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物品支援をご検討の方に知っていただきたいこと(石川県珠洲市の現場から)
珠洲の避難所で支援活動をはじめてから4日。目まぐるしい日々ですが、毎日のように変化が起きています。今日の段階の様子をお伝えします。
行政としては能登半島からできるだけ出て、金沢などに一時避難を推奨している模様
能登半島の各自治体行政の大きな方針としては、ライフラインの復旧に時間がかかる以上、能登半島からできるだけ金沢などに一時避難していただくことを推奨しているようです。
私が滞在させていただいている避難所からも、複数家庭の退去の様子が見られました。
子育て家庭の方は、今日までの三連休の間に、子どもだけ金沢の親戚に連れて行き、保護者はこちらに帰ってきて自宅の復旧をする予定という話を複数聞きました。
昨日まで私がいる避難所で生活していた高校3年生の女子は、1月13・14の共通テストを受けるそうです。彼女は家族の都合で物資が届きやすい避難所に引っ越し。友人は、ラストスパートしっかりやりたいから、家族で金沢に移住したという家族もあるそうです。
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渋滞で8時間以上かかるかもしれない長距離移動を高齢者を連れては難しいから金沢への移住はできないから残ると決めている家庭。
行政で働くお父さんを置いて家族がバラバラで暮らしたくないからここにいたいという家族。
そういう声も聞きます。それぞれの事情の中で私たちも、形を変えながら支援活動を続けていきます。
全国から届く支援物資の置き場に、物資をもらいにいけるようになった
一昨日、昨日、珠洲市にも多数の物資が届き、急遽、物資はかなり充実しました。たくさんの方々の想いが元気玉となってここに届いたおかげだと思います。私がいうのもおこがましいですが、本当にありがとうございました。
個包装にメッセージが書いてあったり、段ボールに励ましの言葉があったりして、ほっこりしながら拝見しました。
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足らなかった昨日が夢のようですが、実は今日は、おにぎりも多数余ってしまっていました。
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地域のドラッグストアや、フードはまおかさんというスーパーも再開しました。(毎朝10:00頃〜閉店時間は寒くて我慢できなくなったら閉める、との事です)
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まだゆっくりですが、地域経済が一歩づつ復興していく足音が、ほんの少しだけ聞こえてきます。
過去に複数の災害復興に関わった、少なからずの経験からの推測ですが、食べるものもない、手を洗う水もない、飲み水も足らない、というような『超急性期』は過ぎました。ここから、モノは充実して来ます。モノによっては余っていくことも、すでに予想できます。
今もまだ、避難所によっては食事がパンとカップラーメンや、良くてアルファ米しか配られないというところもありますし、各教室の電源が入らないから温かいお湯がでないとか、お風呂もないし、仮設トイレもないので簡易トイレで生活しているままだとか、そういう事情も続いています。いまだに野菜や手作りのものは食べられません。(避難所によっては炊き出しが来ている)特にカップラーメンはもう飽きてしまってみんな食べられなくなってきています。
ですので、”超”急性期から急性期に移った、ということなんだと思います。
人材も少しづつ増えてきました。それぞれの指示系統が機能していないと、各方面から派遣された人はいるけどダブついてて「せっかく来たけどあまりやることがなくて・・」と言っている人たちもいました。
ここからは、しっかりと復旧に向けた企画とリーダーの方々のディレクションが求められると思います。
これからの物資支援について
全国から送られてくる物資は、一旦体育館に運び込まれ、それを人の手で仕分けしています。
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これから何かを送っていただくことをご検討されるなら、ひとつの箱には同一種類のものを入れた方がいいと思います。
支援物資の倉庫は、食料品置き場、衣料品置き場、おもちゃ、布団••などの山があって、被災者の人たちはそこから欲しいものを選んでいきます。イメージは、コストコみたいな感じです。
イメージとして、こんな感じで整理されます。
1、段ボールが届き、一旦雑多に積み上げされる。
2、みんなでひとつづつダンボールをあける。
3、たとえば、缶詰2個と、ペットボトルと、おもちゃと、鉛筆と、毛布と、バスタオルと、、、など、ひとつづつ山に置く。
その作業が、とてもたいへんなのです。だから、開けるのも追いつかず、放置になってしまっているものもありました。
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個人的につながりのあったセーノー運輸さんは、さすが運送業者のプロ。
早くから職員が支援に入り、徹底的に置き場の整理に入っていました。
他にも様々な自治体から入った方々がみんなで頑張っていましたが、とても大変そうでした。
ご支援をご検討の方は、そんな現場を想像しながら準備をしていただくとよいと思います。
ほしいもの、不要になるもの
1,カップラーメンは、これ以上は不要と思います。発災直後から菓子パンとカップラーメンを食べ続けているのですが、さすがに身体にもよくないので、炊き出しが増えてきたら食べる必要もなくなります。
2,ご馳走缶詰は、今日の段階ではとても重宝されていました。
まだ電子レンジがない避難所もあるので、冷くてもおいしいものは嬉しい。ただ、時間の問題で電子レンジも支援物資で届き始めたり、配備されるのでは?と期待します。そういう意味では、温めておいしいご馳走缶詰は、重宝されると思います。
3,衣料品や毛布、布団などは、新品のみにしてください。誰がつかったかわからない服や毛布は、急性期を過ぎたら、ゴミになってしまいます。今日見た限りも、絶対にいらないだろうなとおもうというレベルの毛玉いっぱいの衣服も多くて、避難所経営をしている方々に申し訳ないなと思いました。
4,使用済みのランドセルは不要です。必要があれば必要な分だけ、寄付金で新品を買って渡してあげることができます。
送っていただいた皆さんの思い出が詰まっているのに申し訳ないですが、他の災害で支援に入った際、1人1つしかいらないランドセルは必ず余ります。多数捨てにいった経験をしたことがあります
5,企業が備蓄している賞味期限近いアルファ米のご支援をされたいというお声がけを多数いただきますが、昨日までは欲しかったけどここからは余るかもしれません。やっぱり、ご飯が炊けるようになれば、炊いたお米の方がおいしいです。
6,何が入っているのか、ダンボールに表面に大きめに書いてください。
7,やはり、支援は現場に判断を任せていただく。そういう意味でご寄付が一番いいのではないかと思います。
気を害した方がいらっしゃるかもしれません。
ただ、せっかく送っていただけるなら、その想いが届かないと意味がないと思いますので、僭越ながらお伝えさせていただきました。
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珠洲は雪が降って来ました。震災後、雪が積もったのは初めてです。道が陥没しているところを気をつけるにも、危険そうです。
明日、この被災地で過ごす方々、遠くに移住するために移動する方々、遠くのお風呂にいくために車を運転する方々、支援者としてこの地域に関わる方々、物資を運ぶ方々、など、みなさんに何事もない、安全な一日が迎えられますように。