群馬県庁・脱炭素版ソーシャルXアクセラレーション、ガバメントピッチを虎ノ門ヒルズ駅前広場にて開催しました
”財務リターン”と”社会的インパクト”の両立を目指す企業の新規事業を支援する、官民共創型ソーシャルXアクセラレーション。群馬県庁「令和6年度 地域と共創する脱炭素イノベーション創出事業」の一環として、脱炭素をテーマに実施しています。
9月13日(金)に、そのキックオフイベントとして、群馬県内自治体によるガバメントピッチを、公共空間である、虎ノ門ヒルズ駅前広場「ステーションアトリウム」で開催しました。
ガバメントピッチ開催に向けて、実施したこと
自治体の方から、脱炭素をテーマとした、企業と共に解決したい課題を発信頂くためには、二つのハードルがあります。
ひとつは、「どういった課題が、官民共創で解決出来る課題なのか」を見極めること。
もう一つが「その解決が脱炭素につながる社会課題にどのようなものがあるのか」を探し出すこと。
さらに、仮に、自治体が抱える課題を企業に発信できたとしても、なかなか理解してもらえないこと、そもそも情報が届けられないことなども含めて、多くの自治体にとって共通の困りごとではないかと思います。
そういったハードルや困り事を解決するために、どのようなことを実施したか、ご紹介いたします。
群馬県自治体横断ワークショップ「官民共創のはじめかた」
群馬県グリーンイノベーション推進課では、昨年度、県内自治体に向けて、地域脱炭素(地方創生・地域課題解決と脱炭素を結びつける)を推進していくために、定期的な勉強会を開くなど熱心に取り組まれていました。
その中で、県内の多くの自治体の皆様から「何から始めていいかわからない」「具体的に何をすればよいのかわからない」「異動してきたが専門知識がない」といった共通した声が挙げられたそうです。これは、他の自治体からもよくお伺いする声でもあります。
そこで、私が豊田市情報戦略課と共に昨年夏に開発した「官民共創のはじめかた」ワークショプをご提案したところ、大変ご賛同いただき、今回のプログラムに組み入れることになりました。
官民共創について、全く知らない職員の方が、準備なく気軽に参加することができ、楽しく皆さんと意見交換を行いながら、終わる頃には、機会があったら官民共創による課題解決を検討してみようかな、と思って頂けるような内容となっており、開発してから約1年で106もの自治体の方にご参加頂いているものです。
ワークショップは、より多くの自治体の方にご参加いただけるよう、県内3箇所で実施、14自治体の皆様にご参加頂きました。
身近な課題の中から、官民共創で解決できそうな、かつ、脱炭素に関連があるものを抽出し、どのように企業に発信していくかを皆で考えて行きました。
北海道から沖縄まで、全国横断でこのワークショップを実施していますが、社会課題は共通したものが多い一方で、地域ごとに特徴が出てくるのが面白く、群馬県からは、移動に関する課題と、公共施設に関する課題が多く見られたのが印象的でした。
このワークショップは、同じ自治体の方はなるべく違うグループに分かれて頂き、他の自治体の方と交流できる仕立てにしているため、社会課題という共通言語を元に、参加された皆さん同志の交流も活発に行われました。
企業と連携したかったが、どこから手を付けていいかわからなかった、という自治体の方からも、その糸口が見いだせたと大変喜んで頂けました。
社会課題の言語化
「官民共創のはじめかた」ワークショップは、研修だけで終わらないのが大きな特徴です。ワークショップで各自トライしていただいた社会課題の言語化には、実は続きがあります。ソーシャル・エックスの「逆プロポ・コンシェルジュ」のサービスの一つでもありますが、ワークショップで出てきた課題や、それ以外の課題など、「企業の意見を一度聞いてみたいな」と思う課題について、私たちが更に詳しくヒアリングさせていただきながら、課題の解像度をさらに上げて言語化し、その社会課題を企業がビジネスとして捉えやすい形に翻訳していきます。
課題データベースへの登録と、企業への発信
翻訳した課題について、課題データベース「逆プロポ・Voice」に掲載していきます。私たちが翻訳させていただいた様々な自治体の社会課題が一覧になっており、現在は、私たちとつながりのある企業を中心にご覧いただていおります。
もし何かご提案があった際は、弊社がその内容について確認しながら、単なる営業の連絡がいかないようトリアージしています。実際に、ここで企業とつながって、実証実験に進んでいる自治体もあります。
また、弊社がラボを構える虎ノ門ヒルズインキュベ―ションセンターARCH(社会課題解決をテーマに新規事業開発を行う大企業の新規事業部門120社900名が集結)にて、参画企業に向けてこのデータベースの課題を紹介し、意見交換を行うイベントも定期実施しています。
