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大手調剤薬局のマネジャーを辞めて、地元に住む患者様の在宅療養を支援したい思い(有給休暇 その18)

このnoteを開いていただきありがとうございます。

薬剤師のくみと申します。私は大手調剤薬局に13年勤務し、ありがたいことにエリアマネジャーにまで就かせていただきました。

そんな私がその地位を捨て、地元秦野市の在宅医療を推進するために退職します。今は11月1日からの勤務に向けて、1ヶ月間有給休暇を取得中です。

この1ヶ月間、何かやりたいなと思い色々考えたのですが、とりあえずこの13年間を振り返り、私が大手調剤薬局で得た「学び」や「気付き」を発信したり、有給休暇中に感じたり、考えたりした事を自由に表現するためにnoteに挑戦してみようと思い、今書いています。

あまり固くならず、シンプルにやりたいなと思ってます。文章を上手に書く自信はありませんが、もし少しでも目に止まり、興味があって読んでいただけたら幸いです。

18回目となる本日のnoteですが、本日のテーマは

「大手調剤薬局のマネジャーを辞めて、地元に住む患者様の在宅療養を支援したい思い」についてです。

今日は10月27日。10月の有給休暇も残り5日間です。改めて今の自分の思いや考えをまとめてみようと思い書いてみました。


在宅医療との出会い


私は神奈川県出身ですが、卒業大学は地方にあります。薬学部を目指した理由も医療家系でも、家が薬局をやっているでもありません。

すごく後ろ向きな理由です。

・文系よりは理系が得意だから理系に

・数学ⅢCはやっていて何かつまらないからこれで受験したくない

・理系にいったものの、理学部、工学部って何を学ぶのか正直よく分からない

・ただ、小さいころからボランティアや福祉の活動はしていて、人の役にたつ、「ありがとう」と言われて嬉しかったことはある

この条件に当てはまり消去法で上がってきたのが「薬学部」でした。なんともまぁ「ぱっと」しないなと思うと同時に、自分らしいなとも思えるので、むずがゆい気持ちで受験したのを覚えています。

受験勉強を頑張ったつもりでしたが、現役での結果は不合格。世の中にはもっと頭の良い人がいて、そういう人が薬剤師になるべきなんだ。。。と悩んだ時期もありました。

それでも大学にいかないとマズイと焦った私は、親に頭をさげ、勉強してなんとか受験に受かり、4年間大学で勉強することになりました。

大学で色々学ぶうちに、薬剤師という職業は「薬学を使い、人の役に立てる仕事なんだ」と思うようになり、薬理学、薬物動態学など薬学部でしか学ばない学問も必死に学び楽しかったです。

そんな中、大学4年生で病院・薬局実習に行くことになりました。

私は2007年に卒業しましたが、その時は病院薬剤師が病棟業務を行う必要性があるという話が出たか出なかったかぐらいだったと記憶しております。

病院薬剤師は抗がん剤、注射材等多くを学べるし、これからは病棟に出向き、もっと薬剤師として活躍するんだと友人も言っておりました。

ある時、病院実習で指導をしていただいた薬剤師の先生がこんな事を話してくれたのです。

「病院では24時間医療従事者が入院患者をサポートして、完璧な治療を受けている。私はそんな入院患者様へ病院薬剤師として最適な薬物治療でサポートするのがやりがいなんだ。」

「かっけー!!兄貴!!」と思って聞いていた後、続けてこうも話してくれました。

けど、治療を終えて退院をした患者の中には、悪化して再入院する方も多くてね。入院時の持参薬もぐちゃぐちゃの方もいるし、食生活も乱れてる。結局、自宅では自己管理になるから難しいのかもね

私はこの言葉を聞いて思いました。

入院生活をする時間と退院してご自宅で過ごす時間って圧倒的にご自宅で過ごす時間の方が多い。それなら、ご自宅で体調管理や服薬管理、薬物治療のサポートをした方が患者様は喜ぶのではないかと

私が在宅医療に興味をもったきっかでした!

体に電気が走る感覚!!

とまではいきませんが、自分の中で鮮明に「これだ!」という感覚は今でも覚えています。

次に、薬局実習に行きました。

受け入れていただいた薬局では、在宅医療を取り組んでいるのかなとワクワクしていたのですが、そこでは在宅医療には取り組んでおりませんでした。大学病院門前で処方箋枚数はかなり多く、「さばく」という作業にどの薬剤師の先生も必死でした。

在宅医療について指導薬剤師の先生に現状を聞いてみました。

「うちみたいな少数薬局では在宅をやる力は無いところが多いのではないかな。在宅って手間と労力がかかる割には採算とれないんだよね。大手の会社なら資金も人もあるのでそっちのがやっていると思うよ」

なるほど。介護保険制度が始まったのは2000年。在宅医療に取り組んでいる薬局も少なく、薬剤師が在宅医療にという話がでて、動き出してきたなという時期でもあったと思います。在宅医療より、門前で処方箋を集めたほうが利益がでるという立地依存は根強いものでした。


いま処方箋を持ってきていただいている患者様の中には、以前入院していて退院後そのお薬をずっと飲み続けている人がいるかもしれないのに、忙しすぎて体調や服薬状況について確認する暇もなさそうでした。

目の前の処方箋をさばくだけで慌ただしいと、今までずっと来ていた患者様が急に来なくなったときに、果たして気がつくことは出来るのだろうか?そういう患者様はどうなったのか心配ではないのだろうか。。。?

