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【感想】国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア

ロシア・モスクワにあるロシア四大美術館のひとつ、トレチャコフ美術館。
ロシア美術を中心とした、その膨大なコレクションの中から、日常のありふれた風景から見いだせるロマン・女性の美しさに溢れるロマン・子供の世界の幸福で無垢なロマン・非日常の晴れ舞台に根付く文化のロマンなど、あらゆるロマンティックな情景を切り取った風景画・肖像画がセレクトされた展覧会でした。 

**イワン・ニコラエヴィチ・クラムスコイ
「忘れえぬ女(ひと)」(1883) **

展覧会のメインビジュアルになっていた、たいへん人気のある1枚です。溢れるオーラに目が離せなくなる方ですね。この方のモデルについてはトルストイの名作の主人公、アンナ・カレーニナだという説が有名で、他にも色々憶測を呼びましたが、実際はモデルの居ないオリジナルの存在であるとされています。原題も「見知らぬ女(ひと)」だったそうです。
よくよく見るとアイシャドウとリップの色がおしゃれです。

今、アーモンドピークを買うとついてくるカードにもなっています。もうそういう表情にしか見えなくなってしまった。底知れぬ余裕を感じますね。 

イワン・イワーノヴィチ・シーシキン
「雨の樫林」(1891)

イワン・イワーノヴィチ・シーシキン
「正午、モスクワ郊外」(1869)

この展覧会はとにかく写実的な風景画が見所です。雨に濡れた地面や夏の大きな雲、枯葉の乾き切った手触り、積もった雪や霜の冷たさ、四季折々の自然の質感が感じられます。そこに生きる人々の生活や物語が垣間見えるものもあり、なんともロマンティックです。木々や草など植物の質感の表現においては、シーシキンの絵が特に素晴らしかったです。

イワン・コンスタンチーノヴィチ・アイヴァゾフスキー
「ボスポラス海峡とコンスタンティノープルの景色」(1856)

中でも目を引いたのがアイヴァゾフスキーの作品です。実際に展示されていた作品のフリー画像を見つけられなかった為、展示はありませんでしたが共通点の多い絵をここに紹介します。
とにかく空の色彩の表現に目を奪われます。絵画なのに夕日が眩しい。
シーシキンやアイヴァゾフスキーのほかにも、リアルな表現に驚かされる絵を描く画家の作品がたくさんあり、実際にロシアの自然を旅しているようでした。 

まだ会期中なので絵の紹介はこの辺にしておきますが、今回の展覧会、解説のボリュームが段違いでした。全ての絵・全ての画家に解説がついていただけでなく、当時のロシアにおける美術シーンの動きも解説されていて、主催側の熱意を感じました。ロシアの当時の情勢や歴史の知識がなくとも、それぞれの絵を時代背景とともに深く楽しめるようになっています。
もちろん何も知らずに見ても十分に楽しめる絵ばかりですので、ちゃんと読んでも読まずに飛ばしてもオールオッケーだと思います。 

そしてグッズですが、今度はチェブラーシカが「忘れえぬ女」と同じ帽子を被ったぬいぐるみが売られておりました(今回は買ってないので写真がないです)。ぬいぐるみコラボ多いな。やっぱり可愛かったので買うか迷いはしました。チェブラーシカお好きな方は是非。 

東京・岡山での展示は終わってしまいましたが、今後は山形と愛媛を巡回するそうですので、お近くの方、この辺りに行く予定のある方、予定はなくても前から行きたかった方などついでに如何でしょうか。けして時間の無駄にはならない、まあ少なくともこれを読んで時間の無駄に感じなかった方はかなり楽しめるのではないでしょうか(言いながらハードルを下げる技法)。強くお勧めします。

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