キャリアコンサルタントのための英語ロールプレイ勉強会とは
2023年7月に開始した「キャリアコンサルタントのための英語ロールプレイ勉強会」は、2024年12月現在、40回のセッションを終えました。22名のキャリアコンサルタントの方々に参加いただき、さらに8名の外国籍の方々にクライアント役としてご協力いただきました。皆様のご協力に心から感謝しています。この勉強会を通じて得られた経験や学びは、実際のキャリアカウンセリングにおいて大いに活かされています。
私自身も個人および機関で外国籍の方々のキャリアカウンセリングを行っていますが、英語ロールプレイで学んだことが実際の現場でどれほど効果的に活用されているかを強く実感しています。特に、外国籍の方々が抱える不安や悩みについて以前よりも深く理解できるようになり、その結果、相談者に対してより寄り添った対応ができるようになりました。相談者が不安そうな顔から笑顔に変わっていく様子を見るたびに、この仕事の意義を感じます。
言葉の壁を越える支援の重要性
誤解されがちですが、この勉強会の目的は、単に日本語から英語に言葉を置き換えることではありません。参加者の多くが最初に感じることは、「外国籍の方々と日本人の悩みはほとんど変わらない」ということです。確かに、悩みの本質は似ている部分もあります。しかし、外国籍の方々は、日本における生活に特有の不安や困難を抱えていることが多いのです。例えば、周囲とのコミュニケーションの難しさ、家族との距離、在留資格に関する不安、言葉や文化の壁、友人を作る難しさ、転職活動の困難、趣味活動への制約、一人で専門機関に相談するハードル、母国での経験を活かせないこと、さらには周囲からの無意識の差別などが挙げられます。これらは、外国で生活したことがある方なら一度は経験したことがある悩みでもあります。私自身も同じような経験をしたことがあります。
キャリアコンサルタントとしての役割とアプローチ
勉強会では、ロールプレイ後のディスカッションを通じて、これらの悩みがどのようにキャリア相談に影響を与えるかを徹底的に議論します。相談ケースの中で、これらの課題がどのように絡んでいるのか、そしてそれらをどのように解決に導くことができるのかを考えることが重要です。キャリアコンサルタントの「解決」という言葉には、法律や医学の専門家のように明確な答えを示すという意味はありません。私たちの役割は、相談者の話を聴き、相談者自身が自分でできることに気付き、行動を起こせるように支援することです。自分で気づいて行動に移すことこそが、真の解決の第一歩だと私は考えています。このアプローチは、言語が英語であれ日本語であれ変わることはありません。どちらにおいても、日々の訓練と実践が全てです。
外国籍の方々にもっとキャリア相談の機会を
日本では、キャリアに関する相談は全国で数多くの窓口があり、検索すればたくさんの選択肢が出てきます(有料・無料を問わず)。しかし、外国籍の方々にとっては、キャリア相談を受けられる場所やその情報はまだ限られており、アクセスも難しいことが多いのが現実です。言葉の壁を取り払い、外国籍の方々が気軽に相談できる場所を提供することが必要です。もっと多くの外国籍の方々が、自分のキャリアに前向きな気持ちを持ち、次のステップを踏み出せるようなサポートをしていきたいと思っています。
この勉強会で得た知識と経験をもとに、今後も外国籍の方々に対して有益なキャリアカウンセリングを提供していきたいと考えています。引き続き、勉強会を進めていきながら、キャリアコンサルタントとしての役割を深めていきたいと思います。最後に、この勉強会に参加してくださったすべての方々に、心から感謝申し上げます
紹介ビデオ
https://drive.google.com/file/d/1dFC36zElvR-rHCDhphDhtknMuMqtCM_N/view