ネパール滞在記⑤~中二病と第三の目~
ネパールに行くと、おでこに何やらつけている人を見かけます。
ティカとか、ビンディ呼ばれるものです。
ティカの材料は、米とヨーグルトと赤い色粉。
ビンディは今は、シール状のものがほとんどです。
これを付けるのは、
「幸せが来るように」と祈る意味があります。
他にも、旅の安全祈願だったり、既婚者の印としてつけたりします。
わたしも、たくさんつけてもらいましたが、
最初は、慣れなくてなんだかくすぐったい気持ちになりました。
ネパールの人しかいなければ気にもならないのですが、
日本人同士でつけていると、ちょっとした気恥ずかしさが出てきます。
ところが、
しばらくするとこれもすぐに慣れてしまいます。
そこにあるのは、雄大な自然と、それと共に生きる人々。
すごく寒いのに、日々の暮らしは裸足にサンダルです。
朝起きると、外の水場でヒマラヤ山脈を眺めながら、歯を磨きます。
そんな暮らしになれてくると、
おでこに何かが付いているとかはどうでもよくなりました。
とは言え、
村の女性たちはおしゃれにもちゃんと興味があります。
細かいことは分からないのですが、幼いころからピアスをする風習があるみたいで、
ピアスや腕輪などはこだわってしていました。
村には、雑貨屋さんもありました。
日本にあるようなものはイメージしないで下さい。
販売されているものは生活必需品くらいなので、ラインナップはさほどありません。
そこの雑貨屋に、ビンディのシールが売っています。
ただの丸いものから、細長いもの。
デザイン性のあるものや飾りのついたものなど。
普段からするのは既婚者だそうですが、
シールで簡単につけられて、様々なデザインものもがあると
あれもこれもと欲しくなります。
わたしは当時、既婚者ではありませんでしたが、
永く滞在していると、おしゃれ感覚でするようになりました。
ジャージにサンダル、眼鏡にぼさぼさ頭ですが、
なぜか、凝ったデザインのティカをしているというアンバランス。
一体なんのためにしていたのか、今となっては全く分からないのですが、
何かおでこについていると第三の目を得たような中二病的な気分だったのかも知れないです。
日本に帰国する際、つけたまま空港に降り立ったりしていたのですが、
さすがに海外にかぶれた日本人だなーという風に見られます。
他人の目なんか気にしなくていい、自分が幸せだったらいい、変にみられても構わない。
普段からそうは思いますが、日本の風習に合わないことしているとやはりどこか居心地が悪くなるので、普段からするのはやめにしようと思った21歳の夏でした。