限りなく無料のコンテンツの値段と、広告の力の信仰と。
これはほんとそうだろうなぁ。本を出しませんか?と有難いことに出版社からお声がけいただき挫折した身として思う。
出版の採算。
ものすごく割に合わないもん。印税、サービスして10%です!と自信満々に言われても、それって消費税と変わらないし、残りの90%ってどこに消えてるの?って疑心暗鬼になる。
初版2500部で、実売数でお金入ってくるとして
仮に2000円の本を出して、そこそこ2000部売れて、40万円。
ラッキーで5000部売れたとして、100万円。
本を出すのを試みてみたからわかるけど、実働でいうときゅっと締めても1-2ヶ月以上の手間がかかる。他の仕事をしながらだと尚更、半年以上はかかりそうだった。予算が限られているから、写真は素人の自分の持ち込みだし、イラストをお願いした友人にも数万円しか出せないのも、気になっていた。
本を出したら、こじまさんの宣伝になりますよ!
と励ましていただいたけど、私は、売れる本をつくりましょう!じゃないのか、と気持ちがちょっと折れてしまった。
あと、本って、世に出すまでのラグが原稿完成から通常2-3ヶ月で長過ぎて、アップデートされる業界のことならなおのこと。本にする文章を書くのは、ネット発信の文章を書くのと訳が違う。あとから直せない。真面目すぎるのか、インターネットの発信に慣れているかなのか、筆がとまっちゃった。云々悩んで、ものすごく悩んで、私は自爆しました。。
無料の講演?
ときどき、講演?や登壇に呼んでいただけることがあって
申し訳ないけど、無料で、、お願いできますか?
その代わり、宣伝したいものがあったらぜひ!
とご厚意でお声がけいただき、
現場に行って時間や交通費がかかるものじゃないし、むしろ有識者としてお声がけいただいてありがたいしまぁいっか!と思って、快く返事をして
事前打ち合わせもして、参加者の方が聴きたいであろうことを想定して準備して、講演に臨んだものの
講演内容をイラスト化する方、記事化する方が用意されていて、後から某メディアの記事になります!とはりきって準備していただき
とてもありがたい反面、複雑な気持ちになった。
イラスト作成者、記事作成者、にはお仕事料が出る。
イベントで集客して参加者の情報を収集し、記事化してそれをなんらかの形で売るメディアもメリットがある。けど
コンテンツ提供者にはお仕事料は出ない。
けど宣伝できるというメリットがある
という信仰は果たして正しいものだろうか。
コンテンツそのものを軽視してはいやしないか。
自分の思想のひとりカラオケだったら、SNSでやってる。
多数の聴き手のいるイベントの登壇だったら、受け手を意識した情報の編集や準備だって要る。
参加費も無料だったイベント終了後のアンケートに、
「登壇者の宣伝が多いのが気になった」
という感想が散見された。イベント参加者は、多数の大手企業の会社員の方々。
宣伝というか、、こうやってコンテンツは消費されていくのか、と思った。
素人ののど自慢大会だと思われたんだろうか。コンサートではなく。
情報に対して経済がまわらないと、無料でも発信したい自己顕示欲の強い者が生き残り、情報が劣化していく危機感がある。情報=広告だから無料、みたいな。
みんな、情報をタダだと思っている会社員みたいにベーシックインカムを持てば、気にならなくなるのかな。
情報を磨く時間が欲しい、余白が欲しい。
安易にコンテンツを広告と見立てるのではなく、求められるコンテンツにお金がまわる仕組みが欲しい。
情報の流通がここ20年で劇的に変わったのであれば、
お金の流通も変わって然るべきだし、情報のサスティナビリティを考えたい。
お時間いただきありがとうございます。