ザジと私とペーターさん
「地下鉄のザジ」というフランス映画をご存じですか?
フランスの小説家レーモン・クノーによる小説を「死刑台のエレベーター」や「さよなら子供たち」で有名なルイ・マルが監督した映画です。
内容は10歳の田舎娘サジが、都会パリにやってきます。ザジの願いは地下鉄に乗ること。しかし、あいにく地下鉄はストの真っ最中。
ザジが大人たちを翻弄させながらパリ中を駆けめぐる、スラップステックコメディです。映像編集と道具を用いた巧みな演出、笑いを誘うせりふなどが随所に散りばめられ、ザジの初めてのパリ訪問に心おどる様子がいきいきと表現されています。
ちょっと独特だから好き嫌いがあると思うので激しくおススメはしませんが、ザジ役のカトリーヌ・ドモンジョの髪型やら茜色のセーターにガチャガチャした歯並びを見せながら「ニィッ」って笑う感じの顔とか、映画を観た当時の私はすっかりとりこになってしまい、自分を「ザジ」と呼んでくれと髪型まで真似していた若干イタタタな想い出のある作品です。
フランスに旅行に行った際も嬉しすぎて「地下鉄のザジごっこ」と称してザジのポーズを真似して写真撮ったりと、所謂、昨今流行った「君の名は」的な聖地巡礼をしてました。現地の人はおかしなアジア人だなとちょっと遠巻きに見ていたような・・・
そんな若干、痛かった少女であった私はイラストレーターとして一世を風靡したペーター佐藤さんが大好きでした。(ミスタードーナツの袋の絵を描いていたかたという説明でわかる方は同年代w)
その当時発売されたドローイング集の発売記念サイン会があると聞き、池袋西武ブックセンターにいそいそと行き、本を買い、サイン会の列に並びました。そこには憧れのペーターさんがちょこん(小さくて痩せてた)と座ってました。
当時はN.Y在住で雲の上のお人的存在のペーターさんでしたがとても気さくな方でニコニコと一人一人と丁寧にお話しされていました。自分の番が近づくにつれどんどん緊張が増す私。
いよいよ私の番。購入した本の表紙裏の見開きにサインをしてもらうのですがペーターさんに「名前は?入れる?」と聞かれ、あろうことか「ザジでお願いします!」とのたまうという・・・ちょっとびっくりしながらも「うん、知ってるよ。あの映画いいよね」「ほかに何か書く?」との笑顔を見せながら痛々しい少女に優しい言葉。「絵の勉強してます!」と言ったら!こんな言葉まで書いてくださって・・・(´;ω;`)
絵の方は明るかったり暗かったりと紆余曲折してますが、、(^_^;) それはまた別の機会で。
悲しいことにそれから10年後にお亡くなりになってしまったのですがあの時の笑顔と優しい声は今でも忘れません。。ペーターさん、本当にありがとうございました。
今月はペーターさんの命日もあるので「地下鉄のザジ」を観ながらペーターさんを偲ぼうと思います。