私の生きてる世界では。
はじめまして。
あなたたは、どんな世界で生きているのかしら?
私の生きてる世界では、
みんな1人ひとり、生まれた時に種を持って生まれてきていて
その種は、それぞれのタイミングでその人だけの花を咲かすの。
その花は、愛で育つ。
愛と言うお水を注いで、どんな花を咲かせるのか。
それぞれの個性的なお花を持ち、愛でて、相手の持っている花も楽しんだりするのです。
私は、この誰が図ったかわからない仕組みが憎くて仕方ない。
私も何度か花を咲かせて生きてきた。
素敵な人と出会い、恋をして、愛されて幸せだと思い、その度に種にお水を注ぎ…
なのに、いつも咲く花は小さく、挙句には、もっと愛をちょうだい、もっともっと!と喋り出し、そしてすぐに枯れてしまうの。
まわりのみんなと、何が違うの?
なんで私だけこんなにうまく咲かせられないの?
あの人もあの人も、みんな綺麗な花を持っていて、輝いて楽しそう。
どんだけ生きても、お花の一輪も咲かせることもできないなんて、私は最低だ。
憧れのあの人みたいなお花を、私だって咲かせたい!あんな風に大きくて綺麗な花を沢山。
そんなことばかり考えてたある日、道で出会い頭に人とぶつかってしまったの。
・
・
・
「痛っ!ごめんなさい、ぼーっとしていて・・・」
そう言って目を向けた相手は。。。
あれ?いない?
どこ行った?
キョロキョロしていると、足元から
「こちらこそ、ごめんなさいね。あらま!ここだよ!ここ‼︎」
え?
確かにぶつかったはずなのに、喋っているのは小さな・・・えーとなんだろう私は頭がおかしくなったんだろうか。
小動物みたいにかわいい顔をした、小さな小さな・・・おばさん?おじさん?笑
「向こうからあんたが歩いてくるのが見えたんだけどね、あんまりにも思い詰めた顔をしていてさ、大丈夫かい?」
そんなふうに言ってくれた。初めての会話。
あ、大丈夫です。私こういう顔なんです。
「そんなことあるかいー。まぁ、なんとなくわかるよ。あんたの持ってるそれをみたらね。」
と私の枯れ果てて、芽さえ出てない小さなプランターを指差して言った。
私はこのプランターを、持って歩かなきゃならない事も恥ずかしいし見られたくないのに、出し抜けにそんなことを言われて顔から火が出そうになったの。
「恥じることなんてないんだよ。その種は何度でも芽を出すし、枯らすことが悪い事でもないんだよ。」
わかってるよ?
わかってるけど、嫌なんだよ。うまく育てられない自分が大嫌いなんだよ。
って心の中で呟いた。
「空っぽのプランターが恥ずかしいのかい?みんなと同じような花じゃないことが恥ずかしいのかい?いつも愛を注いでるのに枯れる事について理由を考えたことはあるかい?」
咲かせてみたいお花の理想、そして憧れてる形。そうならない苛立ち・・・。
あとは、私がうまく人を愛せない。愛を上手に受け取れない・・・。とかそうゆうことかしら?
「あのね、答えなんて本当はないんだ。考えるだけ無駄なんだ。」
何よ!小さいおじさんおばさん!聞いといて答えなんてないとか!
「あんたはかわいいねぇ。一生懸命どう生きたらいいのか考えてる。もうそれだけで本当は十分なんだよ。あんたはよくやってるよ。」
・・・な、何よ急に。恥ずかしいじゃないの。
とか言いながら、私は嬉しかった。
嬉しくてほんの少し愛が生まれて、私はその晩、種にお水をあげることができた。
私は人に褒められた記憶があまりなく、家族とも距離を置いているし友達も少ない。
こんな私と仲良くなりたいなんて思う人もいないだろう。
私も誰かといてそんなふうに思われたくないから、仲良くなんてしない。
だけど、あのおじさんおばさんに褒められた言葉を、あの日から何回も思い出しては、嬉しくなって愛が生まれてる。
私は褒められたかったのか。
「あんたはかわいいよ。」
「一所懸命考えてるよ。」
「よくやってるよ。」
そうだよな。私はよくやってるんだよな。
えらいな、私。
かわいいよな、私。
あれ、種が芽を出しいてる。
ツヤツヤ瑞々しい芽を出してる!
ドキドキした。
だって、初めてだと思う。
誰かを愛さなきゃ、種にお水をあげられないと思ってたんだから。
私は、自分が褒められたいと思っていた事に気がついて、そして自分で自分を褒めた時、すごく安心した。
いつも完璧じゃないと思って、心がささくれだっていた時の気持ちとは全く違う気分。
そう言えば、あのおじさんおばさん、あの日から会ってないけど、どうしてるんだろう・・・。
一体何者なのかわからないけど、また会いたいな。
「・・・呼んだかい?」
ひゃーーーっ。ここは私んちよ?
いったいどこから入ってきたの?
「あんたが呼んだからきたのに、随分ご挨拶だこと。あたしゃあどっからでも現れるよ。呼ばれれば。」
な、なんかよくわからないけど、とりあえず会えて嬉しいわ。
見て、私の芽が出たの!
