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30歳過ぎて、NY留学した話 #7 -NYに到着

2016年5月末。
ついにニューヨークに辿り着いた。

新しい場所というのは、いつもアタフタしてしまうものであるが、スマートフォン一つでどうにでもなった。YouTubeを見ながらメトロカードを買い、地下鉄に乗る。そして、Google Mapを見ながら電車を乗り継ぎ、自分の家となる場所に辿り着く。

新居は、ニューヨークシティ クイーンズにあるウッドサイド。多国籍のニューヨークで最も人種が多い地域である。ウッドサイドを通る地下鉄7番線は、地上20mほどの鉄道を走る眺めの良い鉄道だ。

日系企業が運営するレンタルシェアハウスを事前に賃貸申し込みしていたので、家を借りるのも簡単だった。インターネットというものは、全てを容易にさせる。

家は、4人部屋。知らない女性3人と家をシェアする。バス・トイレ・キッチン・リビングが共有スペース。私の部屋は、鉄道側に面しており、その24時間走る地下鉄に夜は何度も起こされた。

到着して2、3日は、学校がなかったので、ニューヨークを散策することに決めた。ウッドサイドからマンハッタンの中央にあるグランドセントラル駅までは、約30分。それほど遠くもない道のり。

ガイドブックを手に、街を歩いてみる。

最初にタイムズスクエアに行って、グランドセントラルや市立図書館のあるブライアント・パーク周辺を歩いた記憶がある。そこで思ったことは一つ。

「えっ?街ちっちゃくない?」

東京サイズを想定していたため、有名な場所から有名な場所へ簡単に行けることに驚いた。もちろん全体を回ろうとすると電車やタクシーに乗る必要があるが、観光地が集約しているマンハッタンは思ったよりも小さくコンパクトな街だという印象を受けた。

5月末はすでに気温も高く、30度近くになっていた。街も地下鉄も異臭を放っていた。鼻呼吸ができなかった。嗅いだことのないような、信じられないような臭さだった。ニューヨークに着いて早々、ここで生きていけるのか、という疑問が頭をよぎった。本当にここは世界一の都市なのか、と東京都の比較ばかりしてしまった。

それから、最初の1ヶ月で体重がかなり減った。自分に合った食べ物を探し出せなかった。身体中に蕁麻疹も出始めた。新しい生活に慣れるというものは、体にストレスを与えるものでもあるらしい。どんな環境でも生きていけるだろうと楽天的に考えていたので、自分でも驚いた。
それと同時に、ニューヨークとは、どんな世界一の街なのかを具体的に想像していた訳ではないが、思っていた感じとは少し違った。それでも、私のニューヨーク生活は始まった。