中国で暮らし続けて「音」に敏感になってしまったお話し
10年位前、东莞市のとある鎮に住む社長夫婦を日本で接待しました。W社長とL夫人としましょう。お二人がセントレア空港に到着したのは、夜7時くらいでした。すぐに車で名古屋市内のホテルに案内し一緒に食事をしました。
その日、W社長もL夫人も終始「安静!干净!(静かだ・清潔だ!)」とずっと言ってました。
高速道路では「どうしてこんなに車が少ないんだ!」「だれもクラクションを鳴らさないのか?」と質問され、名駅に到着して人混みを見ても「静かだ・・・」「どうして誰もタバコを吸わないのか」と質問攻めにあいました。
日本に来た中国人が最初にビックリするのは「静けさ」です。
つまり、中国はとってもウルサい
さて中国に来た頃のわたしは中国のうるささについて「賑やかだな」程度の感想しか持ちませんでした。レストランで妻との会話がままならないくらいウルサくても、そんなもんだろうって思ってました。
さらに、わたしはこのウルサい中国にすでに6年以上住んでいますし、2年以上日本に帰ってすらいません。
ですからこの喧噪にすっかり慣れきって、なんなら自分も騒音発生器へと進化してもおかしくないはずですが、この数ヶ月突然「うるささ」に我慢できなくなってしまいました。
音の発生源から自分までの距離があれば、さほど気にはなりません。例えば書斎の窓の外から公園が見えます。その公園から子どもの笑い声が聞こえてくるのは平気です。
しかし会社のオフィスの隣の部屋から話し声が聞こえてくると、ものすごく気が散ります。また自宅で妻がドライヤーを使ったりとか、動画の音声が聞こえてくるのもとっても気になるようになりました。
地下鉄で動画などの音声を垂れ流しながら聞く中国人が時々います。それも勘弁して欲しいと思います。でも地下鉄のキィーンという走行音はあまり気になりません。
妻にドライヤーを使わないようにとか、動画を見ないでと要求するのはどうかと思うので、自宅では書斎の戸を閉めたり、AirPods Pro のノイズキャンセリング機能を使って対応しています。
以前は、仕事中に音楽をかけていてもまったく平気だったのですが、最近は全然ダメです。昔勤めていたデザイン事務所ではFMラジオがずっとかけられていましたが、今だったら仕事にならないと思います。
どうして音に弱くなったのか?
そもそも集中力って能力と言うよりは資産のようなものです。
集中力がいくら凄くても、永遠に集中できる人はいません。なぜなら集中力は能力ではなくて、リソースだからです。使えばなくなります。
恐らく中国の賑やか?な環境での暮らしが続いて、少しずつ疲れを感じるようになり、集中力の消費スピードが上がっているのではないかと考えています。そういえば以前からスタバで仕事ができないタイプでした。なぜならあの環境では気が散ってしまい、集中しづらいからだと思います。
さらに年齢や環境の変化などに伴い、以前よりも集中力を浪費しているのだと思います。老眼も始まっていますので、文字を読むのもひと苦労です。それに加えて外国語を読み話すことも求められます。これも仕事をスムーズにこなす上で障害になっているように思います。
こういった状況に長く置かれているので、以前だと気にもしなかった「音」が気になるようになったのでしょう。
「音」をコントロールすることで効率を維持
ただ静かな環境にいれば、まだまだ集中力を保てます。
スマホの通知を切り、AirPods のノイズキャンセリング機能だけを使うことにより、快適に仕事を続けることができています。
環境にコストを支払う
ちょっと前に北京から東京に移住した中国人について読みました。北京では高収入の仕事についていました。しかし東京に移住して、収入は30%減少しました。しかし家賃もその他の支出も30%減少しました。それで基本的な生活レベルに大きな変化はなかったようです。
しかしこの方にとって最も大事だったのは「静けさ」「清潔さ」そして「安心感」でした。そういったものは中国では大変コストが高いか、もしくは解決不可能だとまとめていました。
これはその通りです。
日本の暮らしは面倒だと思う反面、「静けさ」「清潔さ」そして「安心感」が低コストで手に入れられるというのは素晴らしいことだと思います。
長く日本を離れて気づくこともたくさんあるなと思ったのと、AirPods Pro では騒音は減らせても静寂は作り出せないので、SONYのあれを買おうかななんて思う日曜日でした。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日!