「かわいいねぇ。すごくかわいいねぇ。どうだい?気分は?」
うん。私、誰かに愛されたと感じた時しかお水をあげた事が無くて、しかも、私は誰かに愛されるなんてもうないと思ってたし、こんな何も持っていない私が、花とか咲かせるなんて、そんでそんで、こんなことで喜んでるとか馬鹿見たいとかおも・・
「ちょっと落ち着きなさいよ。あんたどんだけ自分の悪口言えば良いの。かわいそうに。全部聞いていたよね、かわいそうに。泣きたくなっちゃうね。」
え?おじさんおばさんは、誰に言ってるの?私?
なんかそんな気がする。あれ、泣きたくなってきちゃった。
「ねぇ、あんたが今まで育てて枯れてった花たちは、急に話し出したりしただろう。なんて言ってた?覚えてるかい?」
・・・うん、もっと愛をちょうだい。って。
どんだけ幸せを感じていても、花は愛をもっとちょうだいって欲しがったよ。
いくらお水をあげてもあげても、土はスポンジみたいに愛を吸い込んでは、吸収せずに下へダラダラと滴り落ちていってるようだった。
「ねぇ。あんたの中に、もう1人あんたがいてさ、そのあんたがあんたに毎日悪口言われてさ、全く信用もしてもらえずに1人でいることを想像してごらん。」
私の中にもう1人の私・・・。考えたこともなかったけど、私は想像してみた。
私は、真っ暗な中で膝を抱えて、まぁるくうずくまってる。
ねぇ、って声をかけると、下をむいたままビクッと体を震わせてる。
また悪口でいじめられるのかと、身を固めてるみたいだ。
ごめん・・・。
気がついてあげられなくて。
愛してあげなくて、ごめん。 て、言ってみた。
そしたら、この小さい私が話し始めた。
1人で寂しかった。もっと私の話を聞いて欲しかった。
褒めて欲しかった。比べられるのがとても辛かった。
私は私と仲良くしたかった。
この言葉は、私がいつも愛した人に求めて、空回りした言葉だった。
私は私に聞こえた言葉を、勝手に他人に投げかけて求めていたんだ。
私が自分でしてあげられることを、他人にしてもらって埋めてもらおうとしたって、本当にしてほしい相手ではないから、満足するはずない。
「わかったかい?あんたは純粋で単純で、まっすぐだよ。そして愛をたくさん知っていて、持っているんだ。自分を疑わないで。」
自分をそんな風に思ったこともない。純粋で愛をたくさん持ってる・・・。
そんな自分になれたら嬉しいしなんだかウキウキする。
本来の私はそうなのだとしたら、なんて可愛くて素敵なことなんだろう。
うずくまってた私が、大きく伸びをして立ち上がったように感じた。
「あんたに笑顔が戻ってきたね。嬉しいよ。さてと、あたしゃ出かけようかね。」
え?どこ行くの?泊まっていけば?
またくるよね?明日来てくれる?
「いやいや、あたしゃね忙しいんだよね。だけどね、いつでも必要なときにまた会いにくるからね。」
「あ、ひとつね、言いたいことがあるよ。
誰かと関わることを恐れないでおくれ。あんたが自分と仲直りして、また花が咲いた時には、誰かとそれを喜び合うんだ。」
う、うん、わかった。できるかわからないけど。
「できるよ。あんたは本当は心でそれを望んでいるんだから。
あたしゃね、実はね、時間を旅できるんだよ。好きな時間、場所、時代、星に移動できる力を持っているんだよ。
難しいことはさて置いて、あんたが今こうしてポカーンとあたしを見つめている次の瞬間に、別人のように考え方を変えることだってあんたにはできるんだ。まるで別の星に瞬間移動したかのようにね。そしてそれはなんの不思議でもないことなんだ。」
言ってることがなんだかわからないし、好きな時間?時代?おまけに星???
なんだか凄過ぎて、うーん・・・と考え込んでるうちに、おじさんおばさんが消えていた。
ただひとつ理解できたこと。
私は、誰かと関わることを心で望んでいる。と言う、自分が知らなかった事実。
今日、私は自分という全く知らない誰かと出会った。まるでそんな感覚だ。
そしてそれは、親友と出会えたようなとても幸せで安心安全な感覚でもあった。
プランターに目をやると、芽を出したばかりの花が、あっという間に蕾に変化していた。
どんな花が咲くんだろう。
過去も今も未来も、自分が変えていける。
誰かと関わることで、こんなにも心が揺れて動いた。
今まで人目を気にしたり、人からの評価を気にして、そこから逃げてばかりいたけど、家族や友人にもうすぐ会えるような気がしてきた。
おじさんおばさんは、今どこを旅しているんだろう。
きっと会いたいなって思ったら、またすぐにひょっこり現れるのよね。
私も、明日には違う私で振る舞うことができるんだ。
本当の私で。
あなたはどんな世界で生きているのかしら?
私の生きてる世界では、
みんな1人ひとり、生まれた時に種を持って生まれてきていて
その種は、それぞれのタイミングでその人だけの花を咲かす。
そんな素敵な世界で生きています。
おわり。
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