自治体職員による課題発信ガバメントピッチ
いよいよ、ガバメントピッチです。一つ大きなハードルとなったのは、「社会課題には垣根がない」ということです。今回、環境部門の方が多かったのですが、地域課題の解像度を上げていく中で、部門だけには収まらない課題も出てきて、そうなると企業に発信するにはハードルが上がる、というケースがいくつか見られました。そういう意味では、こういった取組を実施する時は、庁内横断で官民共創を推進できる公民連携部門などの巻き込みが必要になると改めて感じたところです。
今回、このあたりのフォローは、豊田市から出向頂いているNさんが、心を込めて伴走くださいました。
そのような中でも、庁内の同意を得てくださって、ガバメントピッチにご参加頂ける自治体には、弊社の方でプレゼン資料の作成もお手伝いさせていただきながら準備を進めました。当日登壇はできない自治体の方も含め、30名ほどのバスツアーでみなさんが応援に駆けつけて盛り上げてくださいました。お陰様で当日は、キャンセル待ちも数十名となるほど大盛況となりました。
会場に込めた“想い”
会場となったのは、公共空間である、虎ノ門ヒルズ駅前広場「ステーションアトリウム」。
「公共空間の有効活用」は「公共で稼ぐ」がテーマですが、ここは、「公共で”未来に”稼ぐタネが生まれる場所」。街行く人が足を止め、脱炭素に係る群馬県の課題に耳を傾ける。街行く人々までも巻き込み、街のあちこちで、脱炭素に関する会話が繰り広げられていく。2050カーボンニュートラルは、行政や企業だけでなく、市民の巻き込みも欠かせません。そんなテーマを掲げて、この場所を選びました。
もともと、代表の伊藤が議員時代から「公共空間の有効活用」に注力し、横浜スタジアムの改修工事を、横浜ベイスターズの協力を得ながら、横浜市が本来負担しなくてはいけなかった85億円を、持ち出しゼロで、公共で稼げるエリアにアップデートするなどの取組や、私自身も伊藤と共に、別会社にて、焼津市のこども館、こども図書館という公共空間のプロデュースなどを手掛けてきたこともあって、森ビルからいくつか提示いただいた場所の中から、迷いなく「ステーションアトリウム」を選びました。
森ビルの皆様のご協力により、このような素晴らしい空間でガバメントピッチを開催することが出来ました。また、大型ビジョンを半日ジャックさせていただいたり、各所にあるサイネージに告知いただいたり、パネルを置いていただいたり、様々なご協力を頂きました。この場所でビジネスピッチを行うのは今回が初めてとのことです。スペシャルゲストとして、大人気の「ぐんまちゃん」にもお越しいただきました。
今後の流れ
さて、ここから、群馬県・脱炭素アクセラへのエントリーが始まります。
今回発信された課題に限らず、地域課題を解決する脱炭素事業であれば、企業規模に関わらず、どのようなものでもエントリー頂けます。
テクノロジーの進化により、これまでビジネスとしては解決が難しかった課題にも、ビジネスの領域が広がりつつあります。
ここを私たちと共に探り、脱炭素をテーマに、地域課題を群馬県内自治体と共に解決してくださる企業の方との出会いを楽しみにしています!
※詳細はこちらをご覧ください
https://sac.socialx.inc/programs/55277e6b-24a1-4c6b-8888-20494183a336/application
終わりに
当初、私たちにとっては馴染みのある別会場で実施するという選択もある中、どうしてもこのステーションアトリウムで開催したい思いで、当初はいくつか反対もありましたが、押し進めました。
新たな試みだったため、途中、最初に想定したよりも思わぬ負担が生じたりと、メンバーに負担をかけてしまい、実はとても申し訳ない思いでずっとおりました。いつもの別会場で手軽にやったほうが良かったのではないか、と思ったことも何度もありました。
公共空間ということで、前日の準備が23時半スタートとなるとわかり、前夜準備は言い出しっぺの責任を取って、私が外注スタッフの方と共に対応しようと思っていたのですが、それでもメンバーの皆が自発的に遅くまで残って力仕事を手伝ってくれ、どれだけ嬉しく頼もしかったことでしょうか。
そして何より、素晴らしい”場”の力で会場がとても盛り上がり、関わった皆さんが大変喜んでくださって、ああ、この場所で開催できて本当によかった、ととても嬉しく思いました。
これからも色々なハードルが出てくるかもしれませんが、群馬県庁の皆さまや、メンバーの皆と力を合わせ、良いプロジェクトにしていきたいと思いますので、引き続き応援をお願いいたします。