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便の異変

ある日の晩、母がトイレから私を呼んだ。
声のトーンからいつもの母と違っていた。
「ちょっと変な色の便が出ちゃった。
悪いんだけど見てくれない?」
「変な色って…。どんな色…?」と
私はトイレに駆けつけた。

それは今まで生きてきて全く見たことがない色の便だった。グレーに近い色の便だった。
これは異常だと素人にも一目で分かった。
母に言った。
「あのね、普通はこんな色のうんちはしないよ」
「だよね。おかしいよね」
「お母さんやっぱり病院に行きなよ。
おかしいもん。こんなうんち見た事がない」「うん、そうする」と元気もない小さな声を出す母。
狭いトイレの個室の中で、母と私で一緒に
肩を寄せて便器の中を見たあの晩の事を
私はきっとこの先も忘れられないだろう。

それから私は速攻で少し遠方にある
やや中堅の病院をネットで調べた。
自分も過去に健診で行った事がある病院。
ネットで調べたら土曜も診察を行っていた。
母に伝えると明日すぐに行くと行う。
あの当時、その病院が運行していた巡回バスの停留所が家のすぐ近所にあったので
明日は必ずそれに乗って行く様にと
母に伝えた。
「うん、分かった」と母は言った。

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