富裕層と貧困層の現実がエグい〜『天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する』NETFLIX
病院で過ごす快適なる年末年始。病室は半袖でいけるぐらい暖かいしおせちだって出る。お風呂だって毎日入れる。
しかし唯一、ネット環境がない。テレビはあるけど、CMだらけでお笑いタレントがダラダラ進める「特別」番組を見ることはもうできない身体になってしまってる。紅白ですら無理だった。
やはりWi-Fiが要る。本をKindleでダウンロードしたりNetflixを見たりするためにポケットWi-Fiを借りた。
いやー正解正解。快適快適。
ということでさっそくネトフリ三昧。
新年1本目はビルゲイツのドキュメンタリー『天才の頭の中』(原題:Inside Bill's Brain)。
昨年秋から配信されていたのは知っていたがスルーしていたのは、そもそもビルゲイツという人物にあまり興味を持てなかったから。GAFAに入らないマイクロソフトという会社にも関心がなかった。
しかしこれはビルに関心あるなしとかではなく、みんな見るべきコンテンツだと思う。
まずはアメリカの「富裕層」のパワーを見せつけられる。ウォーレン・バフェットも出てくる。
そして途上国は相変わらずひどい状態だ。
日本には両方いないのでわからないが、この差がエグすぎて、二極化がどうしようもないことがよくわかる。正直、まだ衝撃を受けている。
作品は、ビルゲイツの生い立ちから、並外れた天才ぶり、いかにして大成功をおさめたか、という「過去」をたどりながら、「今彼は何をしているのか」を交差させて描いている。
もう10年以上も前にマイクロソフトの経営の第一線から退き、愛妻メリンダとともに「ビル&メリンダ・ゲイツ財団 」の活動に専念しているビル。
その財団の活動のテーマで3つのパートに分かれる構成だが面白すぎて一気に見てしまった。
ひとつめは途上国の「水問題」。飲料水に汚水が混じる信じられないような衛生環境のせいで、下痢で14%の子供が亡くなっているという事実を知り、サステナブルなトイレと下水処理開発に取り組む。
ふたつめはポリオ。身体が麻痺すれば途上国ではまともに生きられない。撲滅宣言をした疫病だが実は増加しているという事実があり、財団の名誉をかけて完全撲滅のために動く。
みっつめは地球温暖化。これもまた大きなテーマ。CO2を出さないエネルギーとして原子力に注目。新しいテクノロジーによって天災に強く放射線を出さない原子炉の開発を進める。福島の話も出てきて、被災地にいる自分とは全く違う視点を得ることが出来て目が開いた。
ビルゲイツという人を、完全に誤解していた。
ビルは裕福な家庭の生まれだが、財産の継承や投資ではなくその並外れた知能によってWindowsとソフトウェアを生み出し巨万の富を築いた。そしてその富をいま、世界そして地球レベルの問題解決に使っている。
とうてい「慈善事業」などという言葉では収まらないレベルの話で圧倒される。
「天才」と呼ばれる人はビルだけではないが、ビルのように脳みそで財を築き、次はその富の使い方まで天才的に考え、行動し、世の中を変えている人はそうはいないのではないだろうか。
「ビルの頭の中なんて覗きたくもないわ。複雑すぎて。カオスよ。とにかく常に考えている」とメリンダ。
そんなビルゲイツをビルゲイツたらしめているのが「読書」だ。
大量の本を抱えて別荘にこもり、外部との接触を一切断ってひたすら読書、そして考える、“Think Week(考える週)”が彼の休暇だ。
「CPUタイムだ」とビルは言う。
大量の情報インプットと情報処理。彼の頭そのものがコンピュータであり、65歳の今なおそれを拡張し続けているのである。
読書する。そして考える。
そうだ、この部分だけは私も真似できる。
偶然だが今私はまさにそんな状態だ。
ということで、大作に挑戦してみることにした。
ビルも読んだという、今話題の歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」上下と「ホモデウス」上下をアマゾンで注文、退院の日に届くはずだ。
時間がかかりそうだけど、レビューにも挑戦してみようと思う。