割合で割る計算:水溶液の計算問題 (小数で割る割り算:割り算は一人分を出せるんだよ理論)
早速ですが、以下のような問題について考えましょう。
問題:52gの食塩で13%の食塩水を作ると、何gの食塩水ができますか。
この問題に、一発で
52÷0.13
という式を思い浮かべられる人※は、このコラムを読む必要はありません。
※水溶液の濃度の公式を暗記していて、それを当てはめている人は除く
一方、意味は分からないけど「(食塩水の重さ)=(食塩の重さ)÷(食塩水の濃度)」という公式に当てはめている人や、「てんとう虫」の図を使っている人、そして、そもそも解き方が分からない人は、ちょっとこのコラムを読んで見てください。式の意味を理解した上で、この割り算の式を作ることができるようになります。
【「てんとう虫の図」 今日はこれを使わないで解こうという話】
さて、先ほどの「52gの食塩で13%の食塩水を作ると、何gの食塩水ができますか。」に、一発で「52÷0.13」が出ないとすると考えられる原因は、2つあります。
① 13%=0.13が分からない
② なぜ割り算をするのか、分からない
①の場合は、「パーセント 意味」で検索して答えを見つけて下さい。
今回は②の原因にフォーカスを当てます。
「なぜ割り算をするのか、分からない」人は、以下の問題をやってみてください。
問題:同じ大きさのアンパンが3個あります。全部で240gです。1個の重さは何グラムでしょう。
いかがでしょうか、240÷3という式を一発で作れるでしょう。今ある個数で割り算をすれば1個分の重さがでますからね。
次はこの問題。
問題:同じ大きさのアンパンが3.5個あります。全部で280gです。1個の重さは何グラムでしょう。
いかがでしょうか。これも280÷3.5という式が一発で作れましたか。小数であっても、今ある個数で割り算をすれば1個分の重さが出るので同じです。
問題:アンパンが0.13個あり、重さを測ると10.4gでした。もとのアンパン1個分の重さは何gでしたか。
この問題、一発で10.4÷0.13という式を作れましたでしょうか。1より小さい小数であっても、今ある個数で割り算をすれば1個分の重さが出るのでこの式で、アンパン1個分を出すことができます。
いかがでしょうか。まだ、掴みづらい方は、以下を想像してみてください。
(すでに掴めた人は、この段落は飛ばしてください)
しゃべるアンパン男が3人来て言いました。
また、次の週は、しゃべるカバに、ほとんど食べられてしまったらしく、以下の状態でした。
半分以上食べられた場合、口があるのか?しゃべれるのか?は分かりませんが、とにかく割り算をすると、1人分を出すことができるのです。
それでは、最初の問題に戻りましょう。
問題:52gの食塩で13%の食塩水を作ると、何gの食塩水ができますか。
先ほどのアンパン男と同じようにすると、こんな感じです。
今、食塩は全体(100%=1)の13%(0.13個分)で52gあるのですから、「ぼくは、全体(1個)のうち0.13個分で、52gだよ」という状態なのです。
よって、52÷0.13で1個分(つまり100%分で食塩水全体)の重さを求めることができます。
したがって、52÷0.13=400(g)と算出できるのです。
この考え方は、いろいろな計算に応用できます。
例えば、消費税に関する問題。
問題:買い物をしたら、税込み価格21,780円でした。税抜き価格はいくらですか。(税率10%)
答え:21,780÷1.1=19,800(円)
「僕、110%で21,780円だ。100%分でいくらかな?」
問題:2023年度の売上は、前年比+2,944百万円であり、8%の増収でした。2022年度の売上はいくらでしょう。
答え:2,944÷0.08=36,800(百万円)
「僕、8%で2,944百万円だ。100%分でいくらかな?」
いかがでしょうか。割合(小数)で割る計算をイメージ化すると、いろいろな計算を公式などを暗記しなくても解けるようになるので、是非使ってみてください。
【雑感】
ちなみに、なぜこの説明にアンパンマンを使いたかったかと言うと、結局この計算は「計算の元になる重さ(自分自身の重さ)がいくらで、それが全体の何%に当たるのか」によって立式するので、ある意味自己紹介としてそれらを説明してくれて、一個以下の小数の個数でも違和感の無いものとして都合が良かったのです。
もともと娘に教えるときにはアンパンマンの絵を検索して資料を作っていたのですが、さすがに著作権の問題があるのでアンパンの絵を使いました。
検索する中で、カバオ君がアンパンマンの顔に直接かぶりつくイラストがあって、すっごい使いたいと思ったのですが、それも使えませんね。
0.13人分のアンパンは、カバオ君にかぶりつかれて、そのなれの果てのイメージです。
あと、この問題を教えるのに、妻にも聞いたのですが、「1より小さい小数で割るってイメージしにくい」って言っていて、少しでもイメージが湧くような手法を考えて書いてみました。
加えて、割り算というと、①「個数で割って1個分を出す」という役割と共に、②「1個分の大きさで割って、個数を出す」という役割もあります。
このように、割り算って基本的に上記2つの役割があるから、混乱しやすいという側面もあるようですので、もしこの点についてニーズがあれば、そんな話も書いていこうかなと思っています。