんどです。時代劇も常に王家と下層階級の紛争ばかりです。殺し方も残酷で独特な雰囲気があります。残虐さは韓国だけでなく全世界同じです。人間の本性は、生きたまま獲物を食らう獣と変わりなく残酷で冷酷なのです。それを理性で抑制しているのです。
Netflixで「地獄」が実写化されています。もう放映されているので興味がある方はご覧下さい。「地獄が呼んでいる」というタイトルになっています。もちろん監督はヨン・サンホ自身です。観てみたいですが、今はお金がないので我慢します。
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