病院で知った事実と、調剤薬局でやるべき事に乖離があることを感じたことをよく覚えています。


大手調剤薬局への入社


けど私は思ったのです。現場で在宅医療に取り組めていないのなら、自分でやればいいじゃないか

私が入社する会社は、「在宅医療に力をいれ、患者様のご自宅での在宅療養をサポートすることに力を入れている会社」しかないと。

目的が明確でしたので、さほど就活には困りませんでした。

こうして約13年間、在宅医療に力を入れている大手調剤薬局に入社することになりました。

なぜ大手か?については、実習当時

・人と金と物(設備)というリソースは多いにこしたことはない

・少数より、多数店舗の方が在宅医療に取り組めるチャンスがある

・在宅医療をやるにも知識が無い。多数店舗で異動しまくって薬剤師としての腕をあげる

上記3つが理由でした。

入社したのが23歳でそれからの7年は必死で働きました。ヘルプ依頼があれば地方だろうが手を上げる。業務終了後の勉強会への参加。異動の打診があれば喜んで。全ては在宅医療を学ぶ基礎体力をつけるためです。

30歳を迎えた年。ついに地域の在宅医療を推進するという医師と巡り会うことが出来ました。

在宅患者数0からのスタート。連携を取りつつどうすれば在宅医療を行える体制を整えることが出来るか、処方提案のタイミングは?など細かいすりあわせをしつつ、少しずつ在宅の患者様を増やし、療養を支援することが出来るようになりました。

そこから店舗責任者(管理薬剤師)として5年地域の在宅医療を推進し、患者様も在宅療養をサポートすることに携わることが出来ました。

この5年間は自分の薬剤師人生で一番充実していました。薬剤師になった理由は消極的な理由でしたが、それでも患者様の「ありがとう」はお役に立てているという実感を得ることが出来ました。

やりたいことが出来る時の人間のエネルギーは凄まじいし、集中力が違います。

そんな中、35歳でエリアマネジャー打診の話がきました。私は悩みました。在宅医療を取り組むために今まで現場一筋で働いてきたからです。それでもが受け入れる決断をしました。

理由は

・後輩育成の為に管理者の席を空けること

・上にいき、在宅医療の推進について声をあげて出来るのではないかと思ったこと

・何でも学びたいという価値観もあり、打診があったのでとりあえずやってみようと思ったこと

上記3つです。

こうして2年前にマネジャーになりました。

ここからはやるべき仕事が180℃変わりました。売り上げ管理、労務管理、異動打診、加算取得の推進、メールでのやりとり。。。

対患者様から職員(部下)に切り替わったのです。

マネジメントなんて薬学部では習わないので、現場で手探りでやるしかなかった。

上司には怒られ、現場からの厳しい声、トラブル対応

薬剤師として現場にも入らなくなり、日々ノートパソコンとにらめっこしていくうちに

「自分は何のために仕事をしているのだろう」

と自分を追い込んでしまったのです。上にいき在宅医療を推進したいという思いは薄れ、マネジャーとして仕事することが難しいと考えるようになりました。

「一流の野球選手が、一流の監督になれるとは限らない」と何かのテレビで知りました。

プレイヤーとマネジャーは全然違うんだなと思ったのを強烈に覚えておりますし、今でもそうであると思ってます。

それでも、私を上司と思ってくれている部下に申し訳ないと思い、必死でマネジャーとして仕事をし、少しずつ結果も出るようになり、ちょこっと楽しくなりかけていました。そんな事を2年間やっていくうちに1つの出会いがあったのです。

地元で在宅医療を推進している薬局経営者との出会い


マネジャーとして働いて2年。ある日、地元に住む薬剤師が集まっている会があるので、よかったら顔を出さないかという連絡がきました。

私の地元は田舎なのですが、のんびりと時間が流れる地元が好きで家も建てました。山と川と海も近く、子育てする環境も良い。両親も近くにいるので何かあれば面倒を見てくれる。都心の駅近マンションにも憧れましたが、ローンも払えんし(笑)。何より、都会の空気より、田舎の空気が好きでした。

そこで、在宅医療に取り組んでいる地元の薬局経営者とお話する機会がありました。

お話をきいていると、私が病院実習先で思ったことと一緒だったんです!!

正直驚きました。こんなにも目的が明確で一緒の人と話すことが楽しいのかと。

前のめりになりながら、私もマネジャーとしての現状を聞いてもらいました。すると

「今度薬局に遊びにおいで!あなたみたいな人を探していたんだ」と言っていただけたのです。

こういう展開って漫画だけだろ!と思って馬鹿にしていたのですが、本当に現実に起こったんです(笑)

そこからは大手調剤薬局を辞める決断をし、大好きな地元で働き、自元に住む方の在宅療養を薬剤師としてサポートしようとすぐに行動を起こしました。

大手調剤薬局のマネジャーなんて誰もが就けるわけじゃない。100店舗あれば、薬局長は100人。その店舗を編成し15エリア作ったとしてもエリアマネジャーは15人しかなれない。そんなおいしい条件を捨ててまで辞めるのか?とたくさんの方に言われました。

もしかしたら、こいつ頭おかしくなったんじゃねーかと思われていたのかもしれません。

しかし13年間大手の恩恵を受け、学び成長し走り続け、マネジャーまでやれた自分だからこそ言える。

「出世や安定より薬剤師として残りの人生は、もう一度自分がやりたいこと、実現したいことに時間を使おう」

こうして新しいスタートをきっていこうと思ってます。

以上です。

長々と書いてしまいました。全然まとまっておらず自分の考えていること、今思っていることをそのまま書きました。

11月に新しく一歩を踏み出す為には、ちょうどよい振り返りかと思っております。

私のnoteがあなたの「学び」や「気付き」に少しでもお役に立てれば幸いです✨

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薬剤師くみ(在宅薬剤師×元大手調剤薬局エリアマネジャー)
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