池上エリアリノベーションプロジェクト|池上を紡ぐvol.04「池上は、新しいチャンスを掴みやすい場所」エステティシャンの丹羽さん
取材を受けていただいた方に、次にお話を伺う方をご紹介してもらう。人から人へご縁を結び、今回で第四弾目となりました。
前回は、不動産会社を経営しながら、一般社団法人おおた助っ人の代表理事も務める鈴木さんにお話を伺いました。そして、鈴木さんにご紹介いただいた方が……。フェイシャルサロンを経営しながら、4人のお子さまの子育てをしている丹羽美生(にわ みき)さん!
「フェイシャルサロンをやろうと思ったのは、子どもの誕生がきっかけだった」と話す丹羽さん。サロンをオープンさせた理由は? 地域に知り合いを増やすコツはある? 池上で子育てをしてどう感じた? などなど、詳しくお聞きしました!
子どもを理由に、なにかを諦めたくなかった
―― まずは、メナードフェイシャルサロン池上店のお仕事内容を教えてください。
「フェイシャル」なので、基本的にはお顔の施術です。お客さまの肌悩みに合わせて、複数の施術内容をご用意しています。あとは、お化粧品の販売も。
また、無料の肌診断やスキンケアのレクチャーも行っています。スキンケア用品を正しく使えていない方が、実はとても多くて……。同じスキンケア用品でも、使い方を変えるだけでお肌はガラリと変わるんです。
老人ホームに出向いて、入居している方にメイクする活動もしています。メイクした自分を鏡で見たとき、皆さま表情がパッと明るくなるんですよ。この活動はコロナ禍でストップしているんですが……。どこかで、ぜひ再開したいと思っています。
―― メイクした方の表情が明るくなる理由、なんだかわかる気がします。メイクすると、不思議と豊かな気持ちになるんですよね。
本当にそうですよね。お肌のケアやメイクは、人を輝かせるパワーがあると思っています。
サロンに来ていただいたお客さまには、ぜひ自分だけの時間を楽しんでいただきたいです。いつもは自分に使う時間や気力がない方も、ここでは自分自身が主役ですから。イキイキと過ごすためのお手伝いができたら、とてもうれしいです。
―― 池上でサロンを始めたのは、いつ頃だったんですか?
池上でサロンを立ち上げたのは、2018年の11月です。それ以前は、自宅でリンパマッサージのお店をやっていました。
もともと美容の仕事に興味はあったので、自分の中で起業したい日を決めて、その1年前からスクールに通ったんです。その後、4人目の子どもが幼稚園に入るタイミングで、リンパマッサージのお店をスタートさせました。
―― フェイシャルサロンを立ち上げる前に、すでにご自宅でリンパマッサージのお店をしていたんですね! ご自宅でお店をやろうと思ったのは、どうしてですか?
今お話ししたように、私、子どもが4人いるんです。子どもになにかあったとき動きやすいように、時間の融通が利く仕事がしたかったんですよね。私も夫も実家が遠いので、親族に頼ることが難しくて。
子どもを理由に、なにかを諦めたくなかったんです。やりたい仕事を自分で選んで、納得して働きたかった。
―― 「やりたい仕事を自分で選んで、納得して働く」というのは、本当に理想の働き方です。丹羽さんは、それを実現させたんですね。
どうなるかわからなかったし、自信もなかったですよ。でも、うまくいく保障はないけどやってみよう! と思って。
「何時から何時まで」と拘束時間が固定される仕事ではなく、お客さまに開放する予約枠をこちらで決められるので、池上でサロンをオープンさせてからも無理なく働けています。
まち全体で、子どもを見守ってくれている
―― 丹羽さんは、ご自宅も池上なんですよね。
そうです。池上で暮らし始めてから、3人目と4人目の子どもが生まれました。池上は、とても子育てしやすい地域だと思いますよ。
まち全体で、子どもを見守る雰囲気があるというか。
―― 例えば、どんな点から「子育てしやすい」と感じましたか?
今は移転してしまったけど、自宅の前に昔パン屋さんがあったんです。そのパン屋さんが、子どもを預かってくれたことがありました。よくお店に通っていたので顔なじみではあったんですけど、それでもこの時代の東京ではなかなか珍しいと思います。
ご近所さんも子どもによくしてくれて、子どものほうから話しかけるほど懐いています。挨拶してくれたり、遊んでくれたり。子どもを気にかけてくれていると伝わってくるんですよね。
それは、私の子どもじゃなくても、きっと変わらないと思います。
―― 丹羽さんのお知り合いだから、丹羽さんのお子さまにも話しかける……ではない?
