
進路の決定で無視できない”親の意見”
キャリアにおける親の影響力は、学生自身の意思決定に大きな影響を与える要素となりがちです。就職活動や進路選択の場面では、親の意見が無視できない存在となることが少なくありません。これは日本だけでなく、アジア圏をはじめとする多くの国々でも見られる現象です。特に、アジアでは家族の絆が強く、親が子供の将来に大きな関心を持つことが一般的です。そのため、親の期待や希望が進路選択において重要な役割を果たすことが多いのです。
親の期待と学生の葛藤
アジア圏では、親が自分の経験や社会的価値観を基に、子供に対して具体的な職業や進路を勧めることが多いです。例えば、親が望む職業に就くことや、名門企業で働くことが期待されることがよくあります。さらに、留学もその一環として捉えられることが多く、親が海外で学ぶことを子供に勧める場面も少なくありません。しかし、学生にとって留学は単なる学問の追求にとどまらず、「親から離れて自立するためのステップ」として捉えることがしばしばあります。このように、親の期待と学生自身の思いが異なる場合、進路選択は大きな葛藤を生むことになります。
実際のエピソード
私は約13年前、ある日本語学校で教えていた時に、進路選択に悩む学生を指導したことがあります。その学生は、「アニメ系の専門学校に進むか」「大学で経済・経営を学ぶか」という選択肢に直面していました。後者は明らかに親の期待であり、学生はその間で葛藤していました。一般的に言えば、経済・経営の学問は就職の機会が広がるため、安全策として推奨されることが多いですが、その選択が学生にとって本当に望ましいかどうかは別の問題です。
私がアドバイスをするとき、私は「どちらが正しいか」を教えることよりも、学生が自分で選択できるようにサポートすることを大切にしました。結局、その学生は自分の本当にやりたいことを選び、最終的にはその選択に自信と喜びを感じていました。その時の笑顔は今でも鮮明に覚えています。
親の意見を尊重しつつ、学生の意志を支える
このエピソードからもわかるように、親の意見が進路選択に大きな影響を与えることは避けられませんが、最終的な決定は学生自身が下すべきです。親の期待を理解することは重要ですが、それをそのまま受け入れるのではなく、学生が自分の意志で決断を下せるようにサポートすることが大切です。
このようなサポートを行うためには、教師やカウンセラーなどのサポーターが重要な役割を果たします。サポーターは学生に対してさまざまな選択肢を提示し、それぞれの選択肢のメリットやデメリットを説明することで、学生が自分で選ぶ力を養う手助けをします。さらに、学生が親を説得できるようにサポートすることも、サポーターの重要な役割の一つです。親はしばしば日本や海外に存在する多様な選択肢を知らないことが多いため、その情報を学生に提供することが必要です。
まとめ
親の意見は、若者のキャリア選択において無視できない要素であることは確かです。しかし、最終的に進路を決定するのは学生自身であり、その決定を尊重することが重要です。親の期待を理解しつつ、学生が自分の夢や目標を追求できるようにサポートすることが、進路選択の成功につながります。サポーターは学生の未来を担う重要な役割を果たしており、その責任を忘れずに、学生の選択を尊重し、支えることが求められます。