ナレーションを極める16 養成所で教わった”読み手の立ち位置”
ナレーターの熊崎友香です。テレビ東京のWBSや、NHK B1「アジアインサイト」などでナレーションを担当しながら、3歳と5歳の子育てをしています。
今から10年ほど前、NHKリポーターとして働いていた私は、ナレーターになりたい!という目標を達成するため、俳協の養成所に通っていました。
毎週様々な課題が出されるのですが、中でも記憶に残っているのが「ごん狐」です。ゴン狐に関しては、落語家みたいに読んでみて。という先生からのアドバイスに四苦八苦したという記事を以前に書きましたが、
https://note.com/kumazakiyuka/n/nf564b286fa99?magazine_key=m19910be6e189
それ以外にも読み手の”立ち位置”について、考えさせられた回でした。
映像には、アップ、ルーズ、ロング、と少なくとも3種類のサイズがあります。(本当はもっとあります)これと同じように、読み手にも少なくとも”3段階の”読み手の立ち位置があり、カメラ(絵)を常に想像し、合わせていくことが必要であると。
例えば、ごんが仕掛けた悪戯に、ひょうじゅうがひっかり、ゴンが逃げていく場面。映像を想像してみると、どんどんカメラがアップになっていく。
ひょうじゅうのお母さんのお葬式の様子を淡々と説明する場面は、ロング。その時は、読み手もロングの目線になる。ルーズは、その中間。。。
テレビのように映像があれば、まだ感覚が掴めそうですが、文章のみだと、これはどんな立ち位置?どんな距離で読めばいい?一文一文、ハテナが浮かびました。
また、ではアップの読みとロングの読みは、どう違うんだろう??ルーズの時は?
なんとなく、ロングの時の読みと言うのは、舞台の本読みでいうところの「ト書き」(状況を説明する)のようなイメージでしょうか。感情を抑えて、全体的に広く俯瞰で読む。逆にアップは、かなり対象に近いところで、寄り添うイメージ。(あくまで私の捉え方です)
このアップの読みの時には、「どこからみてるイメージ?」という驚きの質問もありました。「え??」としか返せなかった当時の私。。。例えば、対象を背中から追っているのか。それとも前から見ているのか。によって読みが違う!
とにかく絵をより具体的に想像していくことが必要なんだなと感じました。
気持ちが入ると、どんどんアップ目になってしまうのですが、全体を考えると、推してばかり(アップ)では聞き手が疲れてしまうし、読み手も疲れて持たない!ので、押したり、引いたり”押し引き””緩急をつける”ことが大事。それを判断できる”耳”を育てよう!と強く決心したのでした。
(当時の先生(私の心の師匠であり、現役のナレーターさん)が、生徒たちの読みを聞いて、瞬時に、今のはよかった、ダメだった、と判断するのを尊敬の眼差しで見ていました・・・)
詳しくは「俳協ボイス」へお越しくださいませ。
https://haikyo.co.jp/voice/(ごんぎつねを題材で今もやっているかはわかりません。。。)