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イケポのつくりかた05_ビジョンの共有

あなたのパワポを簡単な5ステップで改善する「イケポのつくりかた」講座も最終回になります。前回はパワポの世界観を作る「デザインのブラッシュアップ」の方法を説明しました。今回はプレゼンを成功させるために大切な「ビジョン・未来・結論」スライドの作り方と、簡単にイケポのデザインをつくる方法を説明します。

人を動かすストーリー構成

「イケポのつくりかた02_情報の整理」でお話した通り、パワポを作る前に全体の構成を決めておくことが大切です。そして「人を動かす」イケポにするためには、この中の「ビジョン・未来・結論」をしっかりと考えて製作することが重要になります。

「表紙・目次・まとめ」などは一般的なパワポでもよく見かけますが、「ビジョン・未来・結論」のスライドがあるパワポは少ない気がします。この部分をしっかり作り込むことで、一般的なパワポに差をつけることができます。

それでは「ワクワクするビジョン」「Win-Winの未来」「人を動かすための結論」の作り方を説明していきます。

ワクワクするビジョン

以前にもお伝えした通り、人を動かすために大切なのが「ワクワクするビジョン」です。自分たちの使命や目的を「ミッション」として定義し、ミッションを実現させた将来像を「ビジョン」の形に落とし込むことで、聴き手とイメージを共有して価値観の似た人を惹きつけることができます。

「ビジョン」は、経営理念などをそのまま使う場合もあれば、パワポのテーマに合わせた具体的な「キーメッセージ」を作ることもあります。スライドの中で同じメッセージを繰返すことで、浸透させることができます。いずれにしても、強いメッセージを伝えるためにインパクトの強い写真を全画面で用いて、その上にシンプルに文字を載せて強調するようなスライドを作ることが多いです。

明るく前向きなメッセージを最初から最後までを貫くことで、聴き手の信頼と共感を獲得できるだけでなく、プレゼンター自身が納得して「プレゼンのゴール」に向かうことができます。聴き手とプレゼンターの両方がモチベーションを高めて同じゴールに向かうことで、プレゼンの成功率は大幅に高まります。

Win-Winの未来

具体的なスライドの内容を製作する時に、第一に考えるべきことは「情報を伝える」ことではなく「相手のメリットを考える」ことです。聴衆に行動を起こしてもらうためには、聴衆の「心を動かす」必要があります。

オープニングでワクワクするビジョンを提示した後、ボディパートで「相手にとって興味のある情報」を提供し、クロージングで「お互いにとってメリットのある未来」を具体的に示すことで、聴き手が協力したくなるモチベーションを高めることができ、行動してもらいやすくなります。

例えば採用スライドであれば、若い先輩社員が活き活きと働く姿(ロールモデル)や研修制度を紹介して、入社後のイメージを持ってもらいます。営業スライドであれば、商品やサービスを導入した結果、生活や会社に与えるプラスの効果をイメージしてもらいます。IRスライドであれば、会社の成長を具体的なデータで示して、投資家の利益が今後も増えていくようなイメージを持ってもらいます。

人を動かすための結論

お互いにとってどんなメリットがあるのかを具体的に伝えて、Win-Winの未来をイメージしてもらうことができたら、最後に「どんなアクションを起こせばよいのか」を伝えましょう。

「人を動かすプレゼン」は、聴き手にアクションを起こしてもらうことで、はじめて成功したといえます。コンテンツの中身を伝えるだけで終るのではなく、結論スライドで次のアクションを明確にする必要があります。

例えば採用スライドであれば「エントリー方法」、営業スライドであれば「お試しプランの申し込み方法」などの具体的なアクションの方法を伝えて、結果の出るパワポを作りましょう。

パワポデザインの4原則

ストーリー構成が決まったら、パワポのレイアウトを決めます。パワポデザインのテクニックは膨大にありますが、実は基本の4原則を守るだけで、簡単に美しいスライドを作ることができます。

