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Time to be Scary 〜ハロウィンにまつわるエトセトラ⑧〜

2004年11月1日の日記。
米国ヴァージニア州の片隅にある日系企業の現地法人で、日本人駐在員である「ぼす」の元、秘書兼通訳兼「やっかいごと よろず引き受け業」的な何でも屋さんとしてお仕事をしていた頃のお話。
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10月31日はハロウィンだった。

使う予定もないままに嬉々として「死神さんセット」を購入してしまったことは昨日書いたが、例年通り仮装パーティが行われることになって文字通り小躍りしていたワタシである。

「暗闇で光る」という骨の手指がついた手袋を入手していたにも関わらず、ハロウィンの為に伸ばしに伸ばした爪を、殆ど黒に近い緑色に塗って準備着々と進んだ。自前の爪。緑色。

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一品料理を持ち寄るスタイルの POTLUCK PARTY (ポットラック・パーティー)なので、実家の母直伝の和風スペアリブの煮込み料理の様子を時々見に行きながら、仮装の用意をする。

うまい具合に DAYLIGHT SAVING TIME (デイライト・セービング・タイム)ことサマータイムが終了したばかりなので1時間の余裕があることが有り難い。

まず衣装をひととおり着込んでみる。なかなか、いい感じだ。「死神さん」のかぶりものもついでにかぶってみる。さらに、いい感じだ。

ただ、暑いのである。

前日あたりから日中はかなり気温が上がるようになり、10月も終わりだというのに最高気温は摂氏で25度くらい。俗に INDIAN SUMMER (インディアン・サマー)と呼ばれる小春日和なのだろうか、まったくもってほんとうに「いい陽気」なのだが、残念ながらかぶりものには、むかない。

しかもパーティでは御馳走を食べなくてはいけないのだ。美味しそうな料理やお酒を前に、ひたすらガマンするのはまっぴらごめんだし、かと言って「死神さん」のかぶりものを取って素顔をさらすのも興醒めである。

!!!

そこで思い出したのが、何故か買ってしまったメイクセット。そうだ、そうだよ、そうだった!SKULL (スカル)、つまり「骸骨メイク」のセットがあるではないか。

最初は、かぶりものを取っても下から「骸骨メイク」が出てくるというサプライズを考えていたが、ただでさえ暑くて汗をかくというのに、マスク部分が顔面に密着する為、せっかくのメイクがよれてこすれて台無しになってしまいそうなことに気がついた。

かといって、せっかくのかぶりものを無駄にしてしまうのも、なんだか惜しい。なんてったって、今回一番最初にめぐり合ったのがこの「死神さん」マスクだったのだ。むむむむむ。

しばし考え込む。腕を組みアパートの中をうろうろし、考えた。うんと考えた。レオ・レオニ作、谷川俊太郎訳の『スイミー』がチラリと脳裏をよぎった。「ぼくが目になろう!」...ぃゃ違う。落ち着け。

ご馳走を諦める?それとも死神さんマスク?

そうだ!!

色々考えた結果このかぶりものは麻縄ベルトに安全ピンでとめて、腰からぶら下げることにした。狩ってきた獲物感。ますます雰囲気が出て、いい感じ。

スペアリブの鍋をもう1度確認して、いよいよ「骸骨メイク」にとりかかることにする。説明書によると、まずは指を使ってクリーム色のベースを全体的に塗る、と書いてある。但し、手順2で黒く塗る部分(目と鼻の周り、頬骨の部分)は塗らずにそのまま残すように、とのこと。

ところが、伸ばしに伸ばした爪が邪魔をして、指ではうまく塗れないではないか。困った。骸骨さんのメイクセットに入っていた小さなスポンジではどうしようもない。仕方がないので普段顔を作る時に使っているファンデーション用のパフを使うことにした。

細かいところはあとで修正するとして、だいたいクリーム色に塗る部分は塗れたのだけれど、見本の写真のように白くする為にはかなりの厚塗りが必要となる。とは言え、重ね塗りをしようとすると、どうしてもムラができてしまう。なんてったって WAL MART (ウォルマート)の $1.88 の品だ。ホラー映画の特殊メイクのようには、いかない。

ま、所詮は素人のお遊びなのだからと妥協して、とりあえずは普段テカリを押さえるのに使っているパウダータイプのファンデーションをはたく。パタパタパタ。

お次は、黒を塗る番。ところがファンデーションを使ってしまったせいか、メイクセットの黒はノリがあまりよろしくない。黒には黒なのだが、なんだかうすぼんやりとした感じ。どうしようかな...輪郭取りに使っていた眉墨がなかなかいい発色だったので、この際、全部コレで代用しちゃえ。アイブロウ・ペンシルで鼻の頭を黒く塗る日がやってこようとは。

一番難しかったのが、骸骨の歯。どうせ食事したら取れちゃうんだろうなぁと少し悲しくなりながらも気合を入れて一本一本書いていく。

ちょうど去年使ったシルバーグレイのパウダーがあったので押さえのファンデーション代わりに今塗ったばかりの黒い部分にはたく。パタパタパタ。うん、ちょっと立体感が出たような気がする。

残すはハイライト用の白と、「ヒビ」を強調する為の赤。予想していた通り、セットについていたスポンジでは細かい部分に使えないので、普段口紅を塗るのに使っている紅筆を使用。丹念に歯を一本一本塗り、おでこの「ヒビ」も強調。

そうそう、ちょうど昔 YARD SALE (ヤードセール)で買った白髪のカツラがあったのでついでにかぶり、鏡の前に立ってみる。

WOW!ゎぉ!完成!...結構コワイかも。

我ながら、よくできたと思う。お菓子をもらいにきた TRICK-OR-TREATER の男の子が慌てて母親の後ろに隠れてしまったくらいだ。

...4才くらいのその男の子は、お菓子ももらわずに帰ってしまった。口をきけなくなるほど驚かすつもりはなかったのだけれど。

今夜悪い夢を見なければいいなぁ、と思わずにはいられなかったワタシである。

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