読む絵本 『つばさ』⑤
サルには、木の実ひとつたりともゆずりたくない。
振り返ったトラさんの顔を見て、びっくりしたとりさん。
「あれは、水がめの中で見たぼくの顔と
そっくりじゃないか!」
そう気がついたとりさんの心臓は、ますますドキドキと早くなって、たまらず近くの湖のほとりにつばさを休めました。
おそるおそる湖に近づき、水面に自分の顔を写してみました。
そこには、水がめの中に写った顔とも、さっき見たトラさんの顔とも違う顔がありました。
目はキラキラと輝いて、ほほはピンク色に染まっています。
つばさは光を反射させて、青くなったり赤くなったり、黄色くなったり、とても美しく見えました。
「ぼくはチョウさんから、醜いと思っていた手は
[つばさ]だと教えてもらった。
毎日あんなにジャマで嫌いだったのに
それが本当はこんなに美しいものだった
なんて。」
そう言いながらも、ガックリと肩を落として
「でも、そのつばさで飛んできて、見たものは
とてもつらい事ばかりだった・・・。
なんで飛んできてしまったんだろう。」
そうして、とりさんはしばらく動けなくなってしまいました。
そのうちに日が暮れて、とりさんは深い深い眠りにつき、夢を見ました。
***
夢の中でとりさんは、チョウと一緒に楽しい音楽に合わせて、円を描きながら踊っています。
「ねぇ、チョウさん。
ぼくは、生まれて初めて友達ができたんだよ。
それがこんなにも楽しくて、うれしくて
ワクワクすることとは思っても見なかったよ。」
笑い合い踊っていると、しばらくしてチョウが言いました。
「とりさん、楽しかったです。
でも、いつまでもこうしていられません。
私はこれからまた、花たちの所へ
花粉を届けるために行かなくてはなりません。」
とりさんは、もっと踊っていたかったので
「どうして!せっかく友達になれたんだから、
あとしばらくこうしていたっていいじゃないか!」
と、少し怒った口調でお願いしたのです。
するとチョウが、
「だって、私にはこんなにも大きな羽が生えています。
きちんととりさんの姿が見える目もついてるし、
いろんな事を伝える口もあります。
それを必要としている所で使わなくては、
意味がなくなってしまうのです。」
そう言うとチョウはまた笑って、
「しばらくしたらまた会いましょう。
そして楽しいダンスを踊りましょう!」
そう言って消えていきました。
***
目が覚めると、とりさんは一粒の涙を流して、気がつきました。
「ぼくのつばさは、必要とされているんだ。
そして、ぼくはサルさんたちよりも、
沢山の物をあり過ぎるほど持っている。。。
そうか!そうだよね!」
と言って、また力強くつばさを振って、朝日に向かって飛び出しました。
太陽はあたたかくとりさんを包み込み、風は感じたことのない優しい香りと感触を運んでは通り過ぎて、みんなとりさんを応援してくれているようでした。
とりさんは、何度も何度も自分の家から、サルさんたちのいる砂の丘まで行き来して、花やくだもの、新鮮な水など、自分が持っていたものをサルさんたちに分けてあげました。
その中には、サルさんたちが見たこともない便利な道具まであって、その使い方をとりさんは教えてあげて、畑や水をきれいにするのに役立てました。
サルさんたちは、どんどんいろんなことを覚えて、そして大人も子供も協力し合い、どんなことでも楽しく工夫して、仕事も遊びに変える天才でした。
みんなで愛を込めて手をかけた大地、木、水すべては、すくすくと豊かに美しく姿を変えていくのでした。
つづく♡
あとがき*
自分の良いところってなんだろう。
私の魅力ってどんなとこだろう。。
私が輝ける場所ってどこだろう。
そんな事を考えて、出る結果より前に
本当は、ここにこうして「ある」だけで
私たちみんな完璧で素晴らしくて
魅力的な事なんですね。
それが分かっても、なんでどうして、もっと・・・
と、悩む。
その悩んで苦しんでいる事すら、
自分の望み通り。
望み通り?
望みがそんな風に通っているのなら、
今すぐその望みのチャンネルを変えたら
もう一方の望みが叶うのかな?
頭の中のパラレルなワールドを行ったり来たり。
そう、今私の頭の中は、意味不明な事で溢れています。
私は今日も真剣に、「ある」を実践中。
つばさは、もうすぐクライマックスです。
あとがきがいつも長くて、物語の後に現実に返してしまうのではないかと思いながらも、ついつい書いちゃう。どちらにも、たっぷり愛を込めて、そして一文字一文字を楽しみながらお届けしています。
今日もここまでご覧いただき、ありがとうございました♡
Instagram, Twitter やってます。
ぜひぜひ、ご感想やメッセージいただけたら嬉しいです♪
https://twitter.com/kumi_rock.936
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?