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外国人材へのキャリアコンサルティングの入り口は日本語教育である

キャリアコンサルタント仲間から、「外国人相手のキャリアコンサルタントってすごく興味あるんだけど、仕事はどうやって取っているの?」とよく聞かれます。実際のところ、個人も企業も直接キャリアコンサルティングを頼んでくることはほとんどありません。私の場合、最初の接点は「日本語教育」なのです。この話をすると、多くの人が驚きます。なぜなら、キャリアコンサルタントよりも日本語教師のほうが需要が高いからです。キャリアコンサルタントとしての需要はまだそこまで高くないのが現状です。


日本語教育とキャリアコンサルタントの現実

私自身、キャリアコンサルタントだけで活動したいという想いがありました。それは、キャリアコンサルタントという仕事が独立した価値のある専門職だと信じているからです。しかし、実際にはまだその需要が十分に広がっていません。日本語教師の仕事を抑えてキャリアコンサルティングに専念しようと試みましたが、それだけでは厳しい現実を痛感しました。企業や個人が私に求めるのは、まず日本語教育なのです。日本語教育の需要が圧倒的に高いのです。

日本語を入り口にした方向転換

もがき続ける中で「日本語を入り口にする」という方向転換を決意しました。そう割り切ってからは仕事がスムーズに進み始めました。さらに、日本語を教えることもキャリア教育の一環であると気づきました。外国人にとって、日本語能力の向上は社内でのキャリアアップにも、社外への転職にも欠かせない要素です。ここにキャリアコンサルタントとしての視点を加えることで、「長期的な視野」を持った提案が可能になります。これは、外国人本人だけでなく、外国人を雇用している企業の支援にも通じる考えです。

実践的なアプローチ

例えば企業向けには、日本語研修の中で日本語指導だけでなく、外国人社員のキャリアアップを意識したカリキュラムを提案しています。日本語研修を希望する企業では、社員同士のコミュニケーションの齟齬といった目の前の課題を解決することに焦点が当てられることが多いです。もちろん、これらの課題解決は重要です。しかし、こうした短期的な問題解決にとどまらず、日本語を学ぶことで企業が外国人社員にどのように活躍してほしいのか、または本人がどのように活躍したいのかといった将来的なビジョンを、研修を受ける社員や人事担当者と共に考えることが、研修の目的をより明確にする鍵となります。結果、双方の研修への意欲や期待が高まり、結果に結びつきやすくなります。

個人への支援では、日本語能力向上が特に重要です。特に、JLPTのN2やN1レベルの合格を目指すことが、次のキャリアに進む第一歩になるケースが多いです。これはいろいろなケースがあるのですが、初めからキャリアアップのために試験を受ける人もいますし、初めは単に試験を受けるだけという目的だったのが、合格したことで視界が開けて、転職をするというケースも多くあります。どちらのケースにしても、JLPTの合格がキャリアと密接につながっていることは間違いありません。そして、試験に合格してから、私がキャリアコンサルタントであることを知って、キャリアや転職に関する相談してくるのです。そういう意味では、JLPTを教える講師とキャリアコンサルタントというのは親和性があるかもしれませんね。

まとめ

キャリアコンサルタントとしての仕事は、まだ時代に完全には求められていないのかもしれません。しかし、日本語教育を入り口にしてキャリアアップにむずびつけるというアプローチは確実に効果を上げています。このシームレスな支援こそが「日本語教師×キャリアコンサルタント」の新しい専門性になる可能性を感じています。今後も、この専門性を磨きながら、多くの外国人のキャリアアップを支援していきたいと思います。

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