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広瀬すず・松坂桃李W主演『流浪の月』 ※ネタバレに近い表現がありますので映画を観てからお読みいただくことをお勧めします。


『流浪の月』は、映画を観る前に先に原作を読みました。
複雑で過酷な内容でしたが、とても面白い(楽しいという意味ではないです)小説でした。
どのように映像化されるのだろう、と気になりつつ、映像として見たら自分の心はどうなるのだろう…
そんな風に考えてしまうくらい、重く厳しいものを抱えた男女の物語でした。
 
原作を読んでいる間、文(ふみ)のビジュアルの描写が松坂桃李さんそのものだと思いました。
背が高く綺麗な顔で手足が長い文。
儚げで、事情を抱えているキャラクターなので、厳しい減量が必要だったそうですが、ビジュアルのイメージは桃李さんにマッチしていると思いました。
 
主演の広瀬すずさんと桃李さん、さらに共演の横浜流星さんは、尋常ではない役柄を演じており、やはり映像として見るのはかなり心をえぐられました。


文に関して、原作では描かれない直接的な描写があり、衝撃を受けました。
最近(だと思います)、桃李さんがエディ・レッドメイン主演の『リリーのすべて』を見た訳が分かりました。
私は『リリーのすべて』を見た時も同じ衝撃を受け、同作のPRで来日したエディにインタビューしたのですが、その時に感じたことと重なるものがありました。
 
桃李さんは努力家で、真摯に役と向き合い、どんな役柄でも取り組んで演技に挑む俳優です。
デビュー時から応援しているので、その凄まじい成長ぶりには作品ごとに感心するばかりです。
今回の文役も、多大なる覚悟を持って演じているのが伝わってきたし、またしても心を打つ演技でした。
 
ただ、演技をすることや撮影現場が苦しいものである必要はない、俳優が苦しい思いをするべきではない、ということを最近改めて認識し、演じる役柄がどんなに過酷であっても、撮影中、カメラが回っていない時でも辛い思いで過ごすということがない現場の方が好ましいと思うようになりました。
俳優は役になり切るために、気持ちを込めて、役に入り込む、撮影準備期間と撮影中はその思いで取り組む、つまり過酷な役柄なら演じる俳優も過酷な思いで過ごしながら演じる、というやり方が必要だと考える人も少なくないと思います。
でも、桃李さんの近年の出演映画である『孤狼の血 LEVEL2』も『空白』も過酷な役柄だったけれど、両作とも監督に取材したところ、カメラが回っていない時の現場での桃李さんはキャッキャッしていて、とても楽しそうだったことが分かり、過酷な思いで過ごす現場ではなかったと知ったので、現場や監督の方針によるのだと知りました。
 
過酷な役柄を演じる作品であっても、役作りや撮影中に苦しい思いをしなくてもいい現場で仕事をしてほしい。
20歳のデビュー時からずっと見てきた桃李さんには、余計にそう思ってしまいます。
ある作品の際、「地獄のような撮影だった」と語っていた時もありましたが、そんな思いをする必要はないと改めて認識し、そのような思いをさせない現場も多々あると分かったので、辛かった撮影について俳優が「良い経験になった」「財産となった」と笑いながら振り返っていても、「覚悟の上で過酷な役柄に挑んだ」と俳優本人が語っていても、できればカメラが回っていない時は楽しい雰囲気の現場で幸せを感じながら仕事をしてほしい、と思います。
『怒り』『流浪の月』と、二度も過酷な撮影を乗り切った広瀬すずさんも然りです。
監督が俳優に寄り添い、納得するまで過酷な状況を乗り切る撮影を行う、と聞きますが、かつて『許されざる者』の取材をした際、佐藤浩市さんは同監督に「追い詰められた」、柄本明さんは「死ぬかと思った」と、撮影の過酷さを憂いていたのを覚えています。
俳優が苦しい思いをしない楽しい現場でも、良い作品は撮れる。
『孤狼の血 LEVEL2』と『空白』がそれを証明しているのではないでしょうか。
 
『流浪の月』の取材は、あと少しでできるところでした。
流れてしまうまで、いろいろなことがありました…。
近年、ほかの作品でも、媒体・事務所・宣伝効果など様々な事情が壁となり、あと少しのところでチャンスが消えていき、何度も心が折れました。
特に、13年ほど前から知っている、ある力を持った人物が私を阻んで、心を折ってきます。
現在は実権を握るとても大きな存在になっていますが、昔から非常に失礼な人物で、連絡も無しに現場に来ない、来ても挨拶もしない(人を選んで挨拶する)、打ち合わせ中に電話に出てなかなか切らない、切った後も謝らないなどなど、苦々しい思いをさせられてきました。
本当はこんなことを書きたくなかったけれど、あまりにも悔しいことが続いてきたので、自分のnoteに書くくらいはいいだろうと思いました(苦笑)。
 
もちろん、これからも応援し続けるし、取材は叶わなくても、作品を見ることは心から楽しみにしています。
でも、やっぱり推しには、過酷な役柄であっても、幸せな思いで、楽しい現場で仕事をしてほしい!
今回、改めてそれを強く願いました。
 

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