そう。「子ども」という存在に対して、まちの人が優しいと感じています。もちろん、すべての人が優しいとは言えないでしょうけど……。
池上には塾がいくつかあるんですけど、塾が終わる時間が遅いと、家の外に出て子どもの帰宅を見守ってくれるお年寄りがいたりするんですよ。商店街を通るときは、お店の人が「気をつけて!」と声をかけてくれたり。
親としては、本当に心強いです。
池上は、新しいことを始めやすい場所
―― サロンに来るお客さまは、どんな方が多いですか?
やっぱり、池上に住んでいる方が多いですね。あちこちで地域のコミュニティができているのか、「あの人から紹介されたよ」と口コミでご来店いただく方がほとんどです。
土地柄なのか、気さくなお客さまも多い印象です。
サロンのお客さまに「最近、うちのお客さまで猫を飼い始めた方がいて……」とお話ししたら、「うちに使っていない猫トイレがあるから、持ってきてあげるよ!」と言ってくださったり。その後、本当にお店まで猫のトイレを届けてくださいました。
―― すごいですね、人と人との距離が近く感じます。
サロンのお客さまには年齢が若い方も多いんですが、豪雨の日に「雨が強いけど、避難したほうがいいですか……?」と心配そうな声で電話がかかってきたこともありました。
一人暮らしをしている子だったので、不安だったんでしょうね。お肌の相談を受けられるようにお客さまには連絡先を渡しているんですが、想定外の電話でした(笑)
―― 丹羽さんを信頼しているからこそかと思いますが、心の垣根が低い方も多いのかもしれないですね。
丹羽さんは、池上で商売をしている他のお店の方とも交流していますよね。どのようにお知り合いになったんですか?
私の場合は、池上本門寺朝市(いけがみほんもんじあさいち)という地域イベントがきっかけでした。無料のハンドマッサージでイベントに参加したおかげで、自然と地域の方と知り合うことができたんです。
どうすれば参加できるのかわからなかったので、朝市に出向いて、そこにいる方に「参加希望なんですが、どうすればいいですか?」と直接聞きました。問い合わせ窓口を見つけられなかったので。ありがたいことに、快く受け入れていただけましたよ。
―― 「池上で新しいことを始めたい方が、地域の方と交流するにはどうすればいいんだろう?」と思っていたんですが、イベントに直接足を運ぶのはひとつの方法ですね!
うんうん、興味のあるイベントを見つけたら、ぜひ参加してほしいです。
池上は、新しいことを始めやすい場所だと思いますよ。初めてのことにチャレンジするなら、ぴったりの地域なんじゃないでしょうか。
いい意味でお店同士の競争心がないんですよね。ひとつのお店で、お客さまを独占しないんです。
他のお店の方が、自分のお店のお客さまに「あそこにフェイシャルサロンがあるんだよ!」と広めてくれたりして。ありがたいですよね。
―― なんだか、地域の方と一緒にお店を盛り立てているみたいです。
そうですね、その通りです。お客さまに、地域の方に、本当にたくさんの方に支えていただきながらサロンを運営しています。
まだまだがんばるつもりですけど、そう自覚するとさらに、簡単にはやめられないな! と思いますね(笑)
―― たくさんの方の協力が、丹羽さんの活力に繋がっているんですね。最後に、池上で新しいことを始めたいと思っている方に、丹羽さんからアドバイスをいただきたいです。
前向きな姿勢で物事に取り組んでいれば、お客さまも地域の方も、ちゃんと見てくれていると思います。まずは、自分が明るくいること。やりたいことに対して、手を抜かないこと。どよんとしていたら、周りから「この人大丈夫かな?」と心配されてしまうから。
一歩踏み出しさえすれば、池上は、新しいチャンスを掴みやすい場所だと思います。
―― 周りの方に真摯な姿を見てもらうためにも、まずは自分の目標と向き合うことが大切ですね……! それでは、次にインタビューする方のご紹介をお願いします。
子どもの英語教室を運営している、永冨さんをご紹介します。
池上で子どもたちに英語を教えている方なんですが、コロナ禍でもオンラインレッスンなどの工夫を取り入れて、子どもたちと交流を深めているそうですよ。先生ならではの視点で、いろいろお話しいただけると思います。