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外国人支援キャリアコンサルタントに求められるリファー先の確保

キャリアコンサルタント(キャリコン)として働く中で、相談者の抱える悩みや問題を「適切な専門機関や支援先へつなぐ」ことも大切な役割の一つです。これを「リファー」と言います。キャリコンは、すべての問題を自分で解決する必要はありません。むしろ、自分の専門外だと判断した場合に、相談者を的確に支援してくれる場所へ導くことが、キャリコンとしての一つの“専門性”なのです。



適切なリファーができるための「インプット」

日本人の相談者の場合、キャリコンとして経験を積む中で、自然と「この問題ならここにつなげよう」という支援先の知識やインプットが蓄積されていきます。例えば、以下のような支援先が頭に浮かぶことが多いです:

  • メンタルヘルス:カウンセラーや精神保健福祉士

  • 法律問題:弁護士や法テラス

  • 就職支援:ハローワークやジョブカフェ

  • 生活相談:行政窓口や福祉団体

こういった支援先は、比較的すぐに頭の中で整理がつき、「この相談は〇〇へ」と案内することができます。キャリコンとして、このリファーの引き出しを広げておくことは、相談者にとって非常に大きな支えとなります。


外国人支援におけるリファーの壁

しかし、外国人相談者の支援となると話は少し変わってきます。日本人の場合にはすぐに紹介できる支援先が、外国人には必ずしも対応しているとは限らないからです。

その理由として、主に以下の点が挙げられます:

  1. 言語の壁:多くの支援機関や窓口は日本語のみの対応が多く、多言語でのサポートが難しい。

  2. 制度や手続きの複雑さ:外国人にとって、日本の制度や行政手続きは分かりづらく、ハードルが高い。

  3. 情報の不足:外国人に特化した相談機関や支援団体の情報が、キャリコン側にも不足している。

例えば、メンタルヘルスの悩みを抱えた外国人相談者がいたとしても、「多言語対応しているカウンセラーはどこにいるのか?」とすぐに答えられるキャリコンは少ないかもしれません。行政窓口に案内しても、相談者が日本語で自分の悩みを十分に伝えられなければ、結局支援を受けられずに終わってしまうこともあります。


外国人支援のハードルを下げるために

では、外国人支援においてキャリコンが適切にリファーするためには、どうすれば良いのでしょうか?

1. 支援機関の情報収集と整理
キャリコン自身が、多言語対応している支援機関や団体の情報を積極的に収集し、リスト化しておくことが重要です。例えば、外国人支援を専門とするNPOや、通訳サポートが可能な行政機関など、頼れる場所を増やしておくことで、外国人相談者の悩みに対応できる幅が広がります。

2. ネットワークの強化
外国人支援に関わる他の専門家や団体とのつながりを強化し、必要に応じて連携できる体制を作ることも大切です。キャリコンが直接解決できなくても、相談者にとって適切な支援先にバトンを渡せることが理想です。

3. 相談者のハードルを下げる工夫
外国人相談者が安心して支援を受けられるよう、リファー先の窓口の手続きや、言語サポートの有無について事前に説明するなど、ハードルを下げるための工夫も必要です。


リファーは信頼をつなぐ架け橋

キャリコンとして大切なのは、自分だけですべてを解決しようとしないことです。キャリコンは、相談者と専門的な支援先をつなぐ「架け橋」のような存在です。その橋がしっかりと架けられるかどうかは、キャリコンがどれだけ適切なリファー先を知っているか、そしてその支援先が相談者にとって利用しやすい場所であるかにかかっています。

特に外国人支援の場合、その橋を架ける難しさを痛感する場面が少なくありません。しかしだからこそ、キャリコンとして外国人が安心して支援を受けられる環境づくりに力を注ぐことが求められているのではないでしょうか。


外国人支援においてリファー先を見つけるのは、簡単なことではありません。しかし、そのハードルを一つひとつ乗り越え、相談者に適切な支援をつなげることができたとき、キャリコンとしての役割の大きさを改めて実感します。

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