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熊野通信アーカイブス(その拾八) :こころの森の時間

木々が芽吹き万物が、厳しい冬の寒さを超えて、息を吹き返す季節が戻ってきました(注:2006年当時)。そう!ウキウキする春ですが、最近は生命環境が様変わりし、花粉症の方々には、逆に憂鬱な季節の象徴になってしまいました。今回は、めぐる季節を運んでいる「自然の時間」をお伝えします。

人工の時間、そして失われた「時」・・!

皆さんは普段、どのようにして「時」を捉えておられますか?腕時計や柱時計、ラジオの時報などのアナログ(文字盤や声)情報をはじめ、テレビや携帯電話の画面などのデジタル(数値データ)情報でしょうか?もしそれらが全く無かったらどうでしょう。

ご自慢の腹時計や太陽や月や星の位置を見たり、草木の成長を感じたりして「時や季節」を知るでしょう。この知恵が集大成されたモノが、カレンダー暦なのですが、あくまでも人間が作った便宜上の暦であり、宇宙や惑星・自然から大きく遊離して失ったモノがあるのです。

今私達は、1582年に作られたグレゴリオ歴と言う一年365日の世界統一暦を使っていますが、この暦の土台となった暦はローマ時代のユリウス暦なのです。クレオパトラで有名なシーザーが作ったモノでそれまで月を中心に決めてい太陰暦を、太陽を中心に太陽暦に組み替え、何と自分の名前を記念に、7月に(JULY=ユリウス)と、また後継者のオクタビアヌスの名前を8月(AUGUST=初代皇帝名)に入れて月数を増やし、ついに世界制覇の夢を果たしたのです。本当に自然のリズムに合っているのでしょうか?

満ち溢れる悠久の時間・・・その不思議な存在!

インカやマヤをはじめ古代の文明や私達の日本も、元々は太陰暦と言う月の運行を中心とした「時」の感受性を文化として培っていました。

日本ではわずか132年前の明治6年に、この暦を国が採用した訳ですが、今や当たり前のように使っている暦に疑問を感じる人も少なくなっています。しかし、生命に満ち溢れる熊野の森に身を置く時、寄せては返す海の波の音や想像を絶する断崖絶壁・山並み、そしてとうとうとした川の流れや巨木から「自然の時間」が、私達の都市生活と別にあることを知らされます。

それは悠久の時を超えて宇宙の果てから現在につながっている、確かな自然生命のリズム(律動)なのです。

こころの森の時間を取り戻そう・・!

私達が住む宇宙の時間は140億光年・・想像も及ばない時間。不可思議極まりない世の中に生きて、自分の思うとおりに動かそうと思う方が不思議です。今一度、夜道でお月さんを見かけられたら、ぜひ声をかけ相談して見ては如何でしょうか?

NPO法人 熊野生流倶楽部 代表 満仲雄二

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