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Intersection -人生の交差点-

1,人々が流れ着く尾道 / 佐々木夫妻・藤井さん

高校生の頃、漠然と「福岡から出ていくことはないんだろうな」と思っていたのに、気づけば和歌山の秘境で暮らしている私の人生は、福岡→東京→ニューヨーク→東京→和歌山と流れ流れ、今は和歌山の秘境で、なぜか未経験のカフェと宿を営んでいる。これからもきっと私の人生は流れ続けだろうと思う。

先日行った尾道で「古本屋 弐拾db」という古本屋の店主、藤井さんの「頁をめくる音で息をする」を読んだ。学生だった彼が就活で就職がうまくできなかったこと。本が好きなこと。尾道が好きなこと。詩が好きなこと。中原中也の詩がすきなこと。人生、なんとなく流れ流れ、故郷の近隣である尾道で古本屋をオープンしたこと。お客さんとの日々が書かれていた彼の本。後で思い出した、確か夜しかオープンしない古本屋としてテレビで放送されていたのを観たことがあった。カフェに置く本を数冊選んでいると同じテーブルにあった彼の本が目にとまり、質感と表紙の版画と最初のやる気のなさそうな文章が気に入りなんとなく購入した。そして店の外でタバコを吸っている彼ととりとめのない話をしていると、彼は自分の店をそのままに、私を知り合いのアンティークショップに連れて行った。アンティークショップに私を連れて行くというより、自分がなんとなく行きたかったし、暇だからという具合に。不思議な人だった。そんな彼の本に刺激されて、私の流れ流れた人生でたくさん出会った人たちのことをnoteに書いていこうかと思った。

古本屋

そもそもなぜ尾道に行ったのかと言うと、「熊野野菜さんがきっかけでビール工場を作ったんです」と言ってくれた佐々木夫妻に会いに。カフェがオープンして間もない頃の熊野野菜カフェでご夫婦がコーヒーを飲みながら私と話していると「自分は60歳を過ぎても、働きつづけたい。一次産業なら定年もないし、ずっと働き続けられるんじゃないかと思った」と私が話したらしい。それが自分たちの「今の人生」を見直すきっかけとなり、結果、尾道に移住しマイクロブルワリーを作ることになったのだと言う。と偉そうなことを書いているけれども、正直、その会話をしたのもご夫婦が来てくれたこともぼんやりとしか覚えていない。そんな私の元に彼らから「ブルワリーを作ったこと」また「私がきっかけだったということ」の連絡をもらったことで、私がビールをネット注文させてもらったり、SNSのメッセージやコメントでやりとりをさせてもらったり、交流は続いていたけれど、コロナの為になかなか会いに行くことができなかった。そうこうしている間に1年以上経った先日、思い切って和歌山から車で訪問してきた。

カフェでコーヒーを飲んで少し話しただけなのに、彼らは再会をすごく喜んでくれて、私をとても歓迎してくれた。休みの日だったのに、ビール工場内やビールを作る工程を丁寧に説明してくれた。工場内は本当に素敵な場所になっていて、隣にはこれまたかっこよく作られたバーが併設されていた。ビールを作るのは体力がいる仕事で体力的には大変そうだったけれど、2人とも生き生きビールを作ったりする話をしてくれて、彼らが試行錯誤しながら作ったビールを飲ませてもらいながら、お互いのこれからのことをいろいろ話した。

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はじめて訪れた尾道は、人が流れ着く場所と言われているそうで、たくさんの移住者が住んでいるのだそう。山と海が近く、その間に人々の生活が交わるこの街は、連絡船があったり、山は車が入れない場所があったりと、独特な生活文化があって、本当にいい場所だった。


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