見出し画像

キャリコン理論シリーズ①人の一生を左右するかもしれない「自己効力感」

「自己効力感」という言葉を聞いたことがありますか?これは、カナダの心理学者バンデューラによって提唱された理論の一つで、簡単に説明すると、困難や課題が立ちはだかっても「自分ならできる!」と、自分の成功に対して肯定的・希望的な予測を持てる心をもっていられることです。「自信」とか「信念」に通じる概念です。一方これが低いと、「自分は挑戦してもうまく行かないだろう」と、悲観的に思い込み、スタートラインに立つこともしり込みしてしまいます。もしこれが進学先や就職先など人生で大事な選択であったらどうでしょうか。それが「慎重に考えた末」の結果ならいいのですが、もし「自己効力感が低い」という原因で機会を損失してしまっていたら。


大人になっても自己効力感は上げられる!

自己効力感が高いも低いも、先天性の物ではなく、子供のころから周りの環境も影響して知らず知らずのうちに形成されてきたものです。親に否定的なことを言われ続けた子供の自己効力感が低いことなども知られています。しかしうれしいことに、自己肯定感は大人になっても、意図的に作り出した経験や訓練、そして周囲からの支援などによって高められるものだというのです。

自己効力感を高める4つの要素

自己効力感は、以下の4つの要素がかかわっていると言われています。
①遂行行動の達成(あることについて、「自分の力でやり遂げた」という経験)
②代理的経験(他者の成功を見て、「自分もできそうだ」と自信を持つこと)
③言語的説得(他者からの承認や励まし、誉め言葉等)
④情動的喚起(その時の生理的・感情的な”状態”が自己肯定感に影響するということ)

理論を取り入れ肯定感を上げるには

ここからは具体的な例と対策案を書いていきます。

①遂行行動の達成

いわゆる「成功体験」です。就職活動でも、一度面接に合格するとそこから立て続けに採用が決まっていくという話はよく聞きます。自分で勝ち取った成功は強い自信につながります。これを利用して正のスパイラルに持ち込むのです。そのために大事なことは、とにかく強制的にでも何かに挑戦することです。それが怖い人は周りの人の援助してもらうのもいいでしょう。海に投げ込んでもらいましょう!

②代理的経験

自分の「モデル」になる人を決めて、動きをいつも目で追うといいかもしれません。一つ言えば、「高嶺の花」の人よりも、自分よりちょっと先に進んでいる人の方がいいと言われています。

ちなみに、仕事をやめる時に私のモデルになったのは実は過去の学生たちです。私が転職の相談に乗って、転職後の経過もずっと見てきました。私の知る限り、「転職をして後悔している人は誰もいない」。それが私の転職を後押ししてくれました。

③言語的説得

子供の時には環境を選ぶことができずに、例えば親から否定的な言葉だけを浴びてきた人もいるかもしれません。しかし、大人になった今、「環境を選ぶ」ことができます。自分をはなから否定してくるような人とは距離を置き、応援者を近くに置くのです。または専属のコーチにそのような存在になってもらうというのも一つの手です。また、フィードバックをもらう状況では必ず「良かった点」を「改善点」とセットで話してもらうようにすると、必要以上に肯定感を下げずに済むと思います。

④情動的喚起

これはちょっとわかりにくい要素なんですが、「喜び、落ち着き」などの「快」と、「不安、恐れ」などの「不快」が自己効力感に影響を与えるということです。例えば「失敗したり緊張したりする」ときは自己効力感は下がるし、「お酒を飲んで気分が良くなったり」「規則正しい生活を送っている」と自己効力感が上がるのです。つまり、まずは自分の感情や好き嫌いを客観的に分析し、自分にとっての「不快」を極力排除し、「快」を感じさせるものを周りに置くことで精神的に安定させ、自己効力感を高めることができるのです。

最後に

よく見ると、全部意識的に取り入れることができるものばかりです。まずは「自己効力感を上げてなにをしたいのか=目標」を決めてこれらの一つ一つを実践してみることです。そんな単純じゃないよ~と思われるかもしれませんが、人の心は結構単純です^^だまされたと思ってまずはやってみましょう。そしてあなたがコーチやコンサルタントだったら、意図的にこのような状況を作ったり、相談者に思い出すように促してあげましょう。

いいなと思ったら応援しよう!