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お札のはなし2

今日ギャラリーとスタジオを見学に来られた方々に、お札を実際に破るという体験をしていただきました。お金を破ったことがない人がほとんどだと思うので(当たり前か)その背徳感と圧迫感を味っわてもらうのは、実はちょっとだけ仲間を増やすような感じがあります。それに気づくこと自体が作品への入り口が開くことになるからです。

多くの人は、今これから自分が破ってみようとするお金の価値を日本円に換算します。それこそが貨幣の価値というものが私たちの奥深くに根ざしていることを表しています。もちろん高額紙幣は持っていないし(笑)日本円も破りません。いくらアートと言えども法治国家の中で制作している限り法律の範囲内で行います。そのあたりに前々から不安があったのですが、今年Art Lawを専門とする弁護士の木村剛大先生に相談にのって頂きました。(@KimuraKodai-Twitter)

私のやっていることは、お札をお札として使用するために複製・加工していないので大丈夫だと自分の中で納得が行きました。ただ、破壊するということは何かその価値を貶めるようなところがあります。それは法律云々とは別な心情的な問題で、あるギャラリーの方に異国の定額紙幣なら破っても良いということは、そこにあるものをもっと見る必要があるのでは、と言われてハッとしました。

多くの場合、その国の偉人がお札に使われています。そこに思い入れがないからこそ破ったりちぎったりできるわけで、一応心の中で謝りつつ顔の部分を破いています。最終的には愛しいと思える表面になるように、手をかけて作ることであらゆる紙を成仏させたいと思っています。

今後はできれば貨幣価値が変化して使用されなくなった紙幣を中心に、マテリアルとして使いたい、そこに感じられる価値の揺らぎやお札を作品に使う、私なりの攻め方を大事にしたいと思うのです。

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