お母さんへ
母の日に大きなものを手放しました。
この気付きを母への手紙として書かせて頂きました。
お母さん。
お母さんとの道のりは本当に長かったね。
一緒に過ごした時の半分以上を貴女への恨み辛み満載で生きて来たけれど、やっとお互いの存在を認め合い素直に愛し合えるようになったね。いつも私のことを一番理解してくれたのは貴女でした。
本当にありがとう。
お母さん。
お母さんは時々「自分で自分のことが出来なくなったら…遠くに住んでるから無理って分かっているんだけど、本当はクミコに面倒見てもらいたい…」って私だけに漏らしてたよね。私も「もちろん帰るよ!私が面倒看るから大丈夫。何も心配しないで」なんて言ってたでしょ。
この言葉を言った時の気持ちに嘘は無くて、本当に何が何でも帰るつもりだった。再婚したときに「お母さんに何かあったら数ヶ月でも数年でも必要なだけ帰りますから。」って旦那に伝えて了解を得ていたしね。
でもね、私、どうやったらいいのか全く見えなかったんだ。
お義母さんもお義父さんも老いていくし、子供の学校もあるし、仕事している旦那さんは一緒に長期では帰れないし、無理に帰ることで壊れる何かを感じていて、どうしたらいいのか全く分からなかった。それで、まぁいいや時がきたら何とかなる、その時に考えればいいやって考えないようにしてたの。
それでね、母の日の前日にお義母さんをリンゴ狩りと紅葉見に連れて行って、楽しかった様子をお母さんにもシェアしたでしょ。あの日、久しぶりに、本当に久しぶりに幸せそうなお義母さんを見て、私もすごく幸せな気分になってね、思ったんだ。「この人の笑顔をもっと見たいな」「お義母さんと家族が望むなら、もっと老いた時のお世話をさせてもらいたいな。幸せな最後を一緒に作ってあげたいな。」って。
そしたらその瞬間にね、今まで気付け無かったことに気付けたの。
「あんたに面倒看てもらいたい」って言ってもらえるのは嬉しかった。お母さんの側には妹も、弟家族もいるのに、私を頼ってくれるのが内心嬉しくて「そうだよね、私がいなきゃダメだよね」って思ってた。
でも「私じゃなきゃ」と思っていたのは、妹弟にお母さんを渡したくなかったから。最後まで面倒看ることで私だけもっと愛されるって何処かで思ってたんだと思う。そして、誰も信用してなかった。「私だけが貴女を一番幸せにできる」って奢ってた。
お母さん。
いま、お母さんはたくさんの愛の手に囲まれているね。
貴女はこれからも愛されて、子や孫に囲まれて幸せな毎日を過ごしていくってはっきりと分かったから、私は、その手に貴女を委ねます。
私は貴女を手放します。
私が側に居なくても、もう大丈夫。
お母さんの周りの愛はこれからもどんどん広がって大きくなって、みんなでもっともっと幸せになるよ。
幸せの発信源は貴女だから。
母なる貴女。
ありがとう、お母さん。
遠く離れていても、私達はいつも繋がっているよ。心から愛しています。
貴女の娘、紅美子より。
2021年5月9日 母の日にて
この手紙は、母から承諾を得て公開しました。
読んでもらった後、真夜中ビデオコール中の私たち。
うん、いい顔してる!