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宇宙からの色

映画「カラー・アウト・オブ・スペース」を観ました。H・P・ラブクラフトの「宇宙からの色」(創元推理文庫ラブクラフト全集4巻に収録)を映画化したものです。

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*映画の原作「宇宙からの色」が入った4巻がないのはトイレに常設されていて、撮るのを忘れてしまったのですね。

僕は、ラブクラフト全集(創元推理文庫版)を別巻含めてすべて持っていますが、そのほとんどを読んだことがないのです。僕は蒐集家であって読書家ではないので、うちにある本のかなりの数は未読です。ただし、歴史本など読んでいる本は、自分でも驚くほどにすごく読み込んでいるものが多いのです。ま、積ん読屋のかっこつけたいがための詭弁です。いずれにしても、未読本が多いのは事実です。

さて、カラー・アウト・オブ・スペースは、ニコラス・ケイジ主演のSFホラー映画です。近年のニコラス・ケイジは、キアヌ・リーブス同様に観る価値もないおかしな映画ばかりに出演しています(ただしキアヌは、ジョン・ウイックシリーズで復活しました)。ニコラス・ケイジのこの作品も観る価値のない作品だろうと思って観たら違いました。

だって、ラブクラフトの「宇宙からの色」が原作なんですからね。

ラブクラフトのSF?というのは誰しもが思うことです。しかし、「宇宙の色」は明らかにSFなのです。ラブクラフトも自分の新境地を開いたと自信満々で出版社に持ち込んだのですが、稿料が安かっただけでなく、評価されなかったのです。これ以降、ラブクラフトはSF雑誌を敬遠してしまいます。

さて、宇宙の色、カラー・アウト・オブ・スペースです。

1982年にアーカムの郊外に住むネイハム・ガードナーの家にある井戸のそばに隕石が落ちてきます。それからがまるで地獄のような展開が待っています。映画は、ほとんど原作に忠実に再現されていますが、人物設定の違いや“遊星からの物体X”のような大仰なホラークリチャー表現があります。

ネイサン・ガードナー(原作はネイハム・ガードナー)と妻のテレサは子どもたちとともに大都会の喧噪から逃れるため、閑静な田舎に移住してきたのですが、ある晩、家の前に隕石が落ちて以来、周辺の動植物は不気味な変化を見せ始めます。一家の生活は、隕石から発せられる“気”によって、精神的にも肉体的にもおかしくなっていきます。

心と体に影響を及ぼす地球外変異体との戦いに明け暮れ、理想としていた静かな田舎暮らしは悪夢へと変わってしまうのです。

この状況が語り手によって説明されるのですが、その原作の雰囲気もよく表現した傑作ホラー作品であると思います。

あ、ニコラス・ケイジは次第におかしくなっていく狂気を上手に怪演してますよ。

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ラブクラフトは日本の奇書のひとつ「ドグラマグラ」を書いた夢野久作に似ています。というと俳優の嶋田久作さん(映画・帝都物語の加藤保憲)にも似ているのです。

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