読む絵本 『つばさ』①
大きくて暗〜い宇宙のどこかに、ひとつの小さくてまぁるい星がありました。
そのまぁるい星には、いろんな動物が暮らしているようです。
あ、一羽の小鳥がいました・・・
「あ〜 毎日退屈でつまらない。
毎日遠くまで行っては、いろいろなものをたくさんかき集めて、あらゆる物を手に入れてるはずなのに。
歩くのは疲れるし、もう欲しい物なんてないよ。
それにこの手。大きくて毛がたくさん生えてるし、じゃまでしょうがない。」
そうやってまた、ブツブツと文句を言いながらひとり散歩にでかけると、道端に小さなチョウがたおれていました。
「あの・・・そこのとりさん、すみません・・・
この辺には花もほとんどなく、蜜が吸えなくてとてもお腹が空いています。」
「フン。ぼくの知ったこっちゃないよ。花もこの辺にはないし。
ぼくはいそがしいんだ。では、さようなら。」
素っ気ない いじわるな態度で立ち去ろうとすると、
チョウは力なく言いました。
「どうかとりさん、お願いです。少しでも花の咲いている所があったら、連れて行ってくれませんか。」
とりさんは、めんどうだなぁと思いましたが、しかたなく大きな毛の生えた手でそぉっとチョウを抱き、自分の家に連れて帰ることにしました。
『本当は、苦労して集めたぼくの物をあげたりするのは、もったいない。』
心の中でそう思いながら、家に咲いている花の一輪を、チョウにあげました。
チョウはみるみる元気になり、とりさんの家じゅうをひらひらと美しく飛び回り、言いました。
「とりさん、ありがとう。おかげでこんなに元気になりました。
・・・ところで、どうしてとりさんの家には、こんなに物がたくさんあるのですか?」
とりさんは、むねをはって得意気に、
「どう?すごいでしょう。ぼくが苦労して集めたんだ。
きっとぼく以上にいろいろな物を持っているやつはいないよ。フフフ」
「たしかにすごいです。でも、これらは使ったあとがありませんね。
何に使うのですか?」
「べつに何にも使わないよ。ただ持っているっていうだけで、すごいことなんだからね!」
そう言ってとりさんは、自慢気に、持っていることがいかにカッコ良くてすごいのか、説明をし続けるのでした。
つづく♡
あとがき*
記念の第一話目、いかがでしたか?
本人、とってもドキドキしています。
みんなの頭の中で絵本ができあがって、動物たちがイキイキ動き回る、そんなお話になればいいなぁって思っています。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました!
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