働きながら教員免許を取るには 〜入学編〜
私と同じように、全然違う分野の職業から、教員を目指そうと考えている人がいるかもしれません。そんな方々に向けて、大学の通信教育課程で教員免許を取得した私の体験記を記しておこうと思います。どこかの誰かにとって、少しでも役に立つことがあれば幸いです。
書いているうちに長くなっていったので、複数記事に分けます。今回は入学編としてお送りします。
どれくらいの期間で、いくらかかるの?
まず気になるのは、かかる期間と費用かと思います。
これまでの学歴によって、最低何年で修了できるかが決まります。私は、四年制大学卒(教育学部ではない)ですので、3年次編入(課程本科)という形で、最低2年は必要でした。
大学によって異なると思いますが、私の場合は最短2年での修了だと全体で約50万円かかりました。このうち、入学時に支払う初期費用は約20万円でした。この50万円の中にはテキスト代は含まれていません。私もいくら使ったかはっきり分かりませんが、ざっくり @¥2,200/冊 × 40冊 = ¥88,000 となるので、10万円弱がテキストにかかったと概算できます。合計で60万円は見ておいた方がいいと思います。
なお、「テキスト」と言っても、大半はAmazonでも売っている教育関連のソフトカバーの書籍です。中古本を買うなど工夫すれば、ちょっとは節約できるかもしれません。
どの大学を選ぶか
教員免許を取得できる通信教育課程は全国に複数あります。基本的には家で学習を進めるわけですが、「スクーリング」といって、実際にキャンパスに赴いて授業を受けないといけない科目もあります。ですので、基本的にはお住まいの場所からなるべく近い大学を選ぶのがよいと思います。
「基本的には」としたのは、コロナ禍でオンラインでのスクーリングが多いからです。私の場合は全てオンラインで完結したので、結果として場所は関係ありませんでした。
ちなみに私は、京都にある佛教大学を選びました。「選びました」とはいえ、実際、関西近辺だったらほぼ佛教大学しか選択肢はないのではないかと思います。
と言いつつ、佛教大学に通えてとてもよかったと思っています。他の通信教育課程の大学がどうかは分からないのですが、佛教大学は学習のサポートが手厚いと感じる場面が多くありました。履修の注意点なども分かりやすく示されており、電話やメールでの相談対応も丁寧で、通信教育であっても安心して学習を進めることができました。
一種免許か二種免許か
教員免許を取ろうとするときに選ぶ必要があるのが、一種免許と二種免許のどちらを取るかです。一種免許は四年生大学卒相当、二種免許は短大卒相当とされ、業務内容にも違いはありません。ただし、二種免許保持者は、一種免許を取得するよう「努力を促される」とのこと。
大学の通信教育課程での免許取得においてはどちらも選べるのですが、一種より二種の方が必要な単位数は少なくて済みます(倍半分までの大きな差はないのですが)。そのため、どちらを選ぶかは入学時の悩みどころの一つとなります。費用も二種の方がほんのちょっとだけ安くなります。
まずは二種で早く免許を取るのが先決で、後から一種に必要な単位を少しずつ取ろう、と考えるか、あるいは、どうせ取らないといけないなら最初から一種を取ってしまおうと考えるのか、仕事や家庭の状況などにもよってそれぞれ考え方があると思います。
ちなみに私は後者で、どうせなら最初から取ってしまおうと考えて、一種を選びました。教員になってからの方が忙しくなりそうだし、いま数単位増えるよりも、後から取り直すほうが腰が重くなりそうだなとも思ったので。
願書を提出しよう
さあ、入学の決心がついたら、いよいよ願書を提出しましょう。「大学」といっても、入試とかはないので安心してください。願書に不備がなければ入学できるはずです。
既に卒業した大学等があれば、卒業証明書のような証明書類を添付する必要があります。発行にかかる期間も考慮し、願書受付期間を逃さないように早めに手配しておきましょう。
大体、春と秋の年2回の入学タイミングが設定されていると思います。私は秋入学でした。
他の資格と比べて難易度は低い
以上が、入学までの概要となります。費用も時間もかかるので、「大変そうだな」と思われたかもしれません。
しかし、教員免許は他の様々な資格と比べると、取得の難易度は低いのではないかと思います。私自身、他の資格より恵まれている部分もあると認識できたことで、頑張らないとなあと思えた面もあったので、ちょっと紹介します。なお、他の資格のことを批判する意思は全くありません。
理学療法士・作業療法士
まずは、理学療法士・作業療法士。いわゆる「リハビリの先生」ですね。専門知識に基づいてクライアントの身体の回復に携わる立派な仕事だと思います。
まず、理学療法士も作業療法士も、通信教育での資格取得はできません。大学や専門学校に実際に通学する必要があります。通学か通信か、社会人にとってはかなり大きな違いです。仕事を続けながら通えるところもあるようですが、どこに住んでいるかによって左右されると思います。
費用面に関しても、やはり通学となると嵩みます。公立、私立、専門学校などの違いで幅はあるようですが、数百万円はかかるようです。
さらに、理学療法士・作業療法士は、養成校で学んだ後、国家試験を受けて合格する必要があります。修了と同時に「自動的に」もらえる教員免許と比べると、ハードルが多いなあと感じます(合格率は約8割あるそうですが)。
臨床心理士
臨床心理士はさらに大変だと思います。学校関連では、スクールカウンセラーとして関わることが多いのでしょうか。法律上、資格を持っていないとカウンセリングできないわけではないですが、事実上、一つの条件になっているでしょう。
臨床心理士になるには、まず、所定の大学院に入学する必要があります。大学でも専門学校でもなく、大学院です。通信制大学院もあるとのことですが、大学とは違って「選考」があります。受験に受からなければいけないので、誰でも入れるわけではありません。
また、修了するだけではなく、日本臨床心理士資格認定協会による資格試験を受ける必要があります。大学院修了で受験資格を得ることができ、試験に合格して初めて、臨床心理士の資格を得ることができます。
よそはよそ、うちはうち ですが
通信で取れる、費用も100万円以下、資格試験も要らない、と考えると、教員免許取得はそんなに大変とも言えないのではないかと思えてきます。まあ、最低2年間と60万円かかるという事実は変わらないので、あくまで参考程度に… 少し視野を広げてみて気が楽になればなあと思います。
終わりに
以上、今回は入学編でした。
次回は、実際の学習の進め方について書いていこうと思います。