①対比のルールを決める

・配色
最初に「背景色+文字色+アクセントカラー」を決めます。一番簡単なのは、背景色と文字色をモノトーンで統一してモノクロスライドを作り、目立たせたい部分だけ、企業ロゴ等と相性のよいアクセントカラーをつける方法です。

・フォントサイズ
次にフォントサイズを決めます。基本は「タイトル(72pt)/サブタイトル(36pt)/コンテンツ(18pt)」にしておきます。パワポに文字を入力してみて、文字数が多い場合はフォントサイズを小さめに設定しなおすなど、使いやすいようにカスタマイズしましょう。

②反復のルールを決める

・あしらいや図形
パワポで使いやすい図形は、基本図形のうち「四角形、正円、三角形、角丸四角形、直線」に限定されます。ビジネスパワポを作る場合は、文字を入れても読みやすく、誠実なイメージのある四角形を使うのがおすすめです。

・色とフォント
フォントは1種類または2種類(和文+欧文)に限定し、決めたフォント以外は使わないようにします。

③整列のルールを決める

テキストボックス
同じ内容のテキストボックスは大きさを揃え、「図の形式→配置」で上下左右を揃えると、洗練された印象になります。さらに各テキストボックスの「文字の配置」「行間」「余白」等の設定も揃えると、さらに美しい仕上がりになります。

・図形を揃える
テキストボックス以外の囲みやあしらい等も、揃えられる部分は全て、縦横のラインをきっちりと揃えます。

④近接のルールを決める

・意味でまとめる
パワポの3要素(文字・写真・図解)を、意味のまとまりごとに近づけて配置することで、情報の固まりとして視覚的に認識しやすくなります。

・余白をつくる
余白のない資料は、情報の内容や意味のまとまりを認識しづらくなります。余白を作ることで、読みやすく理解しやすいデザインにしましょう。

プレゼンとは「プレゼント」

ここまで駆け足でしたが、伝わるプレゼンを作るための「ビジョン・ストーリー・デザイン」の作り方を紹介してきました。

プレゼンとは、ただ単に自分が伝えたいことを発表するためだけのものではありません。自分本位のプレゼンでは聴き手の関心も得られづらいため、せっかくプレゼンをしても人に聴いてもらえないという経験が続き、プレゼンをすること自体に苦手意識を感じてしまう人もいるかもしれません。

プレゼンとは聴き手に対する「プレゼント」であるべきです。自分だけでなく相手の生活や会社が良くなり、最終的には人生にとってもプラスになるような提案をすることで、聴き手が興味を持って聴いてくれるようになり、プレゼンをすること自体がどんどん楽しくなるでしょう。

相手本位で考えたプレゼンで「お互いにとってWin-Winになる未来をどのように作っていくか」というストーリーを分かりやすく伝え、聴き手と一緒に行動を開始するきっかけにしていきましょう。

まとめ

今回はパワポにおける「ビジョンの共有」についてお話しました。プレゼンで結果を出すためには、まず聴き手が感銘をうけて協力したくなるような価値観をビジョンやメッセージの形で表現する必要があります。そして、お互いにWin-Winになるような未来に向かってどのような行動をとればよいかを明確にすることで「人を動かす」イケポをつくれるようになります。

「人を動かす」ためには、ビジョンだけでなく読み手に伝わりやすいパワポを作らなければなりません。そのために「ビジョン」「デザイン」「ストーリー」の3つを戦略的に組み立てましょう。まずは、何のためにパワポを作るのかという「ゴール」をしっかりと考えてから、パワポ製作に取り組んでください。

日本ではプレゼンについて学校や会社で学ぶ機会があまりなく、あるべきパワポの姿について明確なイメージを持っていない社会人も多くいます。これを逆にアドバンテージとして前向きにとらえ、これから行うプレゼンで多くの人の心を動かし、沢山の人に協力してもらえる状況をつくり、周囲を巻き込みながら人生をより良い方向にデザインしていって欲しいと思います。

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