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ICTが無くても出来る!服薬期間中のフォローを薬局で推進する為のノウハウ教えます!(有給休暇中 その12)

このnoteを開いていただきありがとうございます。

薬剤師のくみと申します。私は大手調剤薬局に13年勤務し、ありがたいことにエリアマネジャーにまで就かせていただきました。

そんな私がその地位を捨て、地元秦野市の在宅医療を推進するために10月31日をもって退職します。今は11月1日からの勤務に向けて、1ヶ月間有給休暇を取得中です。

この1ヶ月間、何かやりたいなと思い色々考えたのですが、とりあえずこの13年間を振り返り、私が大手調剤薬局で得た「学び」や「気付き」を発信したり、有給休暇中に感じたり、考えたりした事を自由に表現するためにnoteに挑戦してみようと思い、今書いています。

あまり固くならず、シンプルにやりたいなと思ってます。文章を上手に書く自信はありませんが、もし少しでも目に止まり、興味があって読んでいただけたら幸いです。

12回目となる本日のnoteでが。本日のテーマは

「ICTが無くても出来る!服薬期間中のフォローを薬局で推進する為にやるべきこと!」についてです。

2020年9月に服薬期間中のフォローが義務化されました。薬剤師の方も取り組まなければいけないと思いつつも、

「取り組み方が分からない」

「現場は忙しくてそれどころじゃないよ」

など様々な声があがっていると思います。

そんな中、マネジャーとして管轄していた店舗において、私は服薬期間中のフォローを推進するために、色々な手段や考えをもってして、現場の通常業務内に組み込むことが出来ました。

その経験を元に、皆様にも私がどのようにして服薬期間中のフォローを推進したのかについてノウハウを伝えたいと思います。

まず、今回話す内容について簡単にまとめておきます

① 薬局長(店舗責任者)のマインドセットをする

② 服薬期間中のフォローを行う為に必要な環境を整える

③ 事例や情報を水平展開する

① 薬局長(店舗責任者)のマインドセットをする

服薬期間中のフォローを通常業務内に組み込み、推進していく為に必要なことは、薬剤師が「なぜ、服薬期間中のフォローをやるのか」という目的を理解し、腹落ちしていただかないとどうすることも出来ません。

これは私が以前書いたnote記事にもあるのですが、人は目標だけ設定されても、明確な目的が無いと行動することは出来ません。(以前書いたnote記事はリンク設定にしてあるので、読んでからの方がより理解していただけます。)

いくら知識がある薬剤師がその店舗にいようが、経営者やマネジャーが義務化されるからやってと言われても現場の薬剤師は行動しません。

服薬期間中のフォローを行うにあたり、困難な課題や問題という坂道を車(職員)が走りきる時に、目的というガソリンが無ければ走りきることは出来ません。

薬剤師全員に対して目的を明確にさせる必要があるのですが、一人ひとりに対して、目的を伝えては時間もかかるし、外来業務で忙しい薬剤師の迷惑になります。また、経営者やマネジャーは毎日その店舗にいるわけではありません。そこで、薬局長(店舗責任者)にまずは目的を明確に行動してもらうようにマインドセットをします。

具体的にどのようにマインドセットをしたかというと

・薬局長会議で自作したPowerPointの資料を使い、プレゼンをした
・店舗訪問時、個別面談でも服薬期間中のフォロー実施の目的をお話した
・何よりも患者様にメリットがあることを伝えた

私自身が本気でやりたかったので、その熱意と気持ちをもって薬局長に正面からぶつかっていきました。人は感情の生き物。いくら理論的で正しくても、上司が本気にならなければ、部下は絶対についてきません。

店舗責任者の薬局長が目的を理解し、熱意をもって取り組む姿勢を見せることで、そこの店舗職員も取り組んでくれるようになります。

薬局といえども小さい組織です。何かに取り組むためには組織内で共通の「考え」をできるだけ多く共有すると、組織が強くなり、目標達成率があがります。

② 服薬期間中のフォローを行う為に必要な環境を整える

薬局長とその店舗職員のマインドセットが終わりましたら、次はフォローを行う為の環境を整えることです。いくら、目的を理解してやる気をもって取り組んでいただけても、環境が整ってなくては出来ません。

そこで、服薬期間中のフォローを実施するために何が必要かを薬局長を中心に店舗職員みんなで考えていただきました。あがった意見としては

ア)処方医の承諾をとる必要があること
イ)患者様への周知と理解が必要であること
ウ)フォローをするために必要なツールの整備

ア)処方医の承諾をとる必要があること

近隣クリニック院長にお話をしに行きました。これも院長になぜ薬局がフォローをするのか、医療機関にどのようなメリットがあるのかも含めてご説明をしました。「義務化になったからやります」ではあまりにも寂しいです。義務化しなかったらやらなかったのか?と言われたら、何も言えません。

そもそも、服薬期間中のフォローを実施する上で確認するべきことは3つです。

・服薬状況
・薬効確認
・副作用の確認

この3つを、次回患者様が通院する前に、薬剤師が必要と判断したらフォローし、文章でフィードバックしますとメリットを伝えれば、断る医師はほとんどおりません。ほとんどと言うのは、別のエリアでは、「そんなことは薬剤師がするもんじゃない!立場をわきまえろと」怒鳴った先生がいたみたいですが、稀でしょう。今回も無事承諾をいただけました。

