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枯れない花束


深夜にベランダから脱走!?

おばあちゃんは必死に誰かを探していた様子でした
換気用の小さな隙間からベランダにでて介護スタッフの背筋を凍らせたおばあちゃんと介護施設のスタッフとのお話しです

おばあちゃんは夜になるとよくベッドから降りて不自由な足の代わりに器用にお尻と手で活発に静かにリビングを動き回っておられました

昼はウトウトされながらも時にシャンとして
関わるスタッフを哲学的に優しく励ます不思議なおばあちゃんです

手を合わせて''ありがとう"が口癖なおばあちゃんです

人一倍手がかかるおばあちゃんは
みんなに愛されていました

スタッフは最後まで一緒に居たい、出来ることをしたいと想っていたけれど
もっと深く愛する家族の想いに寄り添って
施設から病院に移る事になりました

ぽっかり空いた隙間を埋めるように
スタッフはリビングの壁におばあちゃんの写真を沢山飾りました

いつかプレゼントした花束もドライフラワーにして素敵に飾りました

介護スタッフ達は仕事の間に手を止めて少しの間
その壁を見るのでしょう

寂しさをこんな風に逃しながら
気持ちをコントロールしながら

日々をこなしていく

ありがとうと言って貰った分
笑顔を見せて頂いた分
心にはずっと花が咲いているはずです

この壁の模様替えをするときにも
きっとその花は枯れないはず

終末期は色んなドラマがあるけれど
その中で少しでもゆっくり想いが大切に届くように
また新しい花束を誰かに届けていこうと思います


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