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スイーツの都ブリュッセルはEUの都でもあった。
ブリュッセルに来た理由
ほとんどの日本人にとって「EU(欧州連合)」は関係ないし興味もないと思う。2016年に大きな話題となった英国のEU離脱(ブレグジット)を決めた国民投票だって、多くの人にとって遠い国の遠い出来事だっただろう。実際、私もブレグジットの頃はそうだった。
しかし、サーキュラーエコノミーを学んでいくと、EUの存在はとてつもなく大きい。2019年、初の女性トップ、フォンデアライエン委員長率いる欧州委員会がグリーンディール政策を最優先課題と位置付けた。これによって様々な政策や法規制が出され、サーキュラーエコノミーの世界的な流れが生まれたと言える。
文献上でもそうだが、昨年の現地調査(北欧、オランダ)でもEUの影響力がとてつもないことを感じていた。
いったいEUってどんなものなの?なんでそんなに力があるの?
という素朴な疑問が常にあり、すぐに現場を見たくなる私は、EU本部があるブリュッセルに行って、その雰囲気を確かめたいとずっと思っていた。今回のヨーロッパ行はオランダだけでもよかったのだが、ブリュッセル経由でも航空運賃は変わらないことがわかった。ならばとベルギーから陸路でオランダに入ることにしたのだ。
町はEU関連の建物ばかり
さて、ベルギーと言えばビール、チョコレート、ワッフルという、魅惑の嗜好品がラインナップする国である。確かに、街を歩けばこの3つが盛んに売られているし、さらにマカロンやキャンディやアイスクリームを扱うスイーツショップがそこかしこにあって、スイーツ好きには間違いなくパラダイスだと思う。
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しかし私は最近健康的な生活に慣れ、甘いものには全く興味ないので、まさかの完全スルー。そのかわり、いま興味があるのは美味しくもない「EU」なのである。
EUにはたくさんの組織があるが、議会、委員会をはじめそのほとんどがブリュッセルに集まっている。EUの旗がはためく建物のオンパレードだ。その数たるや、私の想像を遙かに超えていた。1時間ほど街歩きをしたのだが、結論として「立派なビルは新旧すべてEU関係」と断言できるほどだ。
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日本で言えば霞ヶ関のような官庁街、あるいは公務員の街なのだろうけど、ここはもっと規模が大きく、だけどそこまで堅苦しくない感じで、そこに働く人の服装を見ると、日本でいう外資系の大企業という感じ。たとえば、男性で圧倒的に多いのが水色のシャツ、紺と青の間ぐらいのスリム系スーツ。EUのテーマカラーに合わせてビルも働く人も「青」なのである。女性は少しセクシーなキャリア系ファッションがの方が目についた。いずれにせよみな年収高そうだ。
こんな記事を見つけた。
OECD(経済協力開発機構)による2021年の平均賃金調査では、日本の平均年収は3万9711ドル(575万8095円)なのに対し、ベルギーは5万9100ドル(856万9500円)。日本よりも平均年収が280万円以上高い。
平均で約900万、EU職員だと850ユーロという話もあるので1000万は軽く超える。
その一方で、街の一部ではホームレス(路上で寝ている人)も結構目につく。そのあたりは北欧とちょっと違うところだ。
議場も公開、博物館もある欧州議会
EU議会は観光地になっていて、セルフガイドのツアーやParlamentariumというデジタルを駆使した見応えたっぷりの博物館など、全て無料で提供されている。
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真面目に一つづつ見ていくと、ヨーロッパの歴史を背景にしたEUの道のり、存在意義を理解することができた。同時にEU議会の決定の重さだ。
若者ターゲットに情報発信する欧州委員会
議案を作る委員会は、議会からほど近いエリアにある。
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議会、委員会、町中の建物を回り、自分なりにEUがなぜ力を持っているのか腹落ちすることができた。次回、機会があれば取材もしたいと思う。
EUの首都、ブリュッセル。思った以上に首都だった。来てよかった。