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どうしてこうなる?フランスのトイレ事情

お返事は、はい!かOui!かBien sûr !
Salut ! クミ長です♪

日本のトイレが綺麗なのは世界でも有名らしいですが、それは海外に行くと良くわかります。アジア圏の公衆トイレは、よほどの緊急事態でなければ入りたくないと思ってきましたが、それはフランスも同じで、ガッカリします。

便座問題

フランスのトイレは有料のところがあります。公衆トイレでもだいたい1€。たいていの場合、誰か担当者がそこに居るので、安心ではありますが、有料=清潔、とはなりません。

有料でも無料でも、公衆トイレには、便座がないことがよくあります。その理由は「どうせ壊れる」と答えられることが多いらしいのですが、そんなめったなことでは壊れないでしょう?便座。

SNCFの公衆トイレ フランス国鉄の駅には公衆トイレが設置されています。トイレットペーパーもあります。使用するには1〜2 €

よって、着座できませんので、太ももの筋肉が命綱です。ぷるぷるしながらご用が終わるまで頑張るしかありません。こんなことなら、和式の方がずっと潔いのにと、毎回思います。

トイレで筋トレ

パリオリンピックでトイレ事情は良くなった?

2024のパリオリンピックで、私はトイレが綺麗になるのではとうっすらと期待していました。でもトライアスロン選手がセーヌ川で体調不良と聞いて、この期待はあっさりと打ち砕かれました。あの川がオリンピックできれいになるなら、パリの水事情を改善する機会は何度もあったはず。トイレも同じか・・・。

でも、今回宿泊したホテルのトイレは、どこも合格点でした。以前のフランスと比べての合格点で、日本とは基準が違い過ぎますが、それでも、こんな風にはなっていました。

ホテルの受付があるフロアのトイレ。ここは便座ありました

ホテルが四つ星になると、どこが変わるかというと、広さ、です。
無駄に広い。
怖いくらい広い。
ひとりだと心細くなるくらい、ただ、広いのです。(ひとりだけど

便器が小さく見えるほど広い

ここなら、個室3つは取れると思いました。まぁ、個室が増えたら掃除をする場所も増えるので、それが面倒なのかもしれませんね。

道路に面した公衆トイレ

パリのトイレ事情が悪いのは、本当に酷くて、急に「トイレいきたい」となっても入れる場所があるとは限りません。小売店などは「トイレはありません」と絶望の答えが通常。どうしてもというときは、カフェに入ってコーヒーを頼んでトイレに直行。これしかありません。だから私も出かけている時は水分を摂り過ぎないように気をつけつつ、お店から出る時は次のトイレを考えて移動するようにしていました。日本ではこんなこと考えませんよね。

これも無駄に広い

さて、緊急時に役に立つのが上の公衆トイレです。街中に突然ボコッとあります。誰でも無料で使えます。ドアの開閉はボタン式で、使用できるのは、緑のランプがついているとき。トイレットペーパーは無いと思っていた方が安全です。持参しましょう。そして特徴的なのは、使用すると水を流すボタンを押すのですが、そのボタンを押した後トイレを出るとジャジャジャーッ大音量と共に洗浄が行われるのが分かります。これは便器の中に水が流れているのではなく、トイレの床にも水が流され、全体が自動洗浄されているのです。洗浄後が終わると、最初に着いていた緑のランプが点灯し、次の人が使用できる仕組みになっていますので、前の人が出た後すこし待っていなければなりません。この間、緊張を緩めないようにしないと、水の大音量で尿意が誘われる危険があります。ここ、お気を付けください。

さて、やれやれトイレに入れると思って中をみて、先程の尿意が失せたことがありました。床がカオス。落ちている紙屑と共に床はドロドロの水浸し。床に落ちていたであろうあらゆるモノも床の片隅に先程の水に流され山になっていて、もう言葉がありません。私はUターンしてホテルへ小走りで帰りました。間にあってよかったですけど、これはフランスの課題です。

見た目は悪くないんだけど

この↑右側の小さな囲みは、男性用の立○○ができるスペースです。中をのぞくことはしなかったので、良くわからないのですが、どうも、ひとつの筒状の便器に3人くらいが輪になって一度に排泄できる状態になっているらしいです。男性用の小便器が3つ輪になっているようなものでしょうか。男性はそちらの方が用が足しやすくて宜しいようではありますが、見えるの見えないのと論争もあるようです。しらんけど。

日本のトイレは世界に誇る清潔の象徴でもありますね。

映画「パーフェクトデイズ」


「パーフェクトデイズ」という映画をご覧になった方も多いかと思います。2023年の映画で、カンヌ映画祭で主人公を演じた役所広司さんが男優賞を受賞されました。公衆トイレの掃除を仕事とする男性の日常を、過去の遡りながら淡々と描くものでした。

(ここから少しネタバレですので、ご覧になっていない方はスルーしてください)

この映画は、見る人によって解釈が大きく変わるつくりになっていました。私は、主人公が公衆トイレの掃除という仕事を毎日黙々と、しかも大切に続けているのには大きな理由があると思いました。それは、亡くなった父親に関して、彼は何か大きな罪を犯すか被るかをし、長いこと刑務所に入っていたのだと。だから狭い部屋で決まった時間に寝起きし、粗末な布団をきちんとたたみ、毎日同じ場所で缶コーヒーを買い、誰もが使う公衆トイレを掃除することで刑罰を終えた後の贖罪の気持ちを表しているのではないかと。だからお寺の境内の小さな木の芽に命を感じたり、トイレに残された小さなゲームに人の寂しさをみたりしていたのではないか、と。トイレに人生を感じさせるのは、日本人の清潔に関する捉え方が大きいのだと思うのですが、となると、この映画はフランス人にはどう映ったのでしょう。カンヌで賞を取ったということはフランス人の何かにも大きく響いたのは間違いないですから。

フランスのトイレが少し使いやすく進化したのは、オリンピックではなく、この映画の影響もあったかもしれない、と思ったのは私のいつもの深堀癖なのか、もしかしたら真実だったりするのか。

さて、次はフランスの食事情について、書きますね。では、また!

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