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ジグとドグ

製造業では『製造治具』や『検査治具』なんて用語がしばしば登場します。『治具』は『ジグ』と読みます。

広辞苑には次のような説明があります。

ジグ:(「治具」とも当てる)工作物を固定して切削工具を工作物に正しく当て、正確・迅速に加工するために用いる道具

広辞苑

『治具』と漢字で目にする機会が多い用語ですが英語の "jig" の当て字です。 "coffee" に珈琲をあてたり、"roman" に浪漫をあてるのと同じです。

この治具という名前が発展して「ソフトウェア治具」なんて呼び名のものも製造業の世界では見かけます。自動化ツール、コード生成ツール、コンフィグレータ、… なんて呼び方でも良いのでしょうが、メーカー系の企業では生産性や作業性を向上させる道具(ツール)を総称して『治具』と呼んでいたりします。


音の響きが似た用語に『ドグ』というものがあります。
「センサードグ」とか「近接ドグ」とか「スイッチドグ」など様々な『ドグ』があります。

広辞苑には載っていませんが、研究社リーダーズ・プラスの "dog" の項目に次のような説明があります。

つかみ金、チャック、(木材用の)かすがい

研究社リーダーズ・プラス

そう。実は『ドグ』という用語は英語の dog に由来します。そしてリーダーズ・プラスの dog の項目に列記されている用法は『犬』もしくは『犬の頭』の形に似た工具や器具を指しています。

"dog spike" というものがあります。鉄道のレールを枕木に固定するときに使う釘です。釘の頭の部分の形状が犬の顔(鼻と耳)に似ていたことに由来しています。

このdog spikeが明治期に英国から日本に輸入されて『犬釘(いぬくぎ)』という名前で定着しています。その形が変化した現在に至るも「犬釘」という名称が残っています。

現在では犬の形をしていなくても、L字型をした金具、広くは小さな突起状の部品全般をドグと呼ぶことがあります。

「センサードグ」も「近接ドグ」も犬の形をしたものを見かけることは、滅多にないのですが、今日でも訛った名前が残っています。


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