ナレーションを極める39 収録の緊張を和らげる
ナレーターの熊崎友香です。テレ東WBSや、NHKアジアインサイトなどでナレーションを担当しています。4歳と6歳の子供を育てるワーキングマザーでもあります。以前はNHKのリポーターとして12年働いていました。
以前は、生放送が中心、今は、直前収録が主です。
「緊張しないの?」「噛まないの?」などと聞かれます。
緊張はします。しないというのは嘘です。そう言った方もいるのかもしれません。しかし、いい緊張はあった方がいいと考えています。
そして、いい緊張はするけれど、悪い緊張はしない。ように心がけています。
いい緊張とは、背筋が伸び、頭がまわり、五感が冴えている状態。
悪い緊張とは、不安だらけで、失敗を恐れ、ビクビクして弱気になり、それがさらに悪循環を生む状態。
この悪い緊張を避けるために、どうすれば良いのか。
私がNHKの時に教わったのは
「準備をするのみ」
準備を万全にしておけば、不安は解消されるのです。自信があるからです。準備をしないと、どうしよう、本当にできるだろうか。と不安や失敗ばかりが頭をよぎり、体も硬くなり、どんどん悪い方向へ向いてしまいます。
準備、とはなんでしょうか。
発声練習、滑舌練習、その原稿の下読み、その原稿の分野に関する研究やリサーチ、ストレッチ、寝不足でなく、疲労困憊でない、体調管理。目はよく見えているか、肩は凝っていないか、口は回るか、痛いところはないか。水や飴は持っているか。
娘の習い事で、世界3位の記録を持つ新体操の選手にお会いしました。
世界3位になるコツは
「あらゆる失敗を想定し、その失敗が起きた時、こう対処するというセルフイメージを持つこと」
全て「準備」なのですね。ここまでしておけば、怖いものはない。緊張は緩和されます。
そしてもう一つ、大事に思っていることは
「心の矢印がどこを向いているか」
自分の評価を気にし、周りからこう思われたらどうしよう、など考えてしまいがちです。しかし、本質はなんでしょうか。「伝える」「伝わる」ことが大事です。「何を誰に伝えるのか」目的はなんでしょうか。自分の印象ではなく、相手に心を向け、相手に届けたいものが、きちんと届くことが大事です。そのために、身だしなみや清潔感は必要ですが、それ以外の意識は相手にむけておくことが大切と考えます。