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筆供養とは|感謝で始まり感謝で終わる神事を知ってほしい


筆を使った事が無い…という方は、この日本で数少ないのではないでしょうか。

小学校では書道の授業で使うことがあり、冬休みの宿題や冬休み明けすぐに学校で書初め大会が行われる学校もありますね。

書道だけでなく、美術の時間に絵具を使う際にも筆は必須、化粧筆としても筆を愛用している方も多くいらっしゃると思います。

大人になっても筆を愛用している方であれば、使えば使うほど愛着も湧いてくるはず。しかし、手に馴染み、相棒とも言える存在となった筆も、いつかは別れの時が来てしまいます。

そんなとき、筆はどうしていますか?

これまで大事にしてきた筆へ感謝の気持ちを伝える、大切なものとして処分する、その手段のひとつが『筆供養』です。



今年の第86回筆まつりは残念ながら新型コロナウイルスの影響により中止となってしまいましたが、オンラインにて熊野バーチャル筆まつりが開催されます。


もちろん、筆供養も行います。現地には関係者しか入れないため、当日にライブ配信をしながら、送っていただいた筆を処分させていただきます。

まもなく9/22(火・祝)に開催される筆供養に先駆けまして、本日は筆供養についてお伝えしたいと思います。

●筆供養の始まりは?

筆まつりが開催される榊山神社境内には、「筆塚」があります。

筆塚

筆の町熊野のシンボルで、昭和40年9月に「筆精」を供養するために建立されました。初めて筆供養が行われたのは第41回筆まつり(昭和50年)で、この筆塚の前で例年執り行われています。



●どのように執り行われている?


筆塚前にて榊山神社宮司らによって筆供養神事が執り行われ、その後に熊野町商工会や、筆まつり実行委員会の方々より浄火の中に筆を投じます。その後は終日一般の方々も供養する事ができます。

筆を火に入れる



●いつもどれくらいの筆が集まるの?

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筆供養に向けて、熊野町へは毎年、数千本の筆が送られてきます。

つまり、毎年それだけ多くの方が筆に感謝を込めて供養したいと思っているということ。近年は使い捨てを前提とした安価な筆も多く出回っていますが、このように使うものにこだわりと愛着を持つという考え方も素敵だなと思います。

●筆供養に込められた思い


筆塚の傍らにある由来碑には

「日本独自の書道文化を支えるのは熊野の筆である。祖先が熊野に取り入れた熊野筆の生産を生業として、その技術にさらに磨きをかけた、その結果、熊野筆は国の内外へ広がっていった。私たち町民は筆の生産で生活している。その筆に『命』があることを信じ筆の精霊と、先祖への遺徳、誇りと感謝をこめて、ここに同士が塚を築く」

と言う意味の文面が記されています。

筆には、馬、タヌキ、イタチ、鹿、ヤギなどの動物の毛が多く使用されます。これまで使用してきた筆を心から大切に思う気持ちと同時に、筆の原料となる毛を提供してくれる動物に感謝し、この塚の傍で筆を焼いて供養します。

毛を提供してくれたことへの感謝、そして、筆供養に出されるまでに永きにわたって役目を果たしてくれたことへの感謝。だから筆供養は感謝で始まり、感謝で終わる神事なのです。


“熊野で生まれた筆たちは、その役割を果たした後は再び熊野に戻り、この地で永代供養されるのです”

筆供養について調べていた時に、筆まつりの公式サイトで読んだこの一文が、とても印象に残りました。
熊野町の方々が、筆を愛し、材料となる自然や動物への感謝、伝統を築き上げてきた先人への敬意、そして如何に筆づくりに誇りを持っているのかが、この一文に詰まっているように感じたからです。

熊野町へ足を運び、筆まつりも筆供養も、そこに携わる人々の思いも間近で感じたいところではありますが、2020年はオンラインで画面を通して感じてみてはいかがでしょうか。


《ライター・なかしまゆみえ》中学生から2歳児までの3児の母。ラジオ制作コミュニティ「ママ夢ラジオ」の渋谷チームにて公式ブログを担当

個人ブログ

https://ameblo.jp/smpnha

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