イ)患者様への周知と理解が必要であること

患者様からしてみれば、今までお薬をもらって次回処方日数まで会わないと思っている薬剤師から、フォローに対してアプローチが来るようになります。急に電話したり、お手紙などを送ったらびっくりして何事かと思うことでしょう。そこで、2つの取り組みを考えました。

・薬局内に服薬期間中のフォローを行う旨のポスターを掲示
・電話フォローするための案内書の作成

ポスター掲示についてですが、場所は待合席の目線の高さになる所が良いと思います。私がみていた店舗では投薬カウンターに貼ったり、飲み物を提供するサーバーに貼ったりしてました。これは各店舗の都合があるので、色々検討してみるのがよろしいかと思います

案内書の作成ですが、投薬時、フォローをしてもよいか同意を得ますが、例えその場で同意をいただいたとしても、忘れてしまう可能性があるのではと思いました。また、家の電話やスマートフォンに急に見知らぬ番号から電話がきたら、不審がり対応していただけないかとも考えました。案内書に記載した内容は主に3つ

・薬局名
・フォロー予定日時
・薬局の電話番号

これを記載した用紙を作成し、投薬カウンターに設置しすぐに記載し、患者様にお渡し出来るようにいたしました。

ウ)フォローをするために必要なツールの整備

今度は薬局内でのツールの準備です。今回のフォロー手段は「電話」対応をメインで考えていましたが、実際にだれにいつ、どのような内容のフォローをするのか、薬局で共有管理するものが必要であると考えました。そこで図のような表を作成して、すぐに記載出来るように電話の近くに置きました。

(小さい図ですみません😣💦⤵️)

服薬期間中のフォローをするにあたり、担当した薬剤師しかフォローする内容が分からない、今日どの患者様をフォローするんだっけ?、など混乱が生じる恐れがあるために、管理表を作成しました。またこの管理表があれば、担当した薬剤師がお休みでも、別の薬剤師が担当しフォローすることも可能です。この表は今後ICTが発展して、レセコンや薬歴と連動すれば管理が不要になると思いますが、アナログの方が分かりやすいという方は便利だと思います。

次に、薬歴にフォロー予定内容をどこに残すかを決めることにいたしました。

電子薬歴を使用している薬局が多いと思うので、薬歴の経過記録にフォロー内容を記載することと、同じ内容を薬歴の表紙にも残すことにしました。

なぜ、薬歴の表紙にも同じ内容を残したかと言うと、表紙は監査時必ず確認するため、フォロー内容の確認漏れを防ぐためです。先ほどの管理表で今日はどの患者様をフォローするかは把握しているとはいえ、忙しい外来業務の中では忘れてしまう可能性もあります。そんなとき必ず確認する表紙に残しておけば漏れが無くなるのではないかと判断したためです。今の電子薬歴は、薬歴の経過記録を表紙と連動して内容を反映することが出来ますので、2度手間にはならないです。

最後に、フォロー後の内容についても薬歴の経過記録と表紙に連動し、管理表にも記載して一連のフォロー手順は終了となります。

③ 事例や情報を水平展開する

事例に関しては「こんな内容フォローと言えるのかな?」と、ご自身で勝手にハードルをあげてしまう薬剤師もおります。薬剤師がフォローして副作用を防げた事例は確かに素晴らしいことですが、私は薬学的アセスメントをしてフォローを実施した結果、患者様に何も不利益が生じなかった、体調が何も変化なく安定でしたと医師に報告することも素晴らしい仕事をしたと思っております。

そして、フォローした事例に関しては管轄している別の店舗でも情報共有として水辺展開をしました。私はドロップボックスを利用して、専用の事例報告ファイルをつくり、そこに気軽に報告してもうことにしました。いちいちマネジャーにメール報告をするのはめんどくさいし、通常業務に組み込むためにはおすすめです。

これをやることで、フォローをした店舗が評価されることはもちろん、フォローを行った薬剤師を実名公表し、その薬剤師のモチベーションアップに繋げ、さらにフォロー推進に取り組んでいただくことが出来ました。また情報共有された店舗は、やり方や事例をまねすることで、その店舗でも服薬期間中のフォロー推進を繋げることが出来るメリットがあります。

 やったことが無いこと、知らないことに対して取り組む時には抵抗や恐怖を感じるものです。0→1を推進させるためには、「自分でもなんとか出来そうだ!」と感じてもらうことが大事です。そういう意味で情報の水平展開は少ない労力と時間で、最大の成果を上げることができるレバレッジが高い取り組みだと考えています。

いかがだったでしょうか?

今回は私が、服薬期間中のフォローを推進するために現場店舗で取り組んだ内容をお話させていただきました。

服薬期間中のフォローはあくまでも手段であって目的ではありません。手段の先に患者様の「医薬品の適正使用」「薬物療法の質向上」があることを忘れてはなりません。この目的が達成されることで、薬剤師は患者様から求めれる医療従事者となれると思います。

私のこのnoteが皆さんの「気づき」と「学び」に繋がり、明日からの仕事にお役立ち出来れば幸いです✨

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