マンゴー

後輩からマンゴーを貰った。マンゴーを手に取るのは初めてかもしれなかった。その日は女4人で集まり、美術館に行った後、代々木八幡まで歩いて厄祓いをしてもらった。
その間もマンゴーは手提げの中にあり、荷物に圧迫されてひしゃげていた。集まった女4人、いつも何かにキレている。その日も、そのうちの1人の身に起きた出来事にキレていた。
いつの間にかキレていることがおかしくなって「バカ」という語尾に笑う。

次の日の夜、ふるさと納税の返礼品の果物ナイフで、初めてマンゴーを切った。マンゴーの種って白いんだ、と思いながら、ネットで調べた方法で賽の目状に切れ目を入れ、皮をブリンとひっくり返せば見知ったマンゴーだった。
フォークでむしるように食べた。甘い。甘みはうまみだ。幸せな夜。集まった4人全員に幸福が訪れるよう祈った。そうでなくとも、また集まって何かにキレたりするんだろうな、とも思った。

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