Funnel Cake, Corn Dog, Shish Kebab... 〜クイシンボウ バンザイ〜
2005年7月7日の日記。
米国ヴァージニア州の片隅にある日系企業の現地法人で、日本人駐在員である「ぼす」の元、秘書兼通訳兼「やっかいごと よろず引き受け業」的な何でも屋さんとしてお仕事をしていた頃のお話。
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信じられない、と言うのである。
カロリィがめちゃくちゃ高そうな ソーセージの
サンドイッチ も、もちろん美味しかったけれど
FAIR (フェア) に来たからには食べたいモノはたくさんあるのだ。
あんたのそのちっちゃい体の、いったいどこに入っていくのよ!?
呆れ顔の友人を尻目に、だって今しか食べらんないじゃない?と笑顔で返しながら、お目当ての屋台へとずんずん向かっていく。
それに、「日本人スタンダード」から言ったら、そんなにちっちゃくないわよ、ワタシ。
そんな風に付け加えると、友人も負けずに言い返す。
そんなの関係ないわよ。あんたが今いるのはアメリカなんだし。私たちに比べたら、あんたは実際うんとちっちゃいんだし。
それなのにどうして私たちよりたくさん食べられるのよ!?
だって美味しそうなんだもん。
絶句したあと苦笑いする友人の腕を引っ張りながら FUNNEL CAKE (ファネル・ケィク)を買いにいく。
ファネルは「じょうご」。あるいは「漏斗」。
少しゆるめの生地を、熱い油の中にゆるゆると
流し込むように落として、きつね色になったらできあがり。むせるくらいたっぷり粉砂糖をかけて召し上がれ。言ってみれば、変形ドーナツみたいなもんだ。
続いて向かったのは CORN DOG (コーン・ドッグ)のお店。日本で言うところの「アメリカン・ドッグ」。あと50セント余分に払うと JUMBO (ジャンボ)が買えると知って迷わず25セント硬貨を2枚、売り子のおにいさんに渡す。
ボケた写真しか残ってないのが悔やまれるけれど、日本のコンビニレジ横で売ってる通常サイズの軽く3倍近くある感じ。
少なくとも1 ft.(約30cm) はありそうだ。
「絶対クミには食い切れないって」
そんなコトを言っていた友人のコトバも何のその。案外ぺろりと食べられてしまうものである。
安っぽいソーセージと、これでもかってくらい油を吸った衣。たっぷりのケチャップとマスタード。
体に良いわけがないのに、どうしてこんなにおいしいんだろう。
一緒に買った、びっくりするほど甘いレモネードには、ちゃぁんとくし型に切った1/4サイズのレモンが入っていたりして、それだけで嬉しくなる。なんだかちょっと得した気分。
ピザのスライス。
ローストした骨付きの七面鳥に
色とりどりのジェリィ・ビーンズ。
水色やピンク色した綿菓子。
おっきなリンゴ飴。
ソフトクリィムにかき氷。
数々の屋台の横を通り過ぎ、最後に辿り着いたのは KETTLE KORN (ケトル・コーン) の出店である。
熱々のうちに砂糖をまぶした、甘くてしょっぱい
ちょっと不思議なポップコーン。
おとな二人でも抱えられないほどおっきなケトルで汗をかきかきおじさんが黙々と作っている。
キャラメル・ポップコーンとはまた一味違い、甘い砂糖のコーティングは口に入れた途端ほろほろと溶けていく感じ。
もしかしたら、もう二度と食べることはないのかなぁ。
ちょっぴり感傷に浸りながら、友人の運転する車で帰途につき、後部座席で不思議な味のするポップコーンをかじっていたのだけれど、ふと気がついて思わず叫ぶ。
“Oh...SHIT!”
(あ、しまった!!)
“What's the matter?”
(どうしたのよ?)
助手席に座っていた友人が、何事かと振り返る。
“I forgot to get a shish kebab...”
(シシカバブ食べるの忘れた...)
いとも情けなさそうな声を出すワタシに、ほとほと呆れたという顔で友人は目玉をぐるりと一回転させ、助けを求めるかのように運転席に目をやると、運転中のもうひとりはハンドルから手を離し肩をすくめて「やれやれ」のポーズ。
友人はふたりして軽くため息をついて、力なく首を左右に振っているように見えた。暗くってよくわからなかったけれど、シンクロした動き。どうやらそれはワタシの気のせいって訳ではなさそうだったのである。
でも、食べたかったんだもん...