立憲民主党野田新代表に要請しました(R6.9.26)

令和6年9月26日木曜日「荒木和博のショートメッセージ」第1616号。今日立憲民主党の野田佳彦代表・渡辺周拉致問題対策本部長・笠ひろふみ国会対策委員長に竹下珠路特定失踪者家族会事務局長・杉野正治調査会副幹事長と共に面会してきました。その時渡した要請文書は以下の通りです。少しでも前に進めてもらうよう切に期待しています。
(写真は渡辺周事務所大塚秘書撮影)

令和6年9月26日
立憲民主党代表 野田佳彦様

特定失踪者問題調査会代表 荒木 和博
特定失踪者家族会会長   今井 英輝

 このたびは代表へのご就任誠にご苦労様です。国全体が様々な問題を抱える中ご苦労も多いと存じますが、ぜひご活躍をされますよう期待しております。
 さて、その問題の一つであり、歴代内閣が「最重要課題」としている拉致問題は全く進展の兆しが見えません。つきましては一刻も早い救出に向けてぜひともご尽力賜りたく、以下の各事項についてお願いする次第です。



●「帰国」ではなく「救出」を
 政府の方針はあくまで「帰国を実現する」というものです。しかし拉致被害者は現実には北朝鮮の国家の意思によって連れ去られた、あるいは騙されて北朝鮮に入国して出られなくなったものであり、旅行中に出国できなくなった人を帰国させるのとは訳が違います。北朝鮮は平成14年(2002)の第一次小泉訪朝までは拉致自体をやっていないと主張し、首脳会談で金正日が拉致を認めると「これで拉致問題は終わった」と言い続けてきました。そのような相手から単なる外交交渉で全ての拉致被害者を「帰国」させるのは不可能です。国民を守るという政府の根本的な使命を考えるとき、「救出」としてその責任を明確にすべきだと考えます。この点は政府に求めるのみならず、貴党としても明確に方針として打ち出していただきたくお願い申し上げます。

●総理と特定失踪者家族の面会実現を
 まもなく行われる自民党の総裁選で誰が総裁になるかは分かりませんが、歴代総理は特定失踪者家族に一度も会っていません。総理が一刻も早く特定失踪者家族と面会して北朝鮮側に救出の意思を示していただくよう、立憲民主党としてもご協力をお願いします。

●政府の「全ての拉致被害者」「解決」認識について
 政府は国会答弁では「拉致問題の解決」が①拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、すべての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、②拉致に関する真相究明、③拉致実行犯の引き渡し実現と答弁しています。しかし肝心の「すべての拉致被害者」を政府は把握していません。
 さらに北朝鮮による拉致は事件発生から長期間が経過し、拉致被害者が北朝鮮で死亡しているケースは当然想定されます。また、拉致される途中で殺害されたケースもあると言われています。救出にあたって生存を前提とするのは当然ですが現実問題として死亡した拉致被害者及びその家族について、政府はどのように対応するのか、国会の審議を通じて明らかにしていただきたくお願いします。

●田中実さんと金田龍光さんの問題と寺越事件について
 政府認定拉致被害者田中実さんと特定失踪者金田龍光さんについて、ストックホルム合意の折北朝鮮側が存在を認めたのにもかかわらず日本政府がその受け取りを拒否したことが明らかになっています。この問題については御党でも再三国会で取り上げていただいていますが、あらためて二人及びその家族の救出について早急な対応をお願いします。また寺越事件はそれが北朝鮮による拉致であることは明らかであり、少なくとも昭二さんについてはご家族が認定を求めています。早急な拉致認定が実現するようご尽力をお願い致します。

●拉致特委の積極的な開催を
 衆参ともに拉致問題特別委員会がもっと頻繁に開催されるようにしていただきたくお願いします。拉致問題担当大臣・外務大臣並びに国家公安委員長の三大臣が揃う必要はありません。開催すること自体が北朝鮮への圧力でもあり、また進展につながる糸口になります。

●多方面から北朝鮮へのメッセージを
 昨年末から北朝鮮はこれまでの国家方針であった「統一」を放棄しました。さらに引き続くミサイルの乱射・幹部の粛清に加えこの夏は中国国境近くの大水害など北朝鮮の内部が相当混乱した状況であることは明らかです。「金正恩委員長と条件を付けずに向き合う」という安倍総理以来の言葉を踏襲するのではなく、政府の責任ある立場の人が「北朝鮮のどのような組織・個人であれ拉致被害者救出に協力する場合は日本政府が全面的な支援・協力を行う」とのメッセージを発するよう促して下さい。また、逆に「条件を付けずに向き合う」というのであれば、少しでも北朝鮮の情報ルートを増やすために、官民合同の連絡事務所設置も選択肢の一つではあると思います。私たちも「しおかぜ」「USBプロジェクト」「FAXプロジェクト」「バルーンプロジェクト」など可能な手段を全て動員して情報の注入と収集を行います。

●短波放送施設の刷新を
「しおかぜ」を送信しているKDDI八俣送信所の短波送信施設老朽化・NHKによる送信機4台化計画に巻き込まれる形で、北朝鮮当局の妨害電波対策の要である二重放送が、来年度から継続可能なのかはまったくの白紙状態です。政府は拉致問題を国家の最重要課題と公言し、拉致被害者への情報伝達に支障をきたさないようにすると総理も国会答弁しています。NHK都合により妨害電波対策が出来なくなるという事は北朝鮮当局の思う壺であり、それを政府が放置するならば、総理の国会答弁とは大きく矛盾します。既に工事期間は来年1月に迫り一刻の猶予もありません。また、北朝鮮のみならず海外での邦人保護、危機管理、安全保障の観点からも、我々が提言する100kW送信機の2機更新は必要不可欠であると考えます。政府に早急に対策を講じるよう求めてください。

●拉致被害者救出のため自衛隊に任務の付与を
 これまで政府は憲法・自衛隊法による制約を自衛隊が使えない理由としてきました。しかし国外他地域への自衛隊派遣の先例から考えるとき、法律上の制約というのは明らかに詭弁です。あらためて政治決断による拉致問題での自衛隊への任務付与が実現するようご協力をお願いします。

●拉致被害者支援法の改正と拉致を主題とした法律の制定を
 平成18年(2006)11月の松本京子さん拉致認定以来、実に17年間にわたりただ一人の拉致認定も行われていません。私たちは現行の拉致被害者支援法の第2条1項「被害者 北朝鮮当局によって拉致された日本国民として内閣総理大臣が認定した者をいう」を「被害者 北朝鮮当局によって日本国内で拉致された者及び日本国外において拉致された日本国民」へと改正することを求めます。そしてそれに基づき高敬美・剛姉弟と金田龍光さんをすみやかに拉致認定するよう求めます。
 また、そもそも拉致認定は拉致被害者5人が帰国した後に処遇を定めることを目的として制定された拉致被害者支援法に基づいており、本法及び北朝鮮人権法では拉致被害者救出はあくまで付帯的な問題としてしか取り扱われていません。拉致被害者の救出を政府の責務とする法律の制定を進めて下さい。

●可能な限りの情報開示を
 政府認定拉致被害者家族にすら個々の被害者がどのように拉致されたのか情報を伝えず、逆に横田めぐみさん拉致事件のようにあえて誤った情報を流しているとすら思われるケースすらあります。「山本美保さんDNAデータ偽装事件」なども含め政府自身が真相を隠していると言わざるをえません。政府は国会では情報開示を求められるたびに「答弁を差し控える」を繰り返していますが、この状況を打破し、家族と国民に情報を開示するよう求めていただきたくお願いする次第です